コネクトの雑記スペース

創作小説、オリキャラ設定などの雑な記事を取り扱うところです。

ちゃからっと第3話!

あんーなーにいーっしょーだぁったーのにぃー(間奏)、ゆーぅぐーれはーもーぉちーがーういーろぉー…っ!
ってことでそろそろ歌のリストが尽きてきたコネクトですw
こんなペースのままで繋録のときの曲目は大丈夫なんだろうかと悶々考えてます(´・ω・`)


さてさて今回はデュアルフェイス第3話です〜。
古版第4話のリメイクとなりますが、戦闘描写にちょっぴりテコ入れする予定です。ちょっと長くはなりますが、
原作より僅かに長くなるぐらいだと思いますのでご了承を。
まぁ、古版が短すぎただけなんですがねw
……いやホント、前回のアレは短すぎましたよ。戦闘シーン「だけ」ばっさりカットしましたからね。
それになんですか、あンの説明不足は(強調)!せっかくアハトさんの行方をかっちりと説明できる機会だったのに
そこらへんもぜーんぶ説明不足ですからねぇ。
PSO2や学校で忙しかったからとはいえ、調子に乗っていたあの頃の自分をブン殴ってやりたいですw
ハイペースなのは共通して短文なんだと、自分の小説を読んでいるとよくわかります(TwT タハハ


*********


#03 業火を闊歩する漆黒


《……乗員閣員へと連絡。本船はまもなく、アムドゥスキアへと到着いたします。戦闘装備の点検をお忘れなく。
繰り返します……》
アークスが常用する小型の拠点型宇宙船「キャンプシップ」に搭載されたボイス・アナウンスが、そろそろ
目的地へと到着するという旨のメッセージを合成音で喋る。
その機械音声に従い、俺たち5人のアークスは各々武装の点検を始めた。と、相棒の整備を始めた俺の横に
今回の仲間の一人であるリクウが立つ。
「コクト、その武器ってなんて名前だ?」
リクウがさしているのは、今しがた整備を開始した俺の相棒のことだ。あぁ、と小さくつぶやき、説明してやる。
「こいつは『ガンハチェット』。銃形態を隠蔽する為のフォルムを追及したガンスラッシュなんだとさ」
「へぇー、そんな形してガンスラッシュなのか?」
「ああ。銃形態を隠ぺいして、奇襲攻撃をかけられるように設計されたんだってさ」
開発のコンセプトを説明しながら、相棒「ガンハチェット」の整備を再開する。
先ほど説明したとおり、ガンハチェットは銃形態を隠蔽するようなフォルムが特徴的だ。フォトン刃の発振のほうは
問題ないようだから、次はエネルギー弾発射装置の点検。
手に持ってグリップ部のロックスイッチを押しながら、軽く振ってやれば変形完了だ。
カション、と小さな音を立てて一瞬で上下に割れた俺のハチェットを見て、リクウがまた騒ぎ出した。
「う、うおお!それどうやったんだ?!」
「別に、普通に銃モードにしただけだけど……あぁそうか。訓練用のガンスレイヤーは変形自体しないんだっけ」
どうやら、ガンハチェットも同様に変形しないと思っていたらしい。最近は別の武器ばっかり使っていたから、
間近で見せることが初めてなのを思い出した。
はしゃぐリクウに数回変形を見せてやり、改めて発射機構の調整に入る。
ガンスラッシュは、他の武器に比べて内部機構がとてもデリケートだ。内部機構が複雑な近接武器といえば、ほかにも
ワイヤードランスが上げられるが、ガンスラッシュの内部機構に比べればやさしいものだ。
逆に言えば、ガンスラッシュはそれだけ技術の髄を結集して作り上げられたテクノロジーと言える。
一昔前までは「フォトン刃の片手剣とハンドガン」というスタイルが流行っていたが、この武器はまさしくそれの正当進化だろう。
「コクト君、リクウ君。そろそろよ」
そんなことを考えていると、不意に後方からチアキの声。同時に船の窓から見える光景が、無数の光の帯から漆黒の宇宙空間へと
変化した。そして眼前には、異なる表情を持つ三色にかたどられた歪な形の惑星。
緑色にかたどられた区画は、地表から離れた数々の浮島。最近ようやく調査の手が入り、その全貌が解明されようかという段階だ。
その直下に見えるのは、二色にいろどられた広大な大地。赤々と燃え盛る溶岩の大河がそこかしこを流れ、黒々とした
岩石で形成された地表には緑などはなく、さながら地獄のごとき形相を覗かせていた。
ここは惑星「アムドゥスキア」。竜と炎が支配する、灼熱を司る未開の惑星。


