コネクトの雑記帳

創作小説、オリキャラ設定などの雑な記事を取り扱うところです。

PSO2外伝 ビギンズデイ[前編]

 


 走る。
 黒い髪を振り乱し、息を切らせながら、「少年」はひたすらに走っていた。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ――」

 青空のもと、焦燥感に駆られる少年の胸中とはまるで不釣り合いな、鮮やかな緑で彩られた森林を駆け抜けながら、少年は休みなく金色の瞳を巡らせる。
 その、何かを恐れているかのような金の瞳に何かを捉えて、少年は反射的に急停止をかけた。

「――くそっ、ここもか!」

 毒づく少年の前方十数メートルほど先で、赤黒い霧が、意思を持っているかのように渦を巻く。まるで空間に穿たれた穴のように収束した霧は、やがて周囲の大気を歪ませ、不快な音を響かせながら、一つの影を吐き出した。

 例えるならば、蟲。
 闇色の甲殻と、腹に抱えた鮮血よりも赤い核を持ち、ねじくれた四つ足で地面を捉えたそれは、さながら槍のように尖った口を持つ頭をもたげて、怖気の走るような咆哮を上げた。

「ダー、カー……!」

 眼前に現れた「敵」の名を口にして、黒髪の少年はぎりときつく歯噛みする。

(ただの修了試験なのに、なんだってこんなことに……! ナベリウスにはダーカーどころか、発生の予兆すらなかったはずなのに……!)

 疑問と怨嗟がないまぜになった心の声を吐き出しながら、少年は勤めて冷静に状況を確認する。
 少年の前に立ちはだかるダーカーたち――四つ足の甲虫型ダーカー「ダガン」の総数は、目算で五体ほど。加えて、後ろを振り返ってみれば、そこには少年を取り囲むかのように、別のダーカーたちが現出していた。
 前後に続く道はどちらもダーカーに抑えられており、すでに逃げ道はない。そのことを悟った少年は、覚悟を決めるように、困惑に歪んでいた表情を引き締めた。

(……落ち着け。大丈夫、やれる。あの人に教わったことを思い出せ)

 細く息を吐きながら、少年は己を叱咤する。あの人――彼の師でもある男性の顔を脳裏によぎらせ、彼から学んだ戦いの術を胸に思い浮かべながら、少年はゆっくりと、背に担いでいた得物の柄を握りしめた。
 引き抜かれ、姿を見せたのは、大剣。鮮やかなライトグリーンに輝く刀身を携えた、身の丈ほどもある巨大な片刃の剣をしかと握りしめて、少年は深く構える。

「……そうだ。できるできないは関係ない」

 自分へ言い聞かせるように、少年は低い声で呟く。ふぅ、と細く息を吐き出した後、少年は勢いよく顔を上げて。

「――やるんだ! 絶対に、生き残るんだ!!」

 雄叫びとともに、一直線にダーカーたちの群れめがけて突撃した。


***


 新光暦238年。原初の人類が宇宙へと飛び出し、銀河を駆ける冒険者となってから、はるかな時が経った未来。
 巨大な惑星間航行船団「オラクル」を拠点に、脈々と版図を広げる人類は、ある時異形の怪物たちと邂逅する。
 生物はおろか、環境や機械すら侵食し、ありとあらゆるモノを食らいつくす。「ダーカー」と名付けられたそれに対抗するべく、人類は研究を重ねていた。

 かねてより人類の手で運用されていたエネルギーである「フォトン」。元はただのエネルギー以上の意味を持たなかったそれには、ダーカーたちの源である因子を浄化する力が備わっていることが明らかとなったのだ。
 人類の中に存在していた、フォトンを自在に行使する才能を持つ者たちの手でダーカーが討滅されたことを受け、人類はダーカーたちへの対抗手段を確立する。

 フォトンを行使する力を持ち、己が身と得物をもって、不倶戴天の敵たるダーカーを殲滅する戦士。
 銀河全土の惑星を飛び回り、ダーカーの魔の手から安寧を守るための守護者。

 ――人は彼らを、「アークス」と呼んだ。

 


***

 


 ことの発端は、数十分ほど前にさかのぼる。

 ――新光暦《A.P.》238年、2月20日。惑星「ナベリウス」上空。
 その日は、かねてより計画されていた、新たにアークスとなる人々の実力を測り、正式なアークスとなるにふさわしいかを決める、「修了試験」が執り行われる日だった。


《――新たに誕生するアークスよ。今から諸君は、広大な宇宙へと第一歩を踏み出す。覚悟を決めた者から、キャンプシップを発ち、課せられた最初の任務を遂行せよ。我々は、諸君を歓迎する――》

 大きく映し出されていたホロウィンドウ越しに、一人の男性――機械然とした体躯を持つ、老人の声をした人物が、その場にいる面々へと語り掛ける。その光景を、一人佇みながら遠巻きに見つめていた黒髪の少年の眼前で、演説を聞き終えた新人アークスの人々が、こぞって船――輸送船「キャンプシップ」に備えられた、惑星降下用設備であるテレプールの方面へぞろぞろと流れ始めた。
 少年もまた、そちらへ向かおうと足を向ける。しかしその直後、不意に背中に走った衝撃でたたらを踏むことになった。

「ぁうっ」
「っと……?」

 不意打ち気味に浴びせられたそれに驚き、振り返ってみれば、そこには顔を抑えている人影。少年よりも低い背丈と華奢な体躯を持つその人物は、はっとした表情になったかと思うと、ぺこりと頭を下げてきた。

「ご、ごめんなさい。人の流れに押されて、ぶつかっちゃいました」
「あぁ、大丈夫だよ。怪我してないか?」
「少し顔は打ちましたけど、大丈夫です。お気遣いありがとうございます」

 そう言って笑うのは、少女。肩口で切りそろえた鮮やかな金髪と、芽吹いたばかりの若草のような翠に輝く瞳が、ひときわ強く目を引いた。

「それにしても、たくさん人が居ますね。士官学校の卒業生以外にも、一般からの公募で集められた人たちや、正規アークスからの推薦を受けた方も一緒、っていうのは知ってたんですけど……こう見ると、思った以上にアークスを目指す人って多いんですね」

 物珍しそうに周囲を見回しながら、金髪の少女は意外そうな表情で笑う。仮にもアークスとしての合否を決める修了試験に挑む身であるというのに、その立ち振る舞いには、気負いや緊張感といったものが、まるで感じ取れなかった。

「まぁ、同感だけど……実戦訓練の前だってのに、落ち着いてるんだな?」
「そうですか? でもそれを言うなら、貴方だってすごく落ち着いてますよ。ほら、表情も崩れてませんし」
「……もともとこういう顔なんだよ。ま、俺は色々と師匠から教わってきたからな」

 少年の脳裏で、彼の師でもある壮年の男性の、どうにも子供っぽい笑みが浮かび上がる。尊敬とは別な感情が色々と混ざった、なんとも微妙な笑いを浮かべていると、少女は納得したように手を打った。

「そういうことだったんですね! ……ということは、貴方は一般公募で参加してるんですか?」
「いや、一応推薦枠だよ。俺の師匠って、意外と有名人らしいから、そのコネでな」
「へぇー、凄いですね、お師匠さん」
「俺から言わせれば、子供いびりが大好きな迷惑親父だけどな……」

 はぁーと長いため息をついた少年が、ふと周りを見渡すと、すでに大半の面々はナベリウスの地表に降下した後だったらしい。彼らを除けば、他には念入りに最終確認を行っているような者しか残っていなかった。

「っと、そろそろ行かないと」
「あ、ほんとですね。ついつい話し込んじゃいました。――あ、そうだ!」

 踵を返そうとした少年を、少女が呼び止める。

「私、シューティアって言います。良ければ、お名前をお伺いしてもいいですか?」

 何事かと内心で首をかしげる少年だったが、ふたを開けてみればなんてことはない、ただの自己紹介。少女、ことシューティアの言葉で、ようやく自分も名乗っていないことを思い出した少年は、改めてシューティアに向き直った。

「あぁ。――俺はコネクト。改めて宜しくな、シューティア」
「コネクトさん、ですね。もし降下した後も一緒になったら、その時は宜しくお願いします!」

 これから二人が挑む修了試験は、大まかに分けたいくつかの任務のうち、指定された一つを遂行する形で行われる。どんな任務が割り振られるかはランダムであり、それによって降下するポイントも違うため、今しがた知り合った彼らが力を合わせ、同じ任務に挑むことができる確率は、決して高くなかった。

