コネクトの雑記スペース

創作小説、オリキャラ設定などの雑な記事を取り扱うところです。

エェスカリアァァァス!!(意味不 (学園)

せいせいせーい、コネクトだっせーい。
超低速更新をお詫びいたします(´w`;


さてさて、今回はいよいよ敵勢との直接対決となります!
姿を現した何者かに、ユウたちはどう立ち向かうのか…
あ、最近セツがやたら活躍してますがあくまでも主役はユウですのでww
ではでは、レッツらゴー!


*********


1章 第2幕
 第10話 激突!異能と異能の殺し合い! by 7/17


《…生徒の呼び出しをします》
放課後、サバゲー部へ向かう6人の内4人が、校内放送に飛び上がった。
「うぎょっ!……まぁさか……」
飛び上がったうちの一人、セツが苦虫を噛み潰したような顔を作る。他の三人も、同じく不安げな
表情になる。
「どうしたんだよコネクト。別に単なる校内放送だろ?」
「そうですよ、気にしちゃ負けです!」
先を歩く黒塚と日野が言う。が、ユウたちは進まない。
ユウたちは一度この校内放送で呼び出しを食らい、あまつさえ廃部を突きつけられたのだ。
そんなことがあっては、校内放送にも敏感になるというものだ。
そしてその直後、
《……コネクト・バルダーディナス、コルト・レイルソーコム、ドラグ・エル、ルシファー・
ウィン・リ・シャイン。以上四名は、すぐに昇降口前へきなさい》
「…………はあ?」
発せられたその名前に、6人はしばし呆然とする。
というのも、呼び出されたのはそれぞれセツ、ソウ、黒塚、日野のことなのだ。
彼らの「本名」を知るものはこの学園にはユウたち以外いないはず。それなのに、彼らは呼ばれた。
「………………うっし」
そう思案していると、黒塚がいきなり進行方向を変えた。彼の向く先には昇降口がある。
「……行くの?ルシア」
日野が横に並ぶ。ルシア、と言うのは彼女なりの黒塚のあだ名だろう。
「おいおい、俺らも呼び出されてるんだぞ」
「同胞さんよ、忘れてもらっちゃあ困りますぜ」
その後ろに、セツとソウがそろって立つ。
「じゃあ、いくか」
黒塚の一言で、四人は一斉に走り出した。


「……えー、っと」
いきなり空気が変わったものなので、ユウとリクがそろって置いてけぼりを食らってしまった。
「俺たちも……?」
「…………うん、行こっか」
このまま自分達だけ待機というのはどうもやりきれない感がある。
ユウとリクも、そろって走り出した。
(……自分だって異能が使えるのに、セツさんの役に立てないのは……いやだ)
なにより、ユウには異能が使えた。微弱な力とはいえ、少しでもセツたちの役に立てるかもしれない。
そう心中で思いつつ、長めの廊下を駆けていく。