数分後、自動操縦で大気圏へと突入して停泊した船の中で、俺たちは最終確認を行う。
「今回の目標は、ここアムドゥスキアで異常発生しているダーカーの殲滅。ならびに、ダーカーの影響で凶暴化している
ヴォル・ドラゴン他、竜族の殲滅。……後これはいまさらだけど、今回の指揮はアタシが担当するからね。覚悟なさい!」
今日一日不在のアハトに代わり、今回は先日の予告どおりチアキが一時リーダーを務める。
各々が返事を返して、改めて俺たちは転送装置の前に立ち並んだ。
現在目の前で揺らいでいる水―――に似た物体は、キャンプシップに常備されている最新型の転送装置「テレプール」。
先行して地表へと撃ち込まれている連携転送装置「テレパイプ」へとすばやく移動可能、なおかつ仮拠点として機能するこの船を
敵性種族たちから守れる機能として、数十年前から搭載されている高性能装置だと聞いている。
そんなテレプールへと真っ先に身を躍らせたのは、チアキだった。戦闘用のアークス・スーツ「バリスティックコート」のブーツを
音高く鳴らし、華麗に空中一回転を決めてテレプールへと飛び込むあたり、どうにも興奮しすぎではなかろうか。
なんてことを考えていると、二番手をとられてアリサが飛び出した。こちらは普通に飛び込んだが、降下する際の余波で
「サウザンドリム」のスカート状パーツがぱたとはためく。幸い中が見えることはなかったが、リクウが「うおっ!?」と
叫んだので、裏拳で黙らせておいた。
「おねぇさまぁぁあぁぁぁっ!!」と、そんなことをしている間にさらにユウナが飛び込む。完璧なダイブ体制で
かっこよく飛び込んでくれたが、如何せん直前のセリフがいけなかっただろう。
「っつぅ〜……。……とり、まぁ行くか!」とリクウが飛び込んだ。ずだんと大きく跳躍し、向こう側の手すりにつかまって
さらにバック宙一回転で突入するなんて芸当をやってのけてくれる。下で墜落してないだろうか、そんなことを考えながら、
最後に残された俺も軽い跳躍でテレプールへと突入した。
プールの水面に足が触れると同時に、足から膝、腰から肩にかけて頭へと、全身の感覚が連鎖的に一時切断される。それと同時に
落下の際に発生するGや衝撃を逃がすべく、肉体は転送するためのデータへと変換される。
変換が終わった肉体――ひいては俺自身が、プールから直結されているデータ転送装置へとマウントされ、目標のテレパイプへと
高速で打ち出された。
見る見るうちに目標の大地が迫る(といってもあくまで感覚的な話で、実際に目にしているわけではない)。
そのままテレパイプの中心へと突入した俺は、ポータルの中ほどで急停止。まだデータの塊であるためGなどは感じず、
完全に停止すると同時に肉体が再構築されていく。
コンマ数秒で構築を終えた俺の足が、堅く固まった黒い大地につくと同時に、俺は目を開けた。
次いでぷるぷると首を数度ふり、転送の際に生じるかすかな違和感を振り落すように全身で伸びをする。
そのまま腰のホルスターに手をやり、ポーチに格納せずに抜身のまま吊っていた相棒「ガンハチェット」を引き抜き、
強く握って構えた。みると、ほかの4人もすでに各々抜刀して戦闘態勢をとっている。
「全員そろったわね……進軍開始っ」
チアキの号令とともに、俺たちは火山洞窟の奥へと進み始めた。