「あぁ。向こうで出会ったら、その時はお互いによろしく、だな」
「はい! それじゃ、行きましょう!」

 しかしそれでも、試験に運用されるエリアは限定されており、鉢合わせる可能性はゼロではない。
 もしもの再開を期待しながら、二人は並び立ち、同時にテレプールへと突入していった。


***


 ナベリウスへと降下した少年、ことコネクトだったが、その隣に先刻知り合った少女、シューティアの姿はなく、出遅れたこともあり、彼は一人で試験を遂行することとなった。

 基礎的な戦闘機動の訓練から始まり、仮想ターゲットを相手にしての戦闘演習、特殊戦術機動「フォトンアーツ」の発動演習。|兵科《クラス》固有の戦術などを学び、最後には試験エリア内に配置された|原生生物《エネミー》との実戦訓練を経て、コネクトはその全てを抜かりなくこなす。

 すべてが順調に見えた修了試験。そこに陰りが見えたのは、一体のエネミーと遭遇してからだった。


「……っ」

 不意に、ナベリウスの森林を進むコネクトの眼前へ、一体のエネミーが降り立つ。
 一見すれば、それは森林地帯に生息する小型の原生生物であり、道中でコネクトも見かけた猿型エネミー「ウーダン」で間違いない。しかし、本来ならば明るいオレンジ色に染まっているであろう体毛の色は、まるで闇や瘴気を想起させるような、不気味な赤黒い色に変色している。誰がどう見ても、そのウーダンの状態は「異常」だということがわかる、そんな異様な姿だった。

(ウーダン……の希少種か? いや、それにしては様子がおかしい気も――)

 突然の襲撃者を眼前にして、コネクトは浅く身構える。背に吊った兵装――身の丈ほどに大きな翡翠色の刀身を持つ、ハンタークラス用の大剣「ソード」の柄を握り、いつでも抜刀できるようにしていると、不意にウーダンがコネクトの方に振り返った。

 直後、ウーダンが振り向いたことで、影になっていた部分があらわとなる。

「ッ――浸食核?!」

 ウーダンの顔面すぐ横。首筋付近に相当する位置に突きささり、赤黒い光を放ちながら、不気味に脈動する楔――アークス間で「浸食核」と呼ばれる物体を見つけて、コネクトは驚愕する。
 ――浸食核とは、各地のエネミーに時たま張り付いている寄生物質のことだ。その名前の通り、浸食核は張り付いたエネミーを内側から食らい、浸食を進めるとともに、宿主を自由に操れる傀儡へと作り変えていく。「アークス不倶戴天の敵」よりもたらされたそれは、放置すれば原生生物たちを絶滅させかねないということから、発見次第出来る限り破壊を推奨されている、厄介な物質だった。

 しかし、今問題なのはその性質ではない。
「浸食核がこの地で発見されたこと」そのものが、大きな問題なのだ。

(どうして……! ナベリウスには、「ダーカー」が観測されてないどころか、発生の予兆すら確認されてなかったはずなのに――ッ!?)

 動揺するコネクトに隙を見出したのか、浸食核に侵されたウーダンが、糸操り人形のような不自然な動作で、猛然と跳びかかってくる。
 思考の中断を余儀なくされたコネクトは、何よりもウーダンを討伐し、浸食核を根絶することが先決だと判断。地面を転がって攻撃を回避しつつ、素早くソードを抜刀した。

「は、あぁッ!!」

 雄たけびと共に、握りしめたソードを横なぎに一閃。生み出された翡翠色の軌跡は、狙いたがわずウーダンの首筋付近を捉え、宿主の首とその付近に取り付いた浸食核を、纏めて切り伏せてみせた。

「!!!」

 鳴き声にもならないいびつな悲鳴を上げて、ウーダンの骸がその場にくずおれる。同時に、間近に落下した浸食核が、赤黒い霧となって消滅していった。
 ウーダンが動かなくなったことを確認して、コネクトは細く息を吐きながらソードを背に吊り直す。しかし、その顔に戦闘を潜り抜けたという達成感はなく、むしろその表情は先刻よりもずっと険しいものになっていた。

(……いや、理由なんて今はどうでもいい。とにかく、どうにかして正規のアークスたちにこのことを知らせないと――)

 かぶりを振りながら、コネクトは耳裏に仕込んだ無線へと手を当て、管制へと連絡を取ろうとする。

 しかし、コネクトが耳裏へと手を当てた直後、脳の奥まで響くような、けたたましい警報が耳を揺るがした。

《管制より、アークス各員へ緊急連絡! 惑星ナベリウスにて、「コードD」発令! 全アークスへ、最優先命令コードによる、ダーカーへの戒厳令が発令されました!! アークスシップに待機中の各アークスは、直ちに惑星ナベリウスへと出撃! 現在ナベリウスに展開している修了試験生の皆さんは、ダーカーとの交戦を避けつつ、アークスと合流し、ナベリウスより脱出してください!! 繰り返します――》

 


 切羽詰まったオペレーターの声が耳朶を震わせると同時に、コネクトの周囲で、キィン、という音が――聞くものすべてに不快感をもたらすような、耳をつんざく音が響く。無線への注力をやめ、素早く周囲へと視線を巡らせてみれば、周りを取り囲む光景のそこかしこから、赤黒い霧と共に、異形の甲虫たちが這い出して来る様が映り込んだ。

「ダーカー……!!」

 あまりにも唐突な襲来。そして、あまりにも予測を超えた出来事に、コネクトは驚愕を隠し切れずにいた。

 ――ダーカー。それは、アークスの存在意義の一つであり、「アークス不倶戴天の敵」とも言われる存在のことだ。
 あまねく生物や機械等を浸食し、自らの眷属としていく性質を持っているのが、大きな特徴とされている。 
 一度浸食されれば助かる方法は存在せず、その内に宿した「ダーカー因子」と呼ばれる物体により、通常の手段での討滅は不可能。
 交戦した相手を内から喰らっていき、ありとあらゆる存在を同化していくそれらは、ほぼ一つの対抗手段を除いて抗うすべのない、まさしく「宇宙の敵」と呼ぶにふさわしい存在だった。

 そんなダーカーが今、本来ならば観測もされず、出現の予兆すら検出されなかったナベリウスに、顕現している。その事実は、この地が安全な場所だという前提を持っていたコネクトを、強く動揺させていた。

「――あぁ、くそッ! 考えるのは後だ!!」

 コネクトの目前に立ちふさがったダーカーの数は、目算でも10はくだらない。最下級の種類だけで構成された群体でこそあったが、その実態は並の人間はおろか、時には対抗手段を持つアークス相手ですら容易く殺めることができる、凶暴かつ凶悪な存在に他ならないのだ。
 故に、コネクトは踵を返し、ダーカーとの交戦を回避することを選択する。師から教わった戦いの術こそあれど、所詮今の彼は初の実戦を経験したばかりのルーキーに過ぎない。まともな実戦経験もない者が無謀な戦闘に挑めばどうなるかなど、火を見るよりも明らか。だからこそ、コネクトは自ら死地に飛び込む真似は避け、可能な限り生き残れるであろう道を選択したのである。


(なんでっ、どうしてこんなことに――!!)

 胸中で毒づきながら、コネクトは生き残るために、ナベリウスの森林をひた走り始めて。

 


 そして、時刻は冒頭へと戻る。

 

 

*********

 

 

というわけでお久しぶりです、コネクトにございますー。

こちらのブログに小説を投稿するのは、前回のヘキサギア小説以来になりましたが、いかがでしたでしょうか。

 

今回は、前回投稿したヘキサギア小説と同様、前後編に分けた短編小説として、私がかねてよりプレイしているオンラインゲーム「PSO2」ことファンタシースターオンライン2の二次創作小説、その前編部分をお送りさせていただきました。

 

さて唐突ですが、読者の皆様は「カルカーロの戦士たち」というキーワードや、「絆と夢の協奏曲」というキーワードに聞き覚えはありますでしょうか?