「……あんたか。俺らを引っ張り出してくれたのは」
帰宅部の面々はほとんど帰り、だれも通らなくなった昇降口前。
四人と二人が、真っ向から向き合っていた。
「ええ、そうよ。よくいらっしゃったわね、warld saverの皆さん」
対峙するのは、艶やかな黒髪を長く垂らした女子生徒だ。セツには見覚えはなかったが、ソウは
同じクラスの生徒だったため、面識があった。
「あんた……コトハ委員長?!」
訝しげな口調で、ソウが聞く。
「ええ、そうよ。アタシは『沙里那 琴葉(さりな ことは)』。……最も今は、
さっきみたく委員長なんて呼ばれてるけどね」
黒髪の女子生徒ことコトハが、うっとおしそうに鼻を鳴らす。
「…で、アンタは『枢木 陶冶(くるるぎ とうや)』副委員長か」
黒塚が、コトハの後ろに立つ男子生徒に言い放つ。あまりに早く言い当てたので、セツが
「は、だれ?」とぼやいていた。
「ええ、ご名答です」とだけ答えたトウヤのいでたちは、一言で表せば「優等生」そのものだった。
銀縁の伊達メガネにかっちり着こなされた純白のカッターシャツ
右手には開いたままの本がのせられており、知的なイメージを抱かせる。
「……んで、俺たちを呼び出した理由を聞かせてもらおうかい」
黒塚が少し威圧めいた口調で言う。その瞬間から、コトハの顔に微笑が張り付いた。
「まあ、簡単なことね。…単刀直入に言うわ。あなた達に、死んで欲しいのよ」
目の前の少女の口から飛び出た爆弾発現に、一同が固まる。
「は、はあ?」
「だから、言葉のとおりよ。社会的にも、生命的にも。あなた達には、死んでもらいたいのよ」
「……理由は」
訝しげな目で、セツが問う。答えたのは以外にもトウヤだった。
「お前達が邪魔だから。それ以外にはない」
本から目を離さず、淡々とした口調で言われたのだ。セツも若干引き気味になる。
「おーう、ザ・バイオレンス………いや、そっか……なるへそ」
しかし、その直後にセツ自身が何かに感づいたようだった。コトハとトウヤ、加えて三人がセツのほうにむく。
「あんたら、最近ここらを嗅ぎまわってるっつう連中か。内通者がいるんなら納得だ」
大体あたっていたようだ。トウヤが眼鏡をきらめかせる。同時にコトハは鼻を鳴らした。
「あんな使えないゴミクズどもと一緒にしないでくれる?あたし達はね……」
妖艶な笑みを浮かべた次の瞬間、セツたちに電撃が走った。
インフェルノ様の片腕なんだから、さあ」
「……な………に?」
インフェルノ。その単語を聞いた四人がじりじりと後退る。
「……復活の兆しを見せてたっつってたけど、まさか、ホントにお出ましかよ……」
ソウがありえないとでも言いたげな顔で呟く。非情にも、それにコトハが頷いた。
「ええ、そうよ。……必要ないと思うけど、改めて自己紹介させてもらうわね。
あたしは『ウィード・ラ・プレリュード』。インフェルノ7天王〈しちてんのう〉、その5番目よ」
自慢げに告げるコトハ――否、ウィードの横から、トウヤが眼鏡をもう一度きらめかせる。
「『ゼキア・ド・ゼノ』。プレリュード隊副隊長」
彼女らはひとつの隊のリーダー副リーダーらしい。そして同時に、黒塚が驚愕の顔に変わる。
「ウィード……ゼキア……………お前ら、三年前に……」
「ええ、死んだはずだったわ。あんたたちの攻撃でね」
黒塚の口から出かけた言葉を、ウィードが先に口走る。
「でもね、インフェルノ様は素晴らしい方よ。あたし達の意識を呼び戻すばかりか、新しい体まで
授けてくださったんですもの!この恩、返しても返しきれないわ!!」
アハハハ、と狂気に満ちた笑いを漏らす。ひとしきり笑った後、ゼキアに命令を下す。
「さあ、ゼキア。この邪魔なゴキブリを片付けてしまいなさいな!」
「承知」
ゼキアが一歩前に出て、右手を高く振り上げた。直後、近くの木陰から何人もの黒ずくめの人間が飛び出てくる。
「まずは小手調べだ。いけ!」
「「「おおっ!!」」」
一斉に黒ずくめたちが襲い掛かってくる。セツたちは全員が背を合わせるように密集体制を取った。
「いいか、ノルマは一人5人!できなかったらロケラン担いでグラウンド3週だぞ!!」
「「「オーケイ!!」」」
同じく、セツの号令で4人が一斉に別方向へ飛び出した。



「ファイアっ!!」
ソウの掛け声とともに巨大な炎球が打ち出され、男たちをふきとばす。
後方から一人が肉薄してくるが、そんなものは計算済みだった。
あらかじめセットしておいたトラップが起動、男は上空高くへと打ち上げられた。
「このっ……!」
一人が肉弾戦をやめ、ソウに向かって手をかざしてきた。その手中に光る欠片が生まれ、みるまに大きくなっていく。
「氷」の異能を用いて作り出された氷塊が無数に展開され、ソウめがけて突っ込んできた。
「炎に氷で対抗なんて、バカだなお前ぇ!!」
しかしソウは凶悪な笑みを浮かべ、小さな炎をいくつも作り上げたのだ。総数は50をくだらないだろう。
対し、接近する氷塊の数は10ほどだけ。ソウはもう一度笑うと、両手を同時に前に振った。
自立兵器のごとく炎が乱舞する。氷塊は瞬く間に数を減らし、残った20あまりの炎は一斉に男に突撃する。
「うおっ……ぐほああああああっ!?」
ガトリングのごとく打ち込まれた炎に吹き飛ばされ、男は錐揉み回転しながら地に突っ伏した。



