コネクトの雑記スペース

創作小説、オリキャラ設定などの雑な記事を取り扱うところです。

エピローグ 時は流れる




《続いて、先日行われた大規模掃討作戦についてお伝えいたします。
…今回、我が船団カルカーロは「ハイヴ級ダーカー」と接触。これを撃破としました。
破壊の立役者となったのは、ここカルカーロに籍を置く一般市民であり…》
病室のテレビは、ひっきりなしにハイヴ撃破のニュースを取り上げている。
その様に苦笑していると、静かにドアが開いた。
そこにいたのは、今まさにテレビに映っている少年本人。
「…よお。お目覚めか」
少年の名は「神宮時コクト」。
―――自分を助けてくれた、命の恩人。






「…まったく、ほんとに貴方は旅が好きよねぇ」
1ヵ月後―――アークス・シップ内、宇宙艇格納庫。
約半年前と変わらぬやり取りが、そこでおこなわれていた。
「旅が好き…というか、俺は一人でのんびりやるのが好きだったんですよ」
苦笑するのは、アークセンチネルの前に立つコクト。
「過去形なのは、意味があるそうですね?コクトさん」
見送りにきているのは、チアキとアリサ、そしてリクウ。
「……なあ、コクト。次はいつ戻ってくるつもりだ?」
「ん、そうだなぁ…。かなり色々なところに行く予定だから、何もなければ次は
3年後かな?」
今年、コクトは18になる。3年後になれば、もう成人だ。
「そうか…なら、次帰ってきたときは一緒に飲みにでも行こうぜ!」
そんなことを知ってか知らずか、リクウが三年後の計画を立てていたりする。
「よしてくれ。俺は酒なんて飲まない主義なんだよ。……さて、そろそろ時間です」


コクトは、またカルカーロを旅立つと決断した。
まだ見ぬ未開の土地へと思いをはせるのは、コクトの趣味でもあるからだ。
しかし、これからはその楽しみを一人孤独に味わうことはない。
コクトーっ!」
出発の準備をするアークセンチネルのタラップへと、一人の少女が勢いよく飛び込んでくる。
コクトもわずかばかり身を乗り出し、その小柄な体躯をしっかりと受け止めた。
「ったく、遅いぞ。出発前5分集合って言ったろ」
「えへへ、ごめんごめん。船団長さんたちに挨拶してたら、遅れちゃったの」
船団長の一言と同時に、タラップの下に少女が一人歩み寄ってきた。
「…あめさん」
今では船団長となり、少しだけ遠くなってしまった少女「雨野ユウナ」はしかし、
穏やかに微笑みながら見送りの言葉を口にした。
「いってらっしゃい、コクト君。貴方の旅先に、良き出会いがあらんことを」
小さく敬礼したユウナに、コクトはきっちりとした敬礼を返す。
ユウナが去った後、チアキたちからは思い切り茶化された。
「…しかし、あんたたちはお似合いねぇ」
「こうやってみると、なんだか昔のトウアさんとユウナさんを思い出します」
「あ、なっ……恥ずかしいこと言わないでくれよぉ」
「えー、いいじゃんコクト!お似合いだって言われてるんだしっ」
「んー…まあ、そういうんならいいけどさぁ」
談笑もすぐに過ぎ、アークセンチネルが滑走路へと進んでいく。




「さーて、まずはどこに行くか!」
うーんと勢いよく伸びをするコクトに、隣に座る少女が微笑交じりに答えた。
「私、もう一回レーヴァティーンに向かってみたいなぁ」
「え、何でだ?」
「うんとね……あそこのカステラ、もう一回食べたいんだ」
あんまりに簡単な理由だったため、コクトは不意に笑ってしまった。
「あははは…そりゃいいな。俺もたまにはアレ食いたい」
「でしょでしょ?いこうよ〜」
「わかったわかった、そんじゃまあ…」




「しっかりつかまっとけよ、ホムラ!」



 * * * * * * 


結局カルカーロを襲ったハイヴは、俺たちとクルーニクスの活躍により迎撃された。
今回も手柄は隠蔽しようと思っていたら、あろうことかクルーニクスの一員が
「ハイヴはコネクトが壊した!」と一般人たちに吹き込んでしまい、
今回の立役者は結果的に俺となってしまった。
言葉ばかりの名誉はいらないし、ちやほやされるのも好きではない。
それに、俺にはそれ以上に嬉しいことがあったのだから。
《カルカーロよりアークセンチネルへ。グッドラック》
「サンキュー、管制塔。……アークセンチネル、発進。目標、オラクル『レーヴァティーン』!」
「出発ーっ!!」
「おまっ、セリフとるな!」


あの時俺は「光のフォトンならホムラを開放できるかもしれない」という結論を導き出した。
なぜそんな結論に至ったのか、そして何故ホムラが怪我する…最悪死ぬことを承知の上で、
あのような大技を放ったのだろうか。
自問自答するが、行きつく結論は唯一つ「確証はなかった」だけだ。
だが、今の俺にはそんなことどうでもよかった。


今この瞬間、俺たちは生きているのだから。


この先の未来は、きっとすばらしいものになるだろうから。



―Fin.―
It continues to a third chapter.
The day of collapse is still far.


*********


あとがき。
ついにグダグダしながら進めてきたこの「鋼鉄の瞳」も、最終回を迎えました。
これも、ひとえに皆様のおかげとなります。
ここまで応援してくださった方々、真にありがとうございました!


さて、堅苦しい会話はここで終わります(オイ
本小説「カルカーロの戦士達」シリーズはこれにてお開きとなります…が、事実上の続編である
新たなPSO2小説「ジ・アポカリプス」へと物語は続いていきます。
2部に渡ってめぐらせてきた伏線はすべて回収したつもりですが、3部ではまた新たな伏線が
登場しちゃうんです…w
が、それはまた別のお話(何


ちなみに、本小説にてコクトが使用していたバイクは元からアークセンチネルに積み込んであったものです。
けっして後付ではありませんよ!



それでは、今回はここまでにしておきます。
重ね重ね、ここまでの読破に厚く感謝を申し上げます!!
ではでは ノシ