稀有で希少な有り難い読者の方々ならば、もしかするとなじみもあるかと思います。そう、この二つは共に、かつてコネクトが手掛けてきたPSO2の二次創作小説です。

そして今回新たに投下した本作、こと「ビギンズデイ」は、短編小説であると同時に、上記二作品の遺伝子を受け継いだ、新たなるPSO2小説といった位置づけに当たります。

 

時系列的には、本編でプレイヤーが操作する主人公(以下本編主人公と呼称)が、ゲーム開始時に挑んだチュートリアルでもある「新光暦238年度の修了試験」が舞台となっており、本作は「本編主人公の戦いの裏であったもう一つのお話」として描いております。同じ惑星の別の場所にて、本編主人公と同じくダーカーに襲撃された本作主人公、ことコネクトが、いかにしてこの窮地を切り抜けるのか、ご期待頂ければ幸いです。

 

後編は現在鋭意執筆中にございますが、前回のヘキサギア小説と違い、書きあがった部分も少ないため、しばらくお待たせしてしまうことになると予想されます。絶賛ゴールデンウィーク中ということもありますので、なるべく早く出せるよう努力する所存ですので、何卒ご了承いただければと思います~。

また、本作はヘキサギア小説同様、pixivやハーメルンにも同名タイトルで投稿を予定していますので、もしそちらで見かけた際は宜しくお願いいたします。

 

それでは、今回はここまでとさせていただきます。

またあいませうー ノシ

 

 

 

ヘキサギア外伝 崩界のクラウ・ソラス[後編]

 


 あり得ないはずの出会いに、ケイは驚きを露わにする。
 レイブレード・インパルス――「ロード・インパルス」と呼ばれるヘキサギアに改良を加えた強襲戦闘用のヘキサギアは、襲撃者たちが運用していたボルトレックスと対を成す、最新型のヘキサギアだ。本来ならば、リバティー・アライアンスの手で最前線に投入されていて然るべき機体がこの場にあるなど、あり得ないはずなのだ。
 しかして事実、ケイの眼前には白き獣が鎮座している。よく見れば一部の装甲のカラーリングが違い、さらには象徴ともいえる特殊兵装「レイブレード」の発振器が見当たらなかったが、四足獣を模したシルエットと、どこかヒロイックな刺々しいいでたちは、間違いなくレイブレード・インパルスの物だった。

(どうしてこんな機体がここに? ……いや、今はそんなことどうでもいいか)

 驚愕から復帰したケイの思考が、鋭く研ぎ澄まされる。
 ひととき思索の海に沈んだケイは、ふと弾かれるように顔を上げ――

「――利用しない手はない、よな」

 一言呟いて、鎮座する獣へと駆け寄っていった。
 獣が背負ったコンソールに手をかけ、起動プロセスを開始する。幸いなことに、装填されたヘキサグラムも、本体の電子系統も生きていた。

《――人工知能|KARMA《カルマ》、プログラムスタート。起動シーケンスを開始します》

 空気の震えるような音を立てて、獣が――獣の頭脳を司る|人工知能《KARMA》が覚醒する。無数の文字の羅列をコンソールのパネルから吐き出し、ゆっくりと眠りから目覚める獣の|機械音声《こえ》は、まるで年端もいかない少女のささやきに聞こえた。

《ヘキサグラム出力、定常値》
《排熱システム、異常なし》
《マルチセンサー起動確認。感度状態、良好》
武装チェック。チェーンガン、オンライン。オートマチックグレネードランチャー、オンライン。特殊兵装レイブレード、オフライン》
《全チェッククリア。システムオールグリーン》

《ZXR-0〈レイブレード・インパルス〉、起動します》

 放熱柵からかすかな蒸気を吹きあげて、白い獣――レイブレード・インパルスが、駆動音と共に立ち上がる。半端に身を預けていたケイは振り落とされそうになって、慌てて獣の背に配された|操縦席《シート》へと跨った。

「っとと……」
《ガバナーの登録を開始します。既定のプログラムに従い、登録を行ってください》

 無機質な、それでいて透明感のある不思議な|機械音声《こえ》と共に、コンソールにいくつかのプログラムが表示される。

「……意外だな。初起動なのか」
《声紋を感知……サンプリング率22%。――肯定です、ガバナー。本KARMAには行動ログが記録されていません》
「なるほど。……となると、大方稼働試験か何かだけやった後、余計なデータだけ消して放置されてたんだろうな」
《サンプリング率65%。――当機には感知しえない事象、過去の出来事です。サンプリングの続行をお願いします》
「これ以上話すことなんてないぞ? ……ここから脱出したいんだ。速く終わらせてくれ」
《……サンプリング率100%。声紋登録、完了しました。――それでは、必須事項を除いて、残りの登録過程を一時省略します。アーマーの識別信号の登録をお願いします》

 機械音声に促され、ケイはアーマーに搭載した戦術OSと、白い獣の頭脳たる人工知能をリンクさせる。しばらくすると、再びKARMAが口を開いた。

《登録完了しました。現時刻をもって、当機は貴方の指揮下に入ります。ガバナー、宜しくお願いします》
「よし。……急かして悪いが、状況が状況だ。戦闘モードの準備を頼む」
《了解しました。――メインシステム、戦闘モードに移行します》

 機械音声と同時に、獣の体内から、ひと際大きな駆動音が響き始める。
 まるで獣の鳴き声を真似るかのようなそれはたちまち音階を上げていき、ケイの鼓膜を震わせた。

《ガバナー、貴方の名前を教えてください》
「……俺か? ケイだ」
《ケイ――了解しました。……ガバナー・ケイ。不躾ながら、お願いがあります》
「手短に済ませてくれよ。いつ襲われるかわからないんだ」
《難しいことではありません。――私に、名前を頂きたいのです》
「……名前?」

 メットの中で、ケイが怪訝な表情を作るが、すぐに思い直す。確かに、一々機体名で呼ぶのは面倒だし、知性を持つ人工知能を「AI」呼ばわりするのは、少々忍びなかった。

「……あー、ちょっと待て。考える」
《ありがとうございます》

 ほどほどに周囲を警戒しつつ、しばしケイは唸る。
 幾ばくかの空白を置いて、ケイが一つ納得するように頷いた。

「――「アンジュ」。お前の名前は、アンジュだ」
《……登録、完了しました。――レイブレード・インパルス。識別コード「アンジュ」。ゾアテックス、起動します》

 気合を入れ直すかのように――あるいは授かった名前を喜ぶかのように、|白い獣《アンジュ》がひと際甲高く吼える。
 直後、響き渡る駆動音を聞きつけたのか、何処からか足音が近づいてくるのが聞こえた。

《警告。多数のアンノウンの接近を検知。熱源を見る限り、多数のパラポーンと推定されます》
「逃がすつもりはさらさらない、ってことか。……上等だ」

 吐き捨てるように呟いて、ケイが座席のハンドルを強く握り込む。
 アーマーの戦術OSとリンクした|KARMA《アンジュ》が、ケイの思考を感知して、滑らかな挙動と共に振り向いた。


「ここから脱出する。――俺たちの道を、切り拓くぞ!」
《了解。ケイ、振り落とされないでください》

 直後、重なり合い一つとなった影が、強く地を蹴った。


***


 半端に閉じられていたシャッターを蹴破り、レイブレード・インパルスの白い躯体が、暗がりから踊り出る。
 眼前に展開していたセンチネルたちが、驚く暇すら与えられず、武骨な爪に引き裂かれ、鉄くずへと成り果てていった。

《グラビティ・コントローラー、正常に稼働中。このまま突破します》
「よし、行くぞ!」

 ケイの呼びかけに答えて、レイブレード・インパルスの|瞳《センサー》が、鋭い光を放つ。
 さながら本物の獣が狩りをするかの如く、機械仕掛けの獣はしなやかに身を翻しながら、センチネルたちを切り裂いていった。

「ヘキサギアだ! 構わん、撃て!」
「ガバナーを狙うんだ! 停止した隙を狙え!」

 機械に身を窶したが故か、センチネルたちは驚きこそしたものの、指揮統制を見出さないまま、軽やかに反撃へと転じる。
 浴びせかけられる弾丸に火花を上げながら、しかし白い獣は止まらない。着弾する無数の鉛弾をものともせず、レイブレード・インパルスはその前足を――前足に搭載された重力干渉装置「グラビティ・コントローラー」が発する超重力場によって、迫るセンチネルたちを次々に破壊していった。

《ケイ、チェーンガンの使用許可を》
「構わない! 使える武装は全部使え!」
《わかりました。チェーンガン、オートマチックグレネードランチャー、セイフティ解除します》