「せあっ!!」
セツの前に立ちふさがる数人が、蒼剣の一撃で地に伏した。
続けて上方から電撃を撒き散らしてくる女に向かい、野球ボール大の炎を次々に打ち込み撃墜する。
「どーしたどーしたぁ?ライセンス持ちはそんなんじゃ倒せんぜぇ!!」
長くのびた炎が蒼い龍のごとく舞い踊る。よけた一人の肩に、セツの手が勢いよく組み付いた。
「ヒィィィートォ…………」
何をしようとしているかを悟り、逃れるために必死にもがく。が、手遅れにすぎなかった。
「エンドォッ!!!」
瞬間、蒼い閃光が煌き、男ははるか後方にある金網まで一瞬で吹き飛ばされた。
「いーねぇこれ……パルマフィンガーとでも名づけようかね」
大出力の砲撃を行った後にも関わらず、セツは呑気に呟いていた。




「『クロス・レイジ』、ライトシュート!!」
日野が放った風の衝撃波――いわゆる「カマイタチ」が、少女だと舐めてかかってきた少数の男達を
一気に吹き飛ばした。ドサドサと男達が積み重なる。
しかしかわしていた一人が、ヌンチャクを振り回しつつ肉薄してきた。日野もあわてて風の壁を作り上げ、
応戦する。
「あ、ま……いよっ!」
直後、風の壁が崩壊。漏れ出た暴風が男を担ぎ上げ、投げ飛ばした。
「いけっ!『クロス・レイジ』、へヴィ……ブラストーーーーっ!!」
玉露の色に照り輝くカッターが放たれ、男の胴を横一文字に薙いだ。胴は切れなかったが、その後ろで直撃を受けた
大きめな樹木がパックリと割れた。




「『フルブラスト・フェザー』、アァタァック!!」
黒塚の背からのびた漆黒の翼から、無数の羽根が乱舞する。
かく乱され、身動きできない黒ずくめたちに次々と突き刺さり、鈍痛を走らせて駆け抜ける。
と、黒塚の頭上で小さな雲が発生、直後に煌き、にび色の電撃を放った。
「あたるとおもってるのかよ……!甘いっ!」
しかし黒塚はミリ単位でそれを回避、撃ったと思しき男に向かい、どす黒いレーザーを放つ。
「堕天使は、その程度では死なないぜ!」
格好つけた直後レーザーが着弾。周囲の敵をも巻き込む巨大な爆発に変わった。




それら一連の戦闘を見て、なおウィードは不敵に笑う。
「流石に、全員がライセンスとかいう証明書まがいのものをもっているだけあるわね…?
いいわ。ゼキアくん、相手してあげなさい!」
「はっ」
各々の相手を片付け終え、背中合わせに着地した黒塚たちのちょうど真ん中に向かい、ゼキアの腕から
くの字に輝くレーザーが打ち出された。
「うおっ?!」
黒塚が迎撃体勢に入るが、それよりも早く日野が風の防壁を展開。風圧でレーザーを叩き落した。
「不意打ちとは、ずいぶんと卑怯な真似ですね…まあ、私達が言えたことじゃありませんが」
挑発的な口調を向け、日野が二人を陽動する作戦に打って出た。
「気づかなかったお前達が悪い。……それに、4対1でお前達が勝てるとでも?」
「むっ……」
しかし、相手もそうやすやすと引っかかるものでもない。逆に日野を挑発する。
「…っ?!」
その直後、横殴りに飛んできた炎の塊を確認したゼキアが後方に飛びのいた。
「そっこまでだぜー、悪者クン。俺らを忘れちゃ困るんだよねえ!」
黒塚と日野の眼前に、セツとソウが飛び降りる。どうやら横から観戦していたらしい。
「…コネクト、コルト。こいつらの相手は、俺達に任せて欲しい」
が、黒塚の放った一言で、セツたちが硬直した。理解させるため、日野が説明する。
「……私たちは過去に一度、こいつらを倒しています。ですが、お二人はまだ攻撃のすべを知らないでしょう?
だから、私達が戦うなら安全なんです。…どうか、身を引いてください」
数拍おいてようやく意を解したソウが、ああと唸る。
「そりゃ、確かにそうだろな……わかった。コネク、俺らは下がろう」
「おお。……負けたら承知しねえぞ?堕天使殿」
「せいぜい頑張るよ」
引き際、二人は微笑みあう。
「お祈りは終わったか?いくぞ…」
「お言葉ですが、再三あなたに負けるつもりは毛頭ありません」
「左に同じく」
ざり、と砂利を鳴らす音を境に、三人は動きを止める。両者相手の出方を伺う。


