コネクトの雑記スペース

創作小説、オリキャラ設定などの雑な記事を取り扱うところです。

アイラanotherstory―獅子を狩るモノ―

※今回のお話は、アイラanotherの本編の更新ではなく「番外編」として、起こっていたであろうお話を描いたものです。
本編の謎やストーリー進行にはあまり響きませんので、「こういうこともあったのか」程度の認識での閲覧をお願いします。


episode2.5 共有はいいことばかりじゃない



目を開く。
暗い部屋に目は慣れているが、それでも手探りでようやく何があるかがわかるレベルだった。
寝返りを打って気分を変えてみようと思い――ふと、違和感。
いや。
当然のことだ。現在私――生体端末である「真理」は、年端もいかない少女の様相をしている。そして、その頭には
オリジナル――つまるところ、反対側のベッドで爆睡している「彰」としてすごした、男として過ごした記憶が残っている。
感覚に不和が残るような記憶は抹消されるのだが、こればかりはどうしようもなかった。記憶とのつながりが深すぎて、もし抹消すれば
どこまでを忘れてしまうかわかったものではない、と、私の開発者は言った。


まだ記憶をもらってから一日目なのだが、ふと「元の自分」が恋しくなる。
恋なんかじゃない、と頭の中で否定する。そもそもこの感情は、どのライオハンターにも起こることだと聞いた。
ならば問題はないだろうとかぶりを振るが、実際問題としてそれで何かが解決するかはわからない。
ふう、と向こう側に聞こえない程度の、小さな溜息。ベッド―今はいない親友のものを借りている―の中で体を丸め、しばし惚(ほう)ける。
改めて、元の自分と違うことを感じる。雪のように白い肌と髪、華奢な手足、女であることをかすかに主張する胸。
再び溜息。しばらく慣れることはないだろうと思うが、心配するほどではなかった。
現在、記憶の混濁を修正するために整理が行われている。ほどなく、この記憶と体も適合されることだろう。
けど。
けど、それだけでは少し寂しい。
せめてもうすこし、この不思議な感覚が続いてほしい。
そんなことを考えていると、不意に体が動く。少しくらいなら、という感性が、理性を押しのける。


 * * * * * * 


ふと、目が覚めた。同時に目の動きだけで近くを見回すが、まだ日は昇っていないようだ。
まだ登校には早すぎる。そう思って寝なおすため、蹴っ飛ばしてしまったのであろう布団を手探りで探す。が。
ふにっ。
ふと、何か柔らかいものに触れた。形からして布団ではないようだが、ならなんだ―――という間延びした思考は、一瞬で覚醒した。
目の前に。
もう少し近づけば互いの顔が触れ合う位置に。
少女。
「―――――う、おぉぉおおぉっ!?」
半ば自動で出た叫び声とともに、俺は隣にいた少女――真理から逃れようとする。
しかし、かなわなかった。真理が、俺の腕を抱きしめて眠っているのだ。その腕は、か細い両腕に包まれて、ふわふわとした
その胸に―――。
いやいやいやいや、脱線させるな。集中しろ、理性を保てと、必死の形相で念じる。そのかいあってかどうにかそれ以上のパニックにはならず、
次第に鼓動は落ち着いた。先刻の大きな叫び声で起きなかったところを見ると、かなり深い眠りに入っているようだ。
起こすのもはばかられた。だが、とりあえずこの状況はどうにかしたかった。正直色々マズい。
ともかく、なぜこんな状況になったのかを探るため、俺は昨日の出来事を思い出す。


確か昨日の夜、俺の部屋に滞在することになった真理は、俺の指示で設置されていたもう片方――つまり恵介のベッドで眠ったはずだ。
そこから俺も自分のベッドに直行してすぐに寝たので、すくなくとも彼女を引き込んだわけではない。寝ぼけた線もあるが、
そんな力作業はできないはずだ。
となると残る可能性は、彼女がねぼけてか自分の意志でかで、俺のベッドにもぐりこんできたということになる。
なぜそんなことをしたのかという疑問が頭をよぎったが、それを聞き出すのは彼女が起きてからだ。
まだ時間も早いし、真理は腕を放してくれそうにない。一つため息をはさみながら、俺は布団をひっつかんで自分にかける。
かなり近い場所にいるので、真理も一緒に布団の中に入ってしまうことになるが、まぁこの際だから許容しておく。
そもそも誰に見られているわけでもないんだし、という言い訳じみた思考を展開しながら、俺は二度寝の体制に入った。
静かに、平和そうに静かな寝息を立てる少女を、そっと抱いて。
……そういえば、これって次に目を覚ましたら修羅場になるパターンだよな、という思考が展開されたが、あいにく俺はそれに気づくことなく
眠りに落ちた。
その日の早朝、布団にくるまれたせいか、目を覚ましたらさらに距離が近くなっていたことに仰天したのは言うまでもない。


*********


ってことで番外ちわーす、コネクトですー。書いてて恥ずかしさで悶えたのは黒歴史(´Д`;)


今回はあくまで「本編の中で起きたけど本筋にはかかわらない話」として番外編を執筆いたしました。今後ももしどこかで思いついたら
つらつらと書いていく方針なので、期待せずお待ちくださいw
第一回となる今回ですが、久しぶりに予期せぬ方向に振り切れましたww
一応男女のパートナー関係だということなので、こういう展開もあったのかなぁ、という個人的な妄想です。

ちなみに意味深な感じで書いた「記憶のコピー」ですが、設定としてはあくまでも「感情を共有して潜在能力を引き上げる」という
戦術目的の措置になっています。クローン作ろうだとか、そんな魂胆はありませんのであしからず。


さて、今回はここまでですね。次回はまたしてもバトルになりますw
それではー ノシ