 アンジュがささやくと同時に、獣の首元にあしらわれた二つの咆哮が、同時に火を噴く。断続的に煌めく流星群と、硝煙をたなびかせる隕石は、センチネルたちの群れを次々と穿ち、爆炎を上げて蹴散らしてみせた。

「ぐあぁ、ァ――!」
「くそっ……各員撤退! ボルトレックスをぶつけるんだ!」

 破壊の嵐をかいくぐり、幾人かのセンチネルたちが撤退していく。

「逃がすかッ――!」

 チェーンガンを放ち、センチネルへと追撃するものの、放たれた弾丸はコンクリートの壁面へと突き刺さるだけに終わる。

《敵パラポーン、撤退しました。追撃しますか?》
「……いや、いい。それよりも、次に備えるべきだ」

 センチネルたちの言葉尻から察するに、ケイたちに彼らのヘキサギア「ボルトレックス」が差し向けられるであろうことは明白だ。

《ライブラリ照合、関連データを発見しました。……ガバナー・ケイ、現状の私に装備されている武装では、ボルトレックスとぶつかり合うのは避けるべきと提言します》
「だろうな。それにこの閉所じゃ、お前の機動力もあまり役に立たないだろうからな」

 レイブレード・インパルス――もっと言えば、元になったロード・インパルスを含めたインパルス系列の得意分野は、グラビティ・コントローラーがもたらす圧倒的な機動力による、高速戦闘にある。
 そもそもレイブレード・インパルスは、これから会敵が予想されるであろうボルトレックスとの「連携」を想定して開発されたヘキサギアだ。
 レイブレード・インパルスが機動力と格闘能力で敵陣へと斬り込んで、高い火力を持つボルトレックスで場を制圧する。本来想定されていた連携はしかし、ヴァリアントフォースの発足とそれに伴う各地の製造施設制圧により、敵対関係となる形で頓挫したのだ。
 ボルトレックスの火力に頼る連携を想定していたが故、レイブレード・インパルス自体が備える火力は低い。加えて、同機の象徴である格闘兵装「レイブレード」を喪失していることや、機動力を削がれる閉所での戦闘ということもあって、真っ向からの対決はいささか絶望的な状況にあった。

(火力の差は歴然。得意分野も半ば封じられている状態……採れる手段は少ない。だけど――)

 しかし、ケイはメットの中で、不敵に口角を釣り上げる。

「――アンジュ、お前の足でボルトレックスの攻撃を回避することはできるか?」
《ある程度ならば可能です。仕様通りの武装を搭載していると仮定した場合、オートマチックグレネードランチャーは回避可能。グラップルカッター、アンクルブレード、ヘッドブレードに関しては、接近戦に持ち込まれなければ対策は可能です》
「プラズマキャノンはどうだ?」
《障害物等を用いるならば、回避は可能です。弾速が早く、砲塔の旋回速度も高いため、静止状態で発射された場合、回避は困難と推測されます》
「なるほど。……プラズマキャノンは警戒するべきだな」
《ケイ、何をされるつもりですか?》

 アンジュに問われ、ケイは小さく鼻を鳴らす。

「――作戦がある。お前に付き合ってほしい」

 


***

 


「――隊長。アライアンス部隊の殲滅、完了しました」

 破棄された機材と瓦礫が散乱する大広間の真ん中で、|精密機器《パラポーン》の身体を動かし、センチネルの一人が隊長格であるセンチネルへと敬礼する。それを受けて、隊長格のセンチネルは鷹揚に頷いた。

「ご苦労。……情報に在った、同行している傭兵はどうした?」
「現在、捜索を続けております。もう一つの出入り口にも人員は配置していますが、今のところ、目立った反応はありません」
「となれば、傭兵は今だこの中か。……まぁいい。所詮相手はヘキサギアも持たない一介の傭兵だ。捨て置いても害はない。それよりも、例の物を――」
「隊長ッ!」

 隊長が部下のセンチネルへと問いかけようとしたその矢先、奥へと続く通路から、一体のセンチネルが飛び出してくる。アーマーのいたるところに損傷を抱えた痛ましい姿を見た隊長は、すぐさま何者の仕業かを理解した。

「どうした。例の傭兵にやられたか?」
「い、いえ、ヘキサギアです! 奥へ逃げた傭兵が、ヘキサギアを隠し持っていました!! こちらへ向けて、真っ直ぐに接近してきています!」

 ヘキサギア。その言葉を聞いて、周囲のパラポーンたちに衝撃が走る。

「……小賢しい傭兵め。ヘキサギアを隠し持って私たちをペテンにかけるなど、味な真似をしてくれる。――いいだろう。ボルトレックス、こちらに来い! 私自ら迎え撃つ!!」

 隊長の呼びかけに応じるように、背後から重く硬質な足音が響き始める。数秒もしないうちに、隊長の元には巨大な機械仕掛けの恐竜が――ヴァリアントフォースの主力ヘキサギア「ボルトレックス」がはせ参じた。

「他の者は捜索を継続! 敵ヘキサギアとの戦闘は避け、発見次第即時撤退せよ!」
『了解!』

 指示を飛ばしながら、隊長が軽やかに跳躍し、身をかがめたボルトレックスの背に設けられた操縦席へと飛び乗る。奮起するかのように駆動音をかき鳴らしながら、ボルトレックスが勢いよく立ち上がり、迎撃の体勢を取った。


***


《ケイ、前方にヘキサギアの熱源を確認。データ照合の結果、ボルトレックスタイプと判別しました》

 ヘキサギア一機の通行がやっとの通路を、ケイを乗せたレイブレード・インパルスが駆け抜ける。瓦礫と荷物に阻まれた通路はちょっとした迷路のようになっていたが、ケイたちは壁や天井を蹴り抜き、全く速度を落とさないまま走行していた。

《5秒後に会敵》
「速度そのまま。――真ッ正面から押し通すぞ!」

 高らかな宣言から数拍を置いて、ケイが、レイブレード・インパルスが、大広間へと躍り出る。
 すぐさま跳躍した直後、寸前までケイたちが駆けていた場所を、高圧のプラズマが吹き飛ばした。

「――お出ましか、小賢しい傭兵!」
「――邪魔なんだよ、木偶人形が!」

 互いに視線をからみあわせて、ケイが、隊長格のセンチネルが、吐き捨てるように一言。直後、再び放たれたプラズマキャノンの青白い炎が、二人の視界を眩く遮った。

「アンジュ、瓦礫を蹴って跳べ! 足を止めるなよ!」

 ケイの指示に従い、白い獣が風のように駆ける。グラビティ・コントローラーを駆使し、追撃のグレネード弾を躱しながら、レイブレード・インパルスは次々と瓦礫を飛び移っていった。

「小癪な!」

 前足部に取り付けられた、大口径のオートマチックグレネードランチャーから硝煙を迸らせながら、隊長が忌々し気に毒づく。
 両足上部の装甲から伸びるプラズマキャノンから絶え間ない閃光が迸るが、打ち放たれたプラズマが俊敏に駆け回る獣を捉えることはなかった。

「ッ――大人しくしやがれ!」

 ケイが叫ぶと同時に、レイブレード・インパルスの首元、タテガミのように備えられたオートマチックグレネードランチャーが火を噴く。放たれた擲弾はボルトレックスの頭上を通り過ぎ、その直上にある天井に着弾し、爆炎を上げた。

「ちっ!」

 はじかれるように、ボルトレックスが降り注ぐ瓦礫から逃れる。再び火を噴いたボルトレックスのグレネードランチャーが、今度はレイブレード・インパルスが目指していた瓦礫を粉砕した。

「クソッ!」

 寄りかかる足場を失い、レイブレード・インパルスが大きく体勢を崩す。転がるように着地した獣めがけてプラズマキャノンが撃ちこまれ、辛くも回避した獣の白い装甲を、赤く焼いた。
 負けじと、レイブレード・インパルスのタテガミのもう片方、槍のように伸びるチェーンガンから、断続的に閃光がばらまかれる。自身とガバナーをかばうように身をたわめたボルトレックスの全身から、オレンジ色に光る火花が飛び散った。

「図に――乗るな!!」

 隊長と共に、ボルトレックスが咆哮する。再び打ち放たれた青白い雷が、飛び退いて身をひそめたレイブレード・インパルスの頭上を掠めた。
 連続で火を噴いたランチャーから撃ち放たれ、大型のグレネード弾が飛翔する。レイブレード・インパルスが隠れる遮蔽物に着弾すると、爆炎と共に遮蔽物を砂煙へと変じさせた。

「うおおぉぉッ!!」

 砂煙をたなびかせ、爆煙を切り裂いて、煤|塗《まみ》れの白い獣が躍り出る。チェーンガンとグレネードランチャー、持ち得る火砲で同時に火を噴かせながら、レイブレード・インパルスは一直線にボルトレックスめがけて突進を敢行した。

「愚かな――!!」

 展開したボルトレックスの長い尾――テイルブレードが振るわれる。鞭のようにしなやかな軌道を描き、レイブレード・インパルスの頭部センサーへと突き込まれたそれは、首を曲げた獣の頬を切り裂くだけに終わった。

「はああぁぁッ!!!」

 ケイが吼えると同時に、白い獣が全体重を乗せて、ボルトレックスへと体当たり。自身の搭乗者ごと吹き飛ばしてしまいそうな、突き上げるようなタックルを受けて、しかし恐竜は踏みとどまった。

「無駄なあがきをォッ!!」

 そのまま、上半身を使ってレイブレード・インパルスを抑え込んだボルトレックスが、テイルブレードと前足のグラップルカッターを叩き込む。白い装甲をひしゃげさせ、フレームに傷を付けながら、白い獣はなおももがくが、脚力に優れるボルトレックスの拘束力はすさまじく、ミシミシと装甲を軋ませるだけだった。

「……ふん。傭兵風情が、よくもこんな機体を手に入れられたものだ」

 やがて、獣は完全に抑え込まれる。
 突き立てられた刃に恐れをなしたかのように、レイブレード・インパルスはボルトレックスの下で、悲鳴を上げて地に伏せった。

「想定外の奇襲だったが……まあいい。貴様の首を掻き切って、この機体も戦利品として――――ッ!」

 ボルトレックスの操縦席越しに、白い獣のガバナーを見やった隊長が、驚愕と戦慄に言葉を詰まらせる。

 

 

 ――人影があって然るべき場所。
 レイブレード・インパルスの操縦席は、もぬけの殻だった。

「――よくやった、アンジュ」

 直後。隊長の背後で、先ほどまで上がっていた咆哮と同じ声が響き渡る。

「な――」
「トドメだ」

 振り返る暇もないまま、隊長の胴体を、翠玉色の軌跡が駆け抜けた。

 バランスを崩し、隊長がボルトレックスの操縦席から身を投げ出す。それと同時に、ひと時沈黙していたレイブレード・インパルスが、勢いよくボルトレックスを跳ね飛ばし、廃屋の壁に叩き付けた。

「……バカな。ヘキサギアに乗っていたはずのお前が、何故……!」

 驚愕の声をもらしながら、隊長は下半身の感覚が無いことに気付く。見れば、自分の真横に、中身を露わにした機械の半身が転がっていた。

「タックルに合わせて、操縦席から飛び出したんだよ。……不意を突いてお前を叩き切るなら、これしかなかったからな」

 歩み寄ったケイが、握りしめた愛剣を――透き通った翠玉色の刀身を持つ、肉厚な片手剣の切っ先を、隊長の喉元へと突きつける。
 肩をすくめるケイの視界の端には、グラビティ・コントローラーでボルトレックスを圧砕する、レイブレード・インパルスの姿が映り込んでいた。 

「……機体を、囮にしたというのか。なんという、常識知らずな戦いだ……」
「あいにく、俺は独り身の傭兵だ。お前らの言う常識なんざ、とっくの昔に犬に食わせたよ」

 背後で爆発音と、ヘキサグラムの出力が低下していく音がこだまする。数刻すると、硬質な足音と共に、レイブレード・インパルス――アンジュが、ケイの側へと歩み寄ってきた。

「……ふん、まぁ――いい。どの……ち、私たちの目的は……でに達している」

 機械の身体に限界が迫っているのか、発生器から漏れる言葉が、ノイズを交えて途切れ始める。
 ケイが詰め寄り、発言の内容を追求しようとするその前に、再び隊長が切れ切れの言葉を紡いだ。

「アライ……ンスに与する……らば、心に刻んでおけ。――貴様らの敗北は近い、とな」

 軋む腕をかすかに持ち上げ、ケイへと指を突きつける。言葉を締めくくると同時に、隊長の躯体はぱたりと力尽き、動かなくなった。

《ケイ。周囲に展開していた熱源が離れていきます。パラポーン部隊、撤退したようです》
「そうか。――――終わったな」
《そのようです。メインシステム、戦闘モードを解除します》

 昂ぶる心臓を落ち着かせるように、レイブレード・インパルスの中から響く駆動音が、徐々に音階を下げていく。
 戦いの終わりを告げる音を耳にしながら、ケイは静かに周囲を見回した。

「……アンジュ、周囲に生命反応はあるか?」
《サーチ……完了。――ケイのもの以外に、反応はありません》

 微かな希望が、天使の冷たい囁きに撃ち砕かれる。言葉を交わした者を喪失したことを実感して、ケイはメットの中で、消え入りそうなため息を吐き出した。

「わかった、ありがとう」
《ケイ、戦闘は終了しました。これからどうしますか?》

 ゆっくりと愛剣を背のホルスターに納めるケイに、アンジュが問いかける。

「どう、って聞かれてもな。……形はどうあれ、俺の受けていた依頼は終わった。あとは、ねぐらに帰るだけだ」
《そうですか。……ケイ、質問があります》
「なんだ?」
《私は、これからどうすればよいでしょうか?》

 再び、アンジュが問う。妙なことを聞くな、と答えようとして、ケイは半ば開いた口をつぐんだ。

(……そうか。コイツは、さっき目覚めたばかりだ。何をするべきかもわからない、無知な子供なんだ)

 眼前に立つ白い獣は、ひとときの戦いを駆け抜けた戦友である以前に、誰にも見つけられないまま長い眠りを享受していた、無知な存在。そのことを思い出したケイは、ひと時逡巡した後、改めて口を開いた。

「――アンジュ。さっきお前は、俺の指揮下に入るって言ったな?」
《はい。会話ログにも記録されています》
「そうか。……アンジュが指揮下に入るって宣言した。照射区はしたけど、ガバナーの登録もした。――だったら、お前は俺の所有物ってことになるな」
《……当機に登録されたガバナーのデータは、ケイ以外に存在しません。それを考慮するならば、当機は確かにあなたの所有物とみなして間違いないでしょう》
「なら、どうすればいいかなんて決まってる」

 言いつつ、ケイはレイブレード・インパルスの装甲に手をかけて、ひらりと操縦席へと飛び乗る。伸ばした手でコンソールを操作すると、パネルには一つの座標が設定された。

《この座標は?》
「俺のねぐらの場所だ。言っただろ、依頼を終えたら後は帰るだけだって。――所有物なら、持って帰るのが常識だろう?」


「お前は今日から、俺の新しい相棒だ。――まずは、無事に帰るぞ」
《――――わかりました。ケイ、これからよろしくお願いします》

 無機質でいて、どこか嬉しそうな|機械音声《こえ》をささやきながら、|天使《アンジュ》の名を冠された白い獣が、身を翻す。
 砂塵の吹きすさぶ荒野へと進み出た獣は、抱えたホイールを|嘶《いなな》かせながら、砂煙を巻き上げて、廃墟から走り去っていった。

 

 

*********

 

 

というわけでこんにちはー、コネクトにございます。

 

今回は前回更新した二次創作小説「ヘキサギア外伝 崩界のクラウ・ソラス」の後編をお送りさせていただきました。コネクト本人としては、中々の作品に仕上がったと自負しております。

 

個人的に力を入れたのは、敵ヘキサギアとの戦闘シーンです。目まぐるしく動く第三世代ヘキサギアの戦闘を表現するためにあえて文字数を削り、最低限の描写のみで執筆することを心がけました。

同様のことは、拙作「落ちこぼれ」の19話でもチャレンジしています。あちらは戦闘と会話で緩急をつけていましたが、こちらはより激しい戦闘をイメージして、現在の形に仕上げてみました。

 