数秒の後、先に動いたのはゼキアだった。再度くの字カッターを打ち出しながら、俊足で二人に迫る。
「右回避!」
「よっしゃ!」
状況判断に優れる日野の号令で、黒塚が抜群のタイミングで紙一重の回避。
日野自身は風の壁でカッターを防ぎ、黒塚もゼキアに向かい突進する。
「「はあぁっ!!」」
ゴシュ!とぶつかり合う音が響く。黒塚のてつざんこうを、ゼキアが受け流した形で一瞬停止する。
その体制から黒塚がそのまま裏拳、ついで回し蹴り、ローリングソバット、裏拳、右ストレート、左肘鉄と
怒涛の連続攻撃を叩き込む。対するゼキアは右腕ガード、左腕ガード、ジャンプ回避、左腕ガード、
キャッチ回避、後退でいなしかわす。
(ち、接近戦は不利だな…なら!)
肘鉄モーションを終えると同時に黒翼を展開、バックステップで距離をとり、羽根をマシンガンのごとく
ゼキアに打ち込む。
「甘い」
しかしゼキアは手のひらからカタール状の武器を取り出し、直撃弾の全てを高速の剣閃で叩き落す。
「甘いのは、どっちかな!」
「……!」
そこへ突然、両サイドからカマイタチが飛んできた。前方の羽根と合わせて撃墜すべく体をひねり、
回転斬りの要領で一回転、飛んでくるすべてを打ち落とす。
「なら、これでっ!!」
直後、後方から日野がビームソード状の武器を携え飛来した。黒塚がひきつける間にカマイタチを発射、
さらに後方へ回り込んだらしい。
「く……」
ゼキアはカタールを捨て、新たに大小二つのダガーを両手につかむ。日野の剣閃をロングダガーでさばき、
その一方でショートダガーを使い黒塚の羽根を叩き落すという離れ業を披露して見せたのだ。
(野郎、前にもまして強くなってやがる…)
(でも、集中力にもいずれ限界が来る。そこを狙えば……!)
そこまで考えた瞬間、ゼキアの姿が一瞬で掻き消えた。不意をつかれ、ほんの数瞬二人の攻撃がやんでしまう。
「そこだ」
「っがふ!!」
「うあっ?!」
まさしく刹那の速さで、ゼキアが二人に攻撃を加える。同じ方向に二人を蹴っ飛ばし、自分は
傍観しているウィードの真横に着地する。
「かわらず詰めが甘いですね、堕ちた太陽様」
そこでゼキアが、初めて表情を変化させた。まるで、下等生物を見るかのような見下した目で、
砂地に叩き落された黒塚たちをにらみつける。
「やぁろっ…………」
打ち込まれたダメージがなかなかこたえる。日野も同じように、ゆるりと立ち上がってくる。
「……ウィン、アレ使うぞ」
「…オーケイ、ルシファー」
と、ついさっきまで日本名で呼び合っていた二人が、突然セイバー内での呼ばれ方に変更した。
何かの合図なのかはわからないが、黒塚がセツの方を向く。
「コネクト、コルト。…………3分、引き受けてくれないか?」
腕を組んで観戦していたセツが、黒塚たちのほうに歩み寄ってくる。ソウも同じく、近づいてくる。
「三分、ねえ……。なんだ、カップめんでも作って浴びせる気か?」
冗談交じりに笑いつつ、セツは右腕を大きく振った。蒼い炎が、セツの手から生み出される。
「りょーかいだ。…あいつら、態度が気に食わねえ。俺とコネクだけででも叩きのめしてやんよ」
同じくソウが、右腕を振り上げる。赤い炎の球体がぽつぽつと生成され、周囲をとりかこんだ。
「…ふーん、『蒼炎のコネクト』。名前は聞いてたけど、まさかアンタみたいなブサイクだったとはねえ」
「うっせ」
自覚はあるらしい。
「まあ、いいでしょう。ゼキア、あなたは赤い炎のほうを。アタシは、蒼炎を倒すわ」
「御意に」
そして相手側は、ついにウィードも動き出した。内心、セツたちは舌打ちする。
互いに相手の前に立ち、静寂を呼ぶ。