 * * * * * * 


相棒を上空に停泊させ、俺は単身ハッチから身を躍らせた。
地表までは数十メートルは軽くあったが、カルカーロを出る前に買い込んできた使い捨ての着陸装置があるから問題はない。
バーニアを吹かしてうまいこと着地し、俺は改めて周囲を見渡した。
黒々とした岩石の大地に覆われた地表では、そこかしこで赤い河――つまり溶岩が轟々と燃え盛りながら流れ、
ところどころの大穴から除く天空は、地獄とはかけ離れた形相を見せる蒼穹の空。
大空に浮かぶ大小無数の浮島は、まるで地獄の渦中に迷い込んだアークスをあざ笑うかのようだ。
「……久しぶりに来るな、アムドゥスキアなんて」
俺が最初の目的地として訪れたのは、灼熱の惑星「アムドゥスキア」。竜の姿をした原生生物が治める、
業火に彩られた過酷な土地だ。
ここに訪れた理由はただ一つ、「兄貴をとっちめる」ために他ならない。
その目的を達するために役立ってくれたのが、今朝方ハワードから手渡されたラジオ型の機械だった。
件の装置の正体は、原理は不明ながら大規模なダーカーの群れを探知し、知らせてくれるという代物であり、
俺はその装置を頼りにここへとやってきている。
ダーカーが兄貴の居所を突き止める、というのも少し変な気はするが、今はこれを頼りに進むしかない。
そう判断した俺は、近場かつ一番ダーカー反応が強かったアムドゥスキアへと降り立ったのだ。
そして地表ですっくと立ち上がった直後、周囲のそこかしこから漆黒の霧が噴き出し始める。
黒い霧から連想されるものはそう多くなく、そして俺が想起した現象は現実のものとなった。
霧が吹きだした場所から、無数の四脚型甲虫がはいずり出てきたのだ。無論一か所、一種類というわけでもなく、
そこかしこから無数のダーカーどもがわんさと湧き出てくる。
「…………死んだはずのその面を、拝んでやるよ」
吐き捨てるようにつぶやき、俺は背から実態剣「ザンバ」を音高く引き抜き、地を蹴った。


 * * * * * * 


「っ……!?」
歩き始めて数十分後、突然ユウナが頭を抱え、苦しそうにくずおれた。真っ先に異変に気付いたアリサが駆け寄るが、
本人は頭を抱えてただうめくだけだ。ただの頭痛と割り切るにはあまりに唐突なその現象に、俺たち手の空いている
3人が2人を囲み、臨戦態勢をとる。
そのまましばらく膠着状態が続いたが、ユウナのつぶやきにより状況は一変することになる。
「な、に……?なにか、頭の中に……話しかけて、くる…………っ!?う、ああぁぁぁぁぁーーーーっ!!」
突如としてユウナが叫び声をあげたかと思うと、そこかしこから黒い霧が、次いでダーカーどもが這い出てきたのだ。
各々驚愕に支配されて動けなかったが、「臨戦態勢!」というアリサの鋭い号令によって我にかえり、得物を構える。
「っち……、こんなとこまで出張ってきたっていうのに、結局こいつらの相手かよ!」
嫌になる、と心中で吐き捨てながら愚痴を漏らすと、後ろにいたチアキが思わず苦笑を漏らしていた。
「けど、ここでこいつらを殲滅すれば助かる人間もいるわ。だったら、アタシたちアークスがとる行動は一つ!」
毅然としたチアキの物言いは、頼りにするに足る心地よさを含めた音色。つられて、俺の口角が自然と吊り上がる。
思えば、魔訶間になってからのこの一年間、この人物の言動に助けられたことが何度あったか。そんなことをうっすら脳裏に浮かべながら、
戦闘態勢をとったダーカーたちを睥睨(へいげい)してやる。
「…………ざっと、30匹っすね。こりゃあ、腕がなるぜ!」
先んじて強気な言動を見せるリクウが、腰のホルスターからアサルトライフル「レーザー」を取り出し、アリサとユウナをかばうように
立ち位置を変える。二人を守りつつ、後衛に徹するようだ。アイコンタクトでそれを確認