それと個人的な着目点として、「ヘキサギアとガバナーの連携」も意識しています。敵センチネル隊長にとどめを刺したシーンがそれですね。

ヘキサギアとガバナーは人機一体であり、同時に互いの命を預けるかけがえのない相棒……という設定をイメージしております。もっとも、両者の地力は歴然であるため、ピンポイントでガバナーを活躍できるようにするため、本編中のような展開を設けてみました。私的にですが、一連の戦闘シーンはよくできたんじゃないかと自負しておりますw

 

久しぶりに二万文字近い短編を執筆しましたが、不思議なことにノンストップで執筆が進んだのが、個人的には不思議でした。現在執筆中の落ちこぼれが進まないのとはえらい違いです。

コネクト本人もかなり楽しい執筆だったので、いつか構想が思いついたら続編の執筆も考えるかもしれませんw

もっとも、現在は落ちこぼれやBBBの執筆を抱えていますので、あまり追加すると過去の二の舞になりそうですがね……。ほどほどに考えつつ、できればいいなくらいの気持ちでいようと思いますw

 

それでは、今回はここまでとさせていただきます。

閲覧ありがとうございました~ ノシ

ヘキサギア外伝 崩界のクラウ・ソラス[前編]

 


 ふと、無機質な電子音が耳に届いて、青年は眠りの海から意識を浮上させた。

「……ん……」

 起き抜けのぼんやりした五感で、音の出所を探す。覚束ない手をゆらゆらと動かしてみれば、すぐに音源と思しき小さな機械が掌中に収まった。


「――はい、「クラウ・ソラス」のケイです。……どちら様ですか?」
「やぁ、初めまして。私は「リバティー・アライアンス」の構成企業「メテオール・インダストリアル」の代表を務めている、グレゴールという者だ。よろしく、クラウ・ソラスのケイ君」

 端末の向こうからは、威厳のある渋い男性の声が聞こえてくる。グレゴールと名乗った電話の主は、穏やかな口調で丁寧な挨拶を交わしてきた。

「はぁ、宜しくお願いします。……それで、本日はどういったご用件で?」
「うむ。さっそくで悪いが、手短に要件を伝えさせてもらおうか」

 鷹揚に頷くようなそぶりを見せてから、グレゴールは改めて口を開く。

「リバティー・アライアンスから、正式に君へと依頼を頼みたい。――以前アライアンスが所有し、「ヴァリアントフォース」の襲撃によって破壊された、とある廃棄された工場施設がある。重要なデータや、建造された「ヘキサギア」の大部分は、すでに持ちだすことに成功しているのだが、なにぶん奇襲だったのでな。正確にどれほどのものを持ちだすことができたのか、われわれにも把握できていないのだ」
「なるほど。……つまり、俺にその廃工場を調査してくれ、ということですね?」
「その通りだ。――君への依頼は、こちらが派遣した調査部隊と連携し、工場跡地に残された有用な物資を回収。可能な限りを持ち帰ることだ。報酬は、どれほど希少なものを持ち帰ることができたかに応じて支払わせてもらおう。……むろん、最低限の報酬は用意してある。悪い話ではないと思うが、引き受けてはくれないかね?」
「……」

 一度端末を耳元から離し、ケイという名の青年は思案する。しばらく顎に手を当て、黒髪で視界を隠して考え込んでいたが、やがて小さく頷いたかと思うと、ゆっくり端末を耳に当てた。


「――わかりました。その依頼、受けさせてもらいます」


***

 エネルギー問題が未解決のまま、人類が衰退の一歩を辿り続ける、近未来。
 枯渇した燃料資源に変わり台頭した、激甚な汚染と引き換えに無尽蔵に近いエネルギーを生み出すエネルギーパック「ヘキサグラム」と、それを搭載した汎用工業規格「ヘキサギア」の登場によって、世界の情勢は瞬く間に塗り替えられることとなった。

 衰退した文明の再建を担う人工知能「|SANAT《サナト》」。
 人類の文明を守り、再びの繁栄とその永続を目的に建造されたそれは、ある日を境にいびつな変化を遂げ始めた。

「人類存続のためには、その意識と記憶、文明と歴史を電子化し、情報体として保存する以外の道はない」

「プロジェクト:リ・ジェネシス」と銘打たれた人類救済計画の下、SANATは複合企業体「M.S.G.」を支配し、計画遂行のための軍事組織「ヴァリアントフォース」を結成。
 情報体化した意識と機械の身体を持つ無数の兵士を従えて、プロジェクト:リ・ジェネシスを推し進めていった。

 しかし、ヴァリアントフォース、ひいてはプロジェクトに反発する人々もまた、数多く存在していた。
 彼らは団結した各企業の元力を合わせ、打倒SANATを宣誓。「人が人である自由を勝ち取る為」という理念の下、「リバティー・アライアンス」という企業同盟軍を結成し、ヴァリアントフォースとの真っ向勝負に打って出た。


 人類救済のための理念を掲げるヴァリアントフォースと、それに反発するリバティー・アライアンス。二つの陣営の熾烈を極めるぶつかり合いは、世界へと及ぶ。
 人類の命運をかけた戦いは、「獣」を宿した兵器たちと共に、今なお続いていた……。


***


 風を切る音が、メット越しにケイの耳朶を叩く。
 砂埃吹きすさぶ無人の荒野を、甲高い音を引き連れながら、一台のホバーバイクが高速で疾駆していた。

「……ん、あれか」

 大推力スラスターによる高速移動を可能とする、ケイ手ずから作成したホバーバイク型ヘキサギア「マッハスティンガー」の進行方向、砂塵に煙る遠景の奥に、うすらと大きな構造物らしき物が影を見せる。
 依頼主から受け取った情報通りならば、眼前の構造物こそが、リバティー・アライアンスがかつて所有していた工場施設の跡地に間違いない。色彩のない退屈な風景が終わることに内心で生成しながら、ケイはマッハスティンガーのハンドルをひねり、ひと際強く増速をかけた。

 

 

「お待ちしていました、クラウ・ソラスのケイさん!」

 マッハスティンガーを駐機させ、シートから飛び降りたケイを、複数の人影が迎える。
 話しかけてきたのは、野戦服と防弾用のジャケットといういでたち――俗に言う「アーリーガバナー」と呼称される装備に身を包み、小脇に小銃を携えた、いかにも兵士然とした風貌の男性だった。かぶっているメットで顔は隠れているが、物腰や若々しい声音から察するに、おそらくさほど年を食っているわけではないのだろう。

メテオール・インダストリアル調査部隊のリーダーを務めます、ヴァンと申します。部隊の人たち共々、今日は宜しくお願いします!」
「あぁ、よろしく。……早速行くぞ」
「了解です! ……それにしても、本当に「ポーンA1」のアーマーを着用していらっしゃるんですね。私、一瞬アライアンスの方と見間違えてしまいました」

 ヴァンと名乗った隊員に問われ、ケイはメット越しに自分の姿を改めて見回す。
 ケイが着用しているのは、「ガバナー」と呼ばれるこの時代の兵士が着用している、「アーマータイプ」と呼ばれる特殊なコンバット・スーツだ。
 ヘキサグラムがもたらす環境汚染と、苛烈な戦闘の両方に肉体を適応させるため開発されたそれは、主に生身の身体を持つ兵士が大多数を占めるリバティー・アライアンスで運用されている。特に、ケイも着用している、西洋甲冑のようないでたちのアーマータイプ「ポーンA1」は、現在のアライアンスで最も多く運用されているアーマータイプであるため、ヴァンが見間違えるのも無理はない話だった。

「……まぁ、たまたま手に入れる機会があったからな。捨てる理由もないから、使い続けているだけだ」
「なるほど……ポーンA1を着こなせるということは、手練れの傭兵に間違いないですね! 頼りにさせていただきます!」
「……善処するよ」

 言葉少なにヴァンへ会釈を返し、ケイは踵を返して工場跡へと踏み入るべく歩を進めた。

 


***

 


 崩落した屋根から差し込む光に、舞い散る埃がちらちらと輝く中を、金属質な足音を響かせながら、ひたすらにケイが踏み入っていく。戦火に巻かれ、それきり放置されていることが伺える廃墟の内部は、ひたすら瓦礫と破壊された機材で埋め尽くされていた。

「……何もなさそうだな」
「いえ、ここは製造施設の入り口です。もっと奥に行けば、大型の兵器やヘキサギアを製造していた施設や機材が眠っているはずですよ」
「そうか。なら、手早く終わらせるぞ」

 ヴァンと調査部隊へと静かに促し、ケイはさらに奥へと歩みを進めていった。

 

 

「……ん、これは使えそうだな」

 手近な端末の画面に、サルベージされないまま放置されていたと思しき、試作兵器のデータが映し出される。
 差し込んだ外付けメモリにデータを落とし込み、雑に後ろへ投げてよこすと、ヴァンは危なげない様子でそれをキャッチした。

「ありがとうございます。これで、サルベージできたのは三つ目ですね」
「あぁ。まぁ、流石に現物はなさそうだけどな」
「ヴァリアントフォースの襲撃は、それは手ひどいものだったと聞いています。調査部隊として任命された私が言うのもなんですけど、あるのは良くてスクラップの山……といったところじゃないでしょうか」

 どこか気落ちしたような語調でヴァンが頬を掻くが、ケイは特に気にしたそぶりを見せずに踵を返す。

「最初から、あれば儲けものくらいの仕事なんだ。データのサルベージができただけ幸運だろう。……ここはいい。次に行くぞ」
「了解です!」

 はきはきと返事をして、踵を返すケイの背中をヴァンが追随する。

 

 

「――え?」

 その直後、乾いた音が響き渡って。
 ヴァンの身体が、不自然にその場で頽れた。

「ッ――」

 頭が理解するより早く、何が起こったのかを察知したケイの身体が、すぐさまその場から飛び退る。直後、その場を無数の銃弾が薙いだ。

 

「――ふむ、情報通りだ。よし、各部隊散開! アライアンスのハイエナどもを皆殺しにしてやれ!」
『了解!!』

 ケイが物陰に身をひそめると同時に、重苦しい足音の合奏を響かせて、無数の人影と巨大な「獣」が、廃工場へと踏み入ってくる。
 困惑する調査部隊の面々へと弾丸を浴びせながら、人間味を感じさせない動作で、無数の人影――ケイが着用するそれとよく似たアーマーを纏った兵士たちが、次々と廃工場へと押し入ってきた。

(――あの装具にヘキサギア、ヴァリアントフォースか! ボルトレックスまで引き連れた部隊が、どうしてこんな廃工場に……!)

 平積みされたコンテナの陰から、ケイはわずかに顔を覗かせ、襲撃者の正体を探る。
 襲撃者――VFの部隊と思しき、「センチネル」と呼称されるアーマーを纏った兵士たちが引き連れている獣は、戦闘を目的に開発された工業規格「ヘキサギア」だ。獣を模したシルエットが生み出す高い敏捷性と、搭載した火器による高い火力を両立したそれは、現代の戦争における標準的な兵器として、世界に広く普及していた。
 そして、センチネルの部隊たちが引き連れるヘキサギアは、「ボルトレックス」と呼ばれている。二足歩行の恐竜を模したそれは、高い安定性と高火力な火器から、VFの主力兵器として運用されていた。

(……いや、考えても仕方ないか。――あの数、一人で切り抜けるには厳しい。だが、調査部隊の連中を見殺しにしていいものか……)

 自身の命と調査部隊の命を天秤にかけ、ケイは数瞬迷う。と、倒れていた人影――ヴァンが首をもたげ、ケイへと手を伸ばした。

「……ケイ、さん。これを……」

 ヴァンの手には、彼が身に着けていたポーチ――廃工場で改修したデータを封入したメモリが詰まったポーチと、廃工場の見取り図を映した端末が握られていた。

「マップには、もう一つ、出入りできる場所があります……。そこを通って、脱出してください……」
「脱出って……お前たちはどうするんだ?」
「気にしないで、ください。……たぶん、助かりませんから」

 マスクで表情は見えないが、その声音からは何処か悟ったような色がありありと浮かんでいる。撃たれた箇所が悪かったのか、背中からは夥しい量の血が流れており、誰が見ても助けられる見込みが低いことを、音もなく物語っていた。

「集めたデータ、貴方に託します。……貴方だけでも、生き延びてください!」
「……」

 ヴァンに促され、ケイは迷いを振り切る。自らの不用心が招いた現実に歯噛みしながら、ケイはその場で静かに立ち上がった。

「――すまない」

 踵を返し、ケイは工場の奥へと走る。
 背後では、渇いた発砲音と悲鳴が、BGMのようにこだましていた。

 

 

 


***

 

 

 

 硬質な足音を反響させながら、ケイはひたすらに工場の奥を目指して疾駆する。幸か不幸か、筋力を増強する効果を持つ装具の効力で、彼は振り返ることなく駆け抜けることができた。

「……っと」

 ふと、ケイは足を止める。駆け抜けていた通路の先を埋め尽くすように、崩落した瓦礫が身を横たえていた。
 手元の地図に視線を落とし、別のルートを探す。少し精査してみれば、ほど近い場所に抜けられそうなルートを発見できた。

(……広い場所に通じてるのか。連中の目にとまる可能性もあるが……抜けるには潜るしかないか)

 踵を返し、脱出経路をたどって、再びケイは走り始める。
 少し走れば、すぐに脱出口に繋がる大広間へと躍り出ることができた。

 


 直後、視界へと飛び込んだものに、思わずケイの足が止まる。

「――――……これ、は」

 そこに居たのはは、まるで眠るように身を伏せ、その場に静かに鎮座する、鋼鉄の獣。

「ヘキサギア――「レイブレード・インパルス」……!!」

 四足の獣を模した、白いヘキサギア――「レイブレード・インパルス」が、そこに眠っていた。

 

 

*********

 

 

というわけでこんにちはー、コネクトにございます。

新年一発目の創作を投下させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。

 

今回は、前後編に分けた短編小説として、前回の記事でも触れた「ヘキサギア」の二次創作小説、その前編部分をお送りさせていただきました。

もともと、ヘキサギアは充実した設定と自由度のある世界観で、ユーザー側が独自に物語を考えて楽しむことに特化した商品シリーズです。しかも、最近は公式側から「ミッション」と呼ばれるユーザー参加型企画が開催されているなど、一ユーザーが妄想の中に浸るには、非常に理想的なシリーズとして着々と完成されてきているのです。

そんなヘキサギアの世界観に嵌ったコネクトも、頭の中でいろいろとお話を考えたり、次回開催されるミッションに参加してみたいなぁとぼんやり考えていたりしていた中で、公式サイトで公開されているストーリーを見て、ふと思いました。

「自分でマイガバナーのお話書いたら良くない?」と。

そう考えると居てもたってもいられなくなってしまい、勢いのまま殴りつけるように書いたのが、本作「ヘキサギア外伝 崩界のクラウ・ソラス」です。

公式側から公開されている設定が限られている*1中で描いた作品であるため、公式様の世界観とは齟齬が見られるかもしれませんが、そこは二次創作ということで大目に見ていただければ幸いです。最悪後で修正すればいいし。

 

続編となる後編は現在執筆中で、近日中に書き上げてこちらに投下させてもら予定です。

また、本作はpixivやハーメルンにも同名タイトルで投稿を予定しておりますので、もしそちらで見かけた際には宜しくお願いいたします。

今回のラストでヘキサギアとの邂逅を果たした主人公・ケイは、いかにして窮地を切り抜けるのか。ご期待頂ければ幸いです。

 

それでは、今回はここまで。またあいませうー ノシ

*1:近日中に設定資料集の公開予定あり

新年のご挨拶。


本ブログをご覧になってくださっている皆々様、

あけましておめでとうございます!

めでたい新年の初日、いかがお過ごしでしょうか。ブログ主のコネクトです。

 

長いようで短かった2018年が瞬きの間に過ぎ去ってしまい、早くも平成が終わりを迎えようとしています。

コネクトとしては、地獄のような一年が終わりを迎えてくれたことに、内心安堵のため息を漏らしておりますw

(家庭崩壊の危機とか自宅消滅の危機とか、リアルでは本当に色々とありました…)

 

ですが、今日からは新たな一年が始まります。なのでコネクトも心機一転、新しい日々をしっかりと過ごしていこうという所存です。

もっとも、活動の内容は今までとさほど変わらないかと思われます。なのでなにとぞ、これからも私と私の創作物たちに、変わらぬご愛顧を頂ければ嬉しいです!