「そうそう、聞きたいことがあるの」
と、数十秒の沈黙を破り、ウィードがセツに問いかけてきた。
「あんだ。告白は後にしろ」
「そうじゃないわよブサイク。…………あんた、何者?」
セツの冗談を軽くいなし、ウィードが不可解な問いをぶつけてきた。対するセツは、これまた済ました顔で
返答をかえす。
「何者、ねー……。強いて言えばぁ、異能者かな?」
ククッとのどで笑い、数瞬後にはセツが動いていた。
「っ!」
右ストレートを紙一重でかわしたウィードに、続けざま蒼い炎が追いすがってくる。
「ふん……邪魔よ!」
ウィードの手からも、ほのじろい閃光が発射される。炎と衝突し、一層強く煌いた。
が、セツの攻撃は終わらない。
「おおおっ!!」
光の散る只中を、セツが詰め寄ってきたのだ。予想外の出来事に、ウィードもあわてて防御体制をとる。
が、それよりも早く、セツの手から蒼炎が放たれた。
こぶしが飛んでくると予想したウィードの顔面に、勢いよく炎の塊がぶち当たる。
「うあああっ!!」
いきおい、数m吹っ飛んだ。そのまま地面を二転三転し、木の幹にたたきつけられる。
「っぐぅ………ふふ、さすがは蒼炎のコネクト。一撃が重いわね……!」
が、ウィードは苦しそうにしながらも何事も無く立ち上がった。そのまま、セツめがけて突進を慣行する。
「はあああああっ!!」
「うぉおっとぉ!」
するりと難なくかわされ、ウィードが歯噛みした。
しかしその直後、別の方向から黒いくの字カッターが飛来、セツの後頭部に直撃し、吹っ飛ばされた。
「ぐおぁぁっ?!……く、ゼキアぁっ!」
見ると、そこにはソウの腕を押さえ込んだ状態でゼキアがこちらを向いていた。
ソウも離れようともがいているようだが、抜け出せないらしい。
「コネク!そっちに集中しろ!!」
ついで発されたソウの声に、セツが顔を跳ね上げ―――
「やああっ!!」
真下から飛んできた蹴り上げを、じかに食らってしまった。
「ごがふっ!?」
あまりの鋭い攻撃に、セツの体が宙に浮く。
そして、上昇も落下も停止した。
「?!……なんだっ」
セツの体が、空中に固定されたのだ。さらに金縛りにでもあったかのように、全身に力が入らない。
脱出を図ろうとするセツを見上げながら、ゆらりとウィードが立ち上がった。
「ふふふ…………かかったわね。このアタシのチカラに。『グラヴィティアル・マテリアル』に!!」
あっはっは!と先刻の狂気じみた笑い声をあげ、体をのけぞらせる。
「特別に教えてあげるわ。…あなたはもう、そこから一歩もうごけなぁい」
「…なにっ」
「あなただけじゃないわ。お連れの炎使いさんも、アタシの力の圏内にいるのよ」
言われ、セツは目線だけでソウのほうを確認する。
ゼキアは拘束を解いているが、ソウのほうは拘束されているときの体制のまま、身動きすらもできないようだった。
「うふふ……アタシにこの力を使わせたのは、あなた達と堕ちた太陽だけだったわ。
確かにあなたたちは強い。でもそれは、身体能力に依存したものでしかないわ」
粘つくような笑みを浮かべ、自身の絶対的有利をかみ締めるかのように説明を続ける。
「アタシのこのチカラは、あなた達から『動き』を奪う!もはやあなたたちは羽をもがれた鳥と同じよ!」
高らかに笑うウィードを見て、セツとソウが同時に呟いた。
「「そうかい。……なら、その間違いを正してやるよ!!」」
その直後、前後から異なる色の炎がウィードを狙い、飛翔してきた。
「うわわわっ?!」
間一髪でかわし、舌打ちを入れる。
「……うっとおしいわね、その異能。…いいわ、使えなくしてあげる。ゼキア!」
「承知」
ウィードの命令が飛び、ゼキアの両腕が動く。反応し、動こうとした二人だったが、
ウィードの異能のせいで身動きひとつままならない。
「『ディストーション・ファング』!全てを切り裂け!!」
ヴヴヴ、とゼキアがクロスした手から、漆黒の魔方陣が展開されていく。
現在後方で待機中の二人にはともかく、これではセツたちが直撃を受けてしまう。
(ちっ……悪運尽きたか)
ソウが心中で悪態をついたと同時に、ゼキアの展開した魔方陣がきらめいた。










「…………まだいたのか」
が、ゼキアが放とうとした魔方陣は、直前に何者かの介入によりかき消されたのだ。
ち、とウィードも悪態をつく。同時に、4人とはまったく別の方向から、攻撃が飛んでくる。
その攻撃は、セツには見覚えがあった。
「―――星川かっ!?」



