コネクトの雑記スペース

創作小説、オリキャラ設定などの雑な記事を取り扱うところです。

連続だあっ!!


#7 離反


「ホレイトスへ……ですか?」
アークス・ロビークエストカウンター。
受付のレベッカに、コネクトが話をつけようとしていた。
「はい。座標はこちらでつかんでいますので…………ハワード船団長にあわせていただいていいですか?」
真剣すぎるコネクトの面持ちに、レベッかが気圧されつつ頷いた。



「…ひさしぶりだな、神宮司くん」
船団長室。ハワードとコネクトが向かい合い、話し合っていた。
「……マークアハト、彼が失踪したことについて、あなたは何かご存知と伺いますが」
目を光らせ、コネクトが問いかける。観念したように、ハワードが口を開いた。
「ああ、知っている。……といっても、アムドゥスキアへ向かって以降の消息は私にもわからんがね」
「彼は、元宇宙海賊でしたよね。彼の乗船は、もう?」
「ああ、アハトくんが引っ張り出していったよ。えらく真剣な顔だったな…君のように」
コネクトが意味ありげに頷く。
「単刀直入に申し上げさせていただきます。……カルカーロアークスを、一時脱退させて
いただきたいのです」
ふむ、とハワードは豊かなひげを揺らす。
「理由は?」
「……失踪した重要参考人の極秘捜索、とでも言いましょうか」
直後の数瞬は沈黙が続いたが、やがてハワードが笑みを浮かべた。
「よいだろう。長期休暇という題目で話をつけておこうじゃないか」
「ご配慮、感謝いたします」
そうとなればここに長居するつもりは微塵もなかった。立ち上がって一礼し、でようとしたところで
「ちょっとまった」ハワードに呼び止められた。
「行くのなら、君の相棒を使うといいだろう。チューンアップも完了しているぞ」
「……ええ、最初からそのつもりでした」
「そうか。気をつけたまえ、『Dark Repulser』」
コネクトは振り向き、無言で敬礼を送った。




「待ってください」
格納庫へむかう通路で、コネクトは神楽に呼び止められた。
「ついてくるなら勝手にしろといった」
「違います。………………あめゆぅのことです」
かすかに顔をあげ、神楽のほうを見やる。
「……あの子はもともと、このカルカーロに在住していました。それはご存知ですよね?」
「まあな。賞金稼ぎをなめてもらっちゃ困る」
わざと挑発的に言い放つが、神楽の話は続く。
「……わたしは、あの子の過去に干渉しています。あの子の、辛い裏にも」
「…………どういうこった。あのときのあめさんの絶叫に関係しているのか?」
神楽は無言で頷き、ポーチの中から何かを取り出した。
「それは『フォトンブラッド』と呼ばれる一種の覚醒剤です。適応するのは難しいですが、
適合すればその身体能力を何十倍にも増幅できます」
コネクトは受け取った注射ビンを物珍しげに眺める。
「保存期間は一週間。生成者はあなたが対峙したマークゼクスその人です」
「………なんで、そんなことを知ってんだよ?お前、もしかして…」
眉をひそめたコネクトに対し、悲しげな微笑を見せる。
「知らぬが仏ってこともあるんですがね……そのとおりです。わたしは、元マークゼクス専属の
研究員…新藤(しんどう)アリサです。
同時に、あの子……あめゆぅに、そのフォトンブラッドを投与した張本人でもあります」
へえ、とだけコネクトは言った。あまり驚愕はしないのがコネクトである。
「あの子はマークゼクス以上にフォトンブラッドへの適正がありました。
以前はその力をコントロールできたのですが、記憶を失い、制御法を失った今、流れてくる情報の
膨大さに耐えることができないのです」
フォトンブラッドってのは、ダーカーと関係性があるのか?」
神楽の話を聞き、引っかかる点があった。ブラッドがダーカーと関係していたなら、
同じく投与を受けたマークゼクスがダーカーを操っていたこと、加えて、あめゆぅがダーカーに対し
反応を見せたことにも合点がいく。
フォトンブラッドは液体化させた闇属性フォトンにダーカーの体液、もしくは血液を調合することで
生成されます。……それがなにか?」
首をかしげた神楽に、今度はコネクトが説明する。
「俺がマークゼクスと対峙したとき、……確証はないが、あいつはダーカーを味方につけていた。
あめさんがダーカーに大してあの反応を見せたってことは、フォトンブラッドはダーカーと
何らかの意思疎通を目的としてるんじゃないか?」
神楽も唸る。
「…実験段階ではゼクスはそのようなことは言っていませんでしたが…………可能性はありますね。
わたしも、彼の研究資料を漁ってみます。……あなたは、アハトさんのところへ?」
「ああ。何度も言うが、ついてくるなら勝手にしてくれ。俺は誰かの命を預かれるほど強くはない」
「わかりました。では、また…………」
きびすを返してロビーへ戻っていく神楽の背を、コネクトはさびしげな目で見つめていた。




アークス・シップ格納庫。
キャンプシップやアタックシップがハッチされているその片隅に、それは眠っていた。
コネクトがかつて賞金稼ぎだったころ、11の惑星を駆けぬけた頼もしい彼の相棒。
中型高速移動艦「アークセンチネル」が、その船体を静かに下ろしていた。
郷愁を感じながら、コネクトはハッチを開放し、その中へ乗り込む。
さほど広くない短めの渡り廊下を進むと、前方に「ブリッジ」というパネルがついたドアが見えた。
機械音を鳴らしてその中へ入ると、そこはまごう事なき艦橋だった。
この船は中距離テレポートを可能とするパイプコネクターが積み込まれているため、エンジン始動に
少しだけ時間がかかる。
駆動スイッチを押し上げると、周囲の計器やモニターが一斉に稼動を開始する。
まるで、この5年間主が不在だったことを抗議するかのごとく。
「……また、世話になるぜ」
小さく呟いた後、かつて握っていた操縦桿をなでてやる。
呼応するかのように、マルチレーダーが点滅した。