 

 

本年度の活動は、主に

・オリジナル小説の連載

・創作イラスト

・プラモデル制作

を予定しています。

去年より小説家になろうにて連載しております拙作「落ちこぼれの冒険者だけど、地上最強の生き物と共に最強の冒険者を目指すことになりました(https://ncode.syosetu.com/n0068fc/)」の連載を始め、設定を全面的に削進氏、本格的な再始動を予定している「Blue Bright Blade―蒼の煌刃―」や、それに関連するオリジナルイラスト。ひいては近頃ツイッターで公開しているプラモデルの制作などを主な活動内容にしていこうと考えておりますので、興味がある方はぜひご覧いただければと思いますー。

 

プラモデルに関する話題が出ましたので、こちらでも少しお話を。

最近のコネクトは、少し前にシリーズ展開が始まった、コトブキヤ製のオリジナルキットブロックプラモデル「ヘキサギア」に嵌っており、それに関連する活動を少しずつ始めている次第です。

hexa-gear.com

スクラップ&ビルドをコンセプトに生み出されたメカ「ヘキサギア」と、それを操るパイロットにしてユーザーの分身である「ガバナー」。二つのキットで演出されるスケール感と世界観に、硝煙のむせるにおいが立ち込める熱いストーリーが組み合わさった非常に魅力的なシリーズは、展開開始当初こそ微妙に思えたものの、いざ手に取ってみればすぐにその圧倒的な遊び心に魅せられる結果となりましたw

お値段そのものは少々高めですが、こういった手合いのモノが好きな方ならば、ぜひ一度好きな組み合わせで手に取ってもらえれば、と思います。

(そもそもバン◯イ製プラモの値段が安すぎるともいえるんですが、まぁそれは置いといて)

 

それでは、ヘキサギアの軽い紹介をしたところで、今回は終了とさせていただきます。

2019年のコネクトはさらに創作に力を入れていきたい所存ですので、これからの一年、どうかよろしくお願いいたします!

ではではー。

「落ちこぼれ」に出てくる魔物の解説。

 

※本記事は、拙作「落ちこぼれの冒険者だけど、地上最強の生き物と共に最強の冒険者を目指すことになりました。(https://ncode.syosetu.com/n0068fc/)」にて出演した「魔物」達に関する設定をまとめたページとなります。

 本編とは全く無関係な設定資料的な記事となりますので、本編が読みたい方は上記URLより小説ページへの移動をお願いします。

 

※本編に関する言及はありませんが、内容の都合上ネタバレに近いものを含んでいます。未見の方でこれから読む方はご注意ください。

 

***

 

更新履歴…

2018/12/02…

・冒頭部分に、魔物に関する基礎情報を追加しました。

・第2章に登場した魔物の情報を追加しました。

 

***

 

 魔物とは
「この世界」に満ちる超自然的なエネルギーである「魔力」を糧として生きる生物たちの総称。
 通常の生命体との違いとして、魔力を精製する器官である「魔晶核」を有しているのが大きな特徴。
 これが存在することで、魔物たちはある程度自由に魔力を使役することが可能。そのほか、植物系の魔物や無機物の体を持つ魔物などは、この魔晶核で生命活動を行なっている。
 魔晶核の大きさで、行使できる魔力の総量が決まっており、強大な魔物たちは総じて体内に大きな魔晶核を有している。
 また、魔晶核は魔力を取り込んだり放出することが可能な器官であり、討伐された魔物から取り出された魔晶核は、加工されて一部の道具の燃料機関として利用されている。

 

***

 

第1章…

 

グラスラプトル Grass Raptor)

(登場回:第1話)

 二本の足と小さな手足を持つ「ラプトル」系の魔物。草原地帯を中心に生息しているが、狩りのために出向いているのかその他の地域でも見かけることが多い。
 ラプトル系の中でも比較的スタンダードな種類であり、他のラプトル種にも共通する、発達した脚力が最大の特徴。その敏捷性で地形を問わず軽快に駆け回り、獲物を仕留めることを得意とする。
 肉食であり、群れで狩りをすれば自分たちよりも大きな獲物を仕留めることもある。人間相手にも積極的に襲いかかることが多いため、冒険者組合でもよく討伐の依頼が張り出されており、比較的メジャーな魔物といえる。ただ、その凶暴性から脅威度は高く、討伐依頼を受注できるのは駆け出しから卒業した「銅」ランクからとなる。
 ちなみに、ラプトル種の尻尾の肉は珍味として知られており、大衆酒場ではよく酒のつまみとして提供されている。

 

ブラッドウルフ Blood Wolf

(登場回:第2話)
 狼と酷似した体躯を持つ「ウルフ」系の魔物。森や岩場などを主な住処としており、小規模な群れを形成して生活する。
 名前の通り、赤い体毛が最大の特徴。縄張り意識が非常に強く、外敵に対しては一切の容赦をしないという習性を持っており、「縄張りに近く外敵を威嚇するために、体毛が赤くなったのではないか」という学説は有名。
 獰猛だが、その反面非常に利口。自分たちを守ってくれたり助けてくれるような、自分たちに対して益を与える存在を見極められるらしく、そういった存在に対しては仲間として接し、自分たちの群れに受け入れるという習性を持っている。
 ちなみに、生傷が絶えないためか、傷の入っていない体毛(皮)は貴重品。染色剤では出せない鮮やかな色合いは各所で珍重されており、良質なものは貴族の間でも調度品として使われている。

 

パニッシュ・レオーネ (Punishment Leone)

(登場回:第4話、第5話)
 隆々とした四肢に立派な鬣を備える「レオーネ」系の魔物。
 別名「コルシャの森の主」。その異名どおり、コルシャの森のごくわずかな地域にのみ、生息していることが確認されている。
 人間を一飲みにできるほどの巨大な体躯と、背中付近から生える刃のように鋭い翼状の器官である「刃翼」が最大の特徴。刃翼には魔力を巡らせることが可能で、翼をはためかせて放つ切れ味の鋭い衝撃波を主な武器とする。
 個体数の少なさと、高ランクの冒険者さえも歯牙にかけない圧倒的な強さから、詳しい生態は判明していない。レオーネ種の一体であり、同じ翼状の器官を備える「ウィングレオーネ」との類似点が指摘されているが、詳細は未だ解明されていない。

 余談だが、過去には何度か討伐が達成された記録が残されている。その刃翼を素材にして作られた一振りの剣は、俗に言う「魔剣」に比肩するほどの性能を持っていたという。

 

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第2章…

 

ウィップラット(Whip Rat)

(登場回:第9話)
 小さく丸い体躯と細く長い尾を有する「ラット」種の魔物。常に群れており、狭く薄暗いところに好んで生息するが、一部の種族は平原や森の中に縄張りを作ることもある。
 通常のラット系魔物よりも太くしなやかな尾が本種の特徴であり、鞭のように相手へと打ち付けて攻撃ができるほか、そこに魔力を集中させることで、戦技とよく似た攻撃を繰り出すことができる。
 ラット種に共通する特性として、雑食性であり、食べられるものならば見境なく餌にしようとする習性がある。時には食糧品を載せた馬車や、それに乗っていた人を襲うこともあるため、討伐依頼が絶えることはない。
 ただ、雑食性ゆえか肉は不味く、他の素材もさほど有用性はないため、討伐依頼は冒険者の間でも「ハズレ依頼」と呼ばれている。

 

シルトラビット(Shield Rabbit)

(登場回:第14話、第15話)
 小柄な体躯と、引き摺るほどに長く垂れた耳を持つ「ラビット」種の魔物。森林地帯に多く生息するが、時たま平原などでも見かけられる。
 ラビット種の魔物は、その大半が臆病な性格の持ち主だが、シルトラビットは例外的に非常に勇敢。外敵が危害を加えようとしているのを察知すると、「盾石」と呼ばれる額の宝石から障壁魔法を展開して、外敵から自分と仲間を守ろうとする習性がある。

 ただし、明確な攻撃手段は持たないため、障壁魔法が破られると完全に無力化してしまう。その際には他のラビット種同様臆病になり、一目散に逃げるようになる。
 なお、ラビット種の生息範囲は非常に広く、極端な環境の地域を除けば、世界各地に生息している。種によっては一般人でも比較的狩りやすく、なおかつその肉は他の魔物と比べてもそこそこに美味しいため、庶民の間では「ラビ肉」という安価なブランドとして親しまれている。

 

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 章ごとに更新。