 * * * * * * 



「はあああああっ!!」
裂帛の気合とともに、私は自身が放てるだけの炎を打ち込んだ。
その色は、強く輝く黄金色。


セツたちとはほんの少ししか遅れをとらなかったはずだったが、実は私とリクは運悪く担任の鬼教師皆藤に
つかまってしまっていたのだ。
セツたちが戦っているであろう間こってり絞られ、開放されるや否や脱兎のごとき勢いでここまで駆けつけたのだ。


私が放った炎に、その色にリクが目を丸くする。
しかし今はそんなことを気にしている場合ではない。眼前には、敵。
「やああああああっ!!」
もてる限りの連射力で、自身の手の内から金の炎を打ち出し、相手に叩きつける。
「ち、妙な異能を……!」
目の前にいる、黒い異能をまとった男子生徒が悪態をつく。直後、その生徒の掌から長剣がせり出てきた。
私の放つ炎を、一撃一撃正確に切り伏せていく。
流石に連射力はセツたちに遠く及ばない。ならば、一発の量で……!
「いけえ!『ラピッド・フレイム』ぅ!!」
技の名を叫ぶと同時に、技の型を脳裏に思い描く。
直後、私の掌に金の炎が凝縮。ついで放散され、無数に散らばった炎が男子生徒に向け飛んでいく。
「くっ…!?」
連射力から手馴れではないとふんでいたらしい。放たれた炎の量に驚きつつ、それでも速度を上げて
切り伏せていく。
これでもまだ足りない―――!と思ったときには、もう遅かった。先ほどまで戦っていた
男子生徒が、数mの距離をたった2歩で詰めてきたのだ。
「――シッ!」
直後、肉眼では捉えきれないほどの速度で刃が振り下ろされた。ちょうど右の二の腕に直撃を貰ったらしく
鈍い痛みが走り、集中力をそがれてしまった。
「おぉぉっ!!」
さらに、敵の攻撃はまだ終わらなかった。そこからもう一撃、左の横腹に鋭い蹴りが叩き込まれる。
「ぐぅっ!?」
2発も攻撃を食らって立っていられるほど私の体も強靭ではない。むしろセツたちが異常というべきか。
そのまま地面へ吹き飛ばされた。どしゃ!と痛々しい(実際に砂地なのでかなり痛い)音を立て、
私は倒れる。
「どむどらどっせえええええええい!!」
しかし、時間稼ぎはできたようだ。セツの咆哮が聞こえ、ついで蒼い閃光が目に映る。
「ユウ!!」
と、リクが駆け寄ってきた。さすがに事前通告なしであんなものを見せられたのだ。慌てるのも
無理はない。
「ユウ、大丈夫か?!」
だが、とんできた声は私の行動に対する疑問ではなく、容態を心配する声だった。
「う、うん……リクは、大丈夫?」
「ああ。お前のおかげでな」
リクに怪我がないことを確認し、私も状態を起こして現状を確認する。
「がらどっしゃああああああ!!!」
意味不明な咆哮と共に、セツは別の女子生徒と戦闘していた。
そこに程近いところでも、ソウが先刻の男子生徒と格闘戦を繰り広げている。
援護したいのが本音だが、あいにく相手からの強烈な攻撃を立て続け二回も食らっている。
両箇所に今も鈍痛が走っており、しばらく精神集中は無理だろう。
無理して力を込めようとしたが、ずきりと二の腕に痛みが走り、思わずうずくまってしまう。
「ユウ、無茶するな!…………援護なら大丈夫さ」
「え?」
リクの意味深な発言に、私が顔を上げる。すでにリクは数歩、セツたちのほうへ歩んでいた。
「……中々恥ずかしい話だけど、良かったぜ」



 * * * * * * 



「訓練しといてなあっ!!」
その一言は、セツたちの耳に確かに届いた。反射的に、ユウたちのいる方向から体を退ける。
そしてその直後、眩いばかりの電光が迸り、ウィードとゼキアの腹に突き刺さった。
「うああああっ?!」
「ごふっ……?!」
威力はかなりのものだろう太い稲妻が、二人を吹き飛ばす。
「今のは……雷?!」
セツが振り向いた、その先に。


「―――セツ、ソウ!俺が援護する!!」
バチバチと掌中で稲光を走らせる、リクの姿があった。
「陸道!!…………お前、いつの間に!?」
「つい、3日前さ。……正直、バカみたいに驚いて、はしゃいださ」
苦笑気味に、リクが肩をすくめる。が、まだ敵が健在な以上油断はできない。
だがその直後、4人の後方から声がかかる。
「全員、どけええええええええっ!!!」
強烈に響く声は、黒塚のものだ。4人はアイコンタクトでいっせいに飛び退く。
そこに残ったのは、ウィードとゼキアただ二人。
「レイダメテス・プロミネンス……」
「ファイヤーーーーーーーーーーーーーっっ!!!」
日野の掛け声で、二人の掌中に生成された小さな太陽が打ち出される。
禍々しい灰色のミニ太陽が、突風により後押しされて一直線に突き進む。
「ちっ……!」
ウィードが能力を発動させるが、灰色の太陽は止まらない。それどころか、
さらに大きさをまして爆進する。


ウィードたちの眼前に着いた直後、一転に凝縮された、それでも大気を揺るがすかのような
大爆発があたりを照らした。



「…ヒュ〜ゥ、こりゃたまげたぜ。まさか跡形もなくぶっ飛ばすなんてな」
衝撃の残滓がまだ残る中、セツが口をすぼめてその威力を賞賛する。
その威力たるや、グラウンドに大穴がぽっかり空くほどなのだ。
ユウとリクはそろって呆然とし、ソウはその惨状に口をあけている。
「…これが、俺たちが堕ちた太陽って呼ばれる由縁さ。闇の力は限定的だけど、炎の形に
展開することができる。それをケイの風で丸くして、大出力で敵にぶち込む技だ」
得意げに胸を張り、黒塚が言う。が、しまりきっていない口からはかすかに
疲労の吐息が漏れているのをユウは見逃さなかった。
そしてそんなことを意にも介さないセツが
「んあ〜ぁっ!釈然としねー終わり方だが、ままよしとすっか!もー今日の部活終了!
さっさとかえろーっ」と言う。
セツ以外の一同も苦笑しつつ、足を進めた。



が、その足ががっちりと何かに固定されたかのように動かない。
「…………っ?!」
声にならない激昂とともに、黒塚や日野、他の4人もその方向へと視線を移す。
「……やるじゃないの、堕ちた太陽サマ。でもねぇ…あんたたちは単調すぎるのよ」
そこには、すすけた程度にしか傷を負っていない二人が立っていた。
ウィードもゼキアも、あからさまな嘲笑の顔をつくっている。
「くっ……ウィン!」
「させない」
再び合体技を放とうとする前に、ゼキアの生成した数十本の刀が黒塚を切り裂く。
「があああああっ!!」
所詮自身の気をぶつけるだけにしろ、高レベルとなればその力も強力だ。
どっ、と鈍い音を立てて黒塚が倒れ、日野がすぐそばに駆け寄る。
「テメエら…………なんで生きてやがるっ」
ソウの鋭い悪態をも気に留めず、ウィードはただ笑う。
「んのっ……ヤロォ!!『ダイナマイツ・サンダァァァァァァァ』!!!」
某かめ○め波のようにリクの掌中から打ち出された極太の電撃はしかし、ウィードの展開する
重力フィールドに叩き落された。
「負ける、かあぁぁぁぁ!!」
それでも恐れず、リクは果敢に電撃を撒き散らす。


その光景を見て、セツがはじかれた様に顔を上げた。
「コルソー、星川、俺の出す炎に俺の炎を重ねろ」
「は?」
「え、どうしてですか?」
二人が問い詰めるが、その疑問は一蹴される。
「時間がない。……リクを叩きのめされたくなかったら、指示に従ってくれ、頼む!」
いつになく切迫した表情のセツを前に、二人は頷いた。


「あはは、そろそろ限界でしょうね?」
ウィードは涼しい顔で、リクのほうを見やる。すでに息も上がり、限界が近いようだ。
「隊長、とどめを」
「ええ、わかってるわよゼキア」
バチッ、と最後の電撃がはじかれると同時に、ウィードの重力結界は解かれた。
それを合図に、リクもヒザをついた。かはっ、かはっと渇いた呼吸音が聞こえる。
「新人君にしては、頑張ったわね。……異能を知ったこと、後悔なさい」とまで言った時
「日野っち!!」
セツの咆哮がこだました。日野はセツのほうを見やる。
そこでは、ユウたち三人が地に手を押し付けていた。工作をするのだろう、と日野は悟る。
「はあああああああっ!!!」
日野が撃ちだした真空波が二人を捕らえる寸前、バシッ!と弾けた。
「っ?!」
周囲を新緑色の細い糸が囲む。その正体を、ゼキアがすぐに悟る。
「……拡散真空波、か」
「ええ」
答えたのは日野だった。
「少しでも触れれば、すぐに四散しますよ?……それに」
そこで、日野が口を閉じる。ただ何かを確信した目で、二人を見やる。
「………何よ。言いたいことがあるなら言いなさいよ」
少々苛立つウィードに向かい、日野が勝ち誇った(自慢する)ようににっこり微笑む。
「あなたと私でしたら、私のほうが可愛いですよ?」
ぷちっ。ゼキアの聴覚になにかが切れる音が聞こえた―――気がした。
「……ふ、ふふふ。いいわよ?だったらその顔…………グチャグチャにしてやるわ!!!」
「それはどっちかな!」
ウィードの激昂に続き、どこからか別の声が聞こえた直後。
みきっ、と、ウィード達の立つグラウンドがひび割れる。
周囲で渦を巻いていた真空波がいっせいに下降、グラウンドに円形の穴をうがつ。
「「「いっ……けええええええええええ!!!」」」
そして、重なった三人の咆哮と共に、二度目の大爆発がグラウンドで巻き起こった。
3色の眩い炎が、一本の柱となって螺旋を描く。





「…っぐぅ………………」
ウィードは、グラウンドにできた二つ目のクレーターの中央で倒れ伏していた。
傍らには、ボロボロの状態でまだ立とうとするゼキアの姿もある。
自身も体を動かそうとした直後、頭上から声がかかった。
「トリニティ・ディスチャージ……俺達のあわせ技」
見ると、セツたちがクレーターのふちに屹立していた。
「お前達は、俺達に決定的に劣るところがあった。…それは何か」
セツが腕組みの状態で、比較的穏やかな声で言う。
「お前達に足りなかったのは…仲間を思う心だ」
黒塚が日野にもたれかかりつつ、少々苦しげでもある声で続ける。
「あなた達は、誰かを自分と対等な位置に置くことができない」
黒塚を支える日野が、彼の言葉を継ぐ。
「だからこそ、誰かを心の底から信用することが、できないんです」
最後にユウが、毅然とした表情で締めた。ウィードが歯噛みする。
「……ええ、認めるわ。あたし達の負けよ。それで、これからどうするの?
あたし達を殺す?」
ユウが、セイバーの面子に視線を向ける。首を横に振ったのは、セツだった。
「殺しゃしないよ。正体がどーであれ、結局のところお前らは俺達のクラスメートだ。
だから、ちょっとは更生してもらうぞ」
言葉を締めないうちに、セツが蒼炎を展開する。ウィードとゼキアが、そろってため息をついた。
「……お前達は、甘いな」
「ああ、甘甘さ。砂糖よりあめぇさ。……でも、これが俺達のやり方だ」
数秒黙っていたが、やがてウィードが口を開く。
「…はあ。でも、アンタたちのそういうところは、気に入ってるわよ」
「そりゃどうも」
そっけなく黒塚が返したあと、セツの言葉がウィード達の姿を消した。



「蒼炎光波『ユークリッド・ジャンプ』。座標、world saver本部。……転送」









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    作戦報告書 by7/17


 遂行地:桜流学園
 目標:敵対勢力撃退、または排除
 内容…
 本日4時12分頃、インフェルノ配下「ウィード」および「ゼキア」と対峙。
 コネクト、コルト・ソーコム、ルシファー、ウィン、他二名と共に戦闘を展開。
 各員に負傷をこうむるも、これに勝利。
 撃破した両名は独断により、セイバー本部地下牢へと転送。
 備考…
 前述の両名により、インフェルノ当人が復活したと見られる。
 詳細は不明であるため、貴方での確認を願う。

                以上 CONNECT




第2幕 完
   第3幕へ続く


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あー、やっとこさ書き上がりw
エー皆さん、前回を投稿したのはいつか覚えてますか?w
そう7月です。これ10月です。
……ラグありすぎでしょうよこれw
何してたんだといわれますと、ネタに詰まってましたw
VSウィード&ゼキアは前々から練っていたのですが、いざ書くとなると
これがものすごく難しい。
全員の連携をきれいにまとめるのも一苦労で、やっと終わったらこれも
支離滅裂ですよw
まあ、これ以上修正しても劣化するのは目に見えてるのでこのままにします。


次回からは、夏休みの話ですね。
そんなに長くはなりませんので、ご安心を。
ではでは ノシ