船内の自室へ戻ったコネクトは、奥に取り付けてあったウエポンラックを開く。
中には、これまでの生活で使ったなじみの武器たちが納めてあった。
かつて一度レンジャーを志したときに偶然掘り当てたフルシリンダー。
ハンターとしてアークス入りしたときに授けられたアルバソード。
ダーク・ラグネとの戦闘で紛失したと思われたが、いつのまにか回収されていたガンホーク。
それらの奥に、いまだ手に取られた形跡のない武器たちが眠っていた。コネクトは一思いに引っ張り出す。
ガラガラと騒々しく音を立てて、いくつもの近接武器が転がり落ちてきた。
「うおっとと……あぶねえ」
倒壊が収まった中から、コネクトは蒼い光刃を持つ武器を取り出す。
かつて「フォトン色彩変更権限」が出た際に思い切って色を変えた、
コバルトブルーの「バシレイオン」だ。時折、脈動するかのようにいっそう強く発光する。
続いて引きずり出したのは、紫色の刃を鈍く光らせる自在槍「クシャネビュラ」だった。
よくみるとワイヤーがへたれている。後で直さなきゃ、とコネクトは苦笑する。
そして取り出したのは、オレンジ色のフォトン刃を持つ「アルバクレイモア」。
日本刀のようなフォルムを持つ大剣だ。先端には返しがある。
それらを武装スロットにマウントした後、コネクトはひとつのスロットを立ち上げた。
パシュ、と音を立ててベッドの上に転がり落ちたのは、先の戦闘で刀身を叩き折られたガンハチェット。
感慨深くなりつつそれを広い、ラックにしまいこもうとして、ふとあることを思いついた。
ベッドの頭方向にはデッドスペースがあったため、そこに小さな棚を設けたのを思い出したのだ。
もはや使い物にならないだろうが、せめて自分の相棒として、最後までそばにいてもらおう。
頭の中でそう念じつつ、コネクトはハチェットを棚の上に飾った。
そのまま部屋を出ようとしたが、ひとつ忘れ物があったのに気づく。
もう一度ラックを開け、今度は押し込めてある武器のうえにひっそりとあったスペースに手を突っ込む。
「…………お、あったあった」
取り出されたのは、一見するとガンハチェットのような代物だった。
先端が鋭利になっている以外は大差はない。しかし、これこそコネクトの最終兵器でもあった。
「…お前を頼ることなんてなかったほうがよかったんだかね?……ま、頼んだぜ、リパルサー」
コネクトが呟くと、リパルサーと呼ばれた剣はわずかに光って見せた。




「おにーいちゃん!」
「ぬおうっ?!」
ブリッジに戻る途中にあった分かれ道から、不意に人影が飛び出した。びっくりしてしりもちをつく。
顔を上げると、そこには妹であるコトミがいた。無様にすっ転んだコネクトが可笑しかったらしく
おなかを押さえて笑っている。
「……いーつ乗り込んだんだお前はよぉ」
ジト目でにらみつけると、笑いが収まったらしいコトミは微笑んでこういった。
「ボクも、お兄ちゃんについていきますよーっと」
「はあっ?!」
たしかについてくるのは勝手だと言った。しかし忍び込まれるとは予想外だったのだ。
あわててコネクトが問い詰める。
「こ、コトミ!ルチアさんたちは?!いないだろうな!」
「うん、ここにいるのはボクひとりだよ。どうかしたの?」
「い、いや、なんでも……」
冷たく突き放したなんて言えもしない。
とりあえず、コトミは決めた事に関しては頑固すぎるともいえる性格をしている。
残れといっても追い出した後にちゃっかり忍び込んでることだろう。
「ったく、まあいいか」
ため息を吐くコネクトをよそに、喜びでまた飛び跳ねるコトミであった。






「エンジン、およびパイプコネクター、正常動作を確認。…システムオールクリア!」
出航の準備は完了した。あとは前方のハッチが開くのを待つのみだ。
《了解。出航ハッチ、解放する》
空気を抜けきった後、エアロック状のハッチがゆっくりと解放されていく。
どこまでも漆黒の宇宙空間に、無数の星々が瞬いている光景は、いつみても幻想的な気分になる。
横に座っているコトミも、強化ガラスの外に広がる光景に息を呑んでいる。
《解放完了。進路クリア、オールグリーン》
「了解。アークセンチネル、微速前進!」
いよいよ出航だ。これから長い後悔になると思うと気が滅入るような気もするが、
目的はマークアハトの捜索だ。そんなことは言ってられない。
《グッドラック、アークセンチネル》
テンプレ台詞に苦笑しながら、コネクトは声を張り上げる。
「シップテレパイプ展開。目標、惑星ホレイトス!」




「アークセンチネル、全速前進!!」




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PSO2小説なのに な ん だ こ れ w
一度こういうシチュエーション描いてみたかったんです、すいませんw
次回はルチアチームサイドとコネクトサイド両方を書いてみたいと思ってますが、どうなるかは不明ですw
アークセンチネルもそのうち書いてニコ静画にあげる予定ですww


追記:アークセンチネルでけーた(http://seiga.nicovideo.jp/seiga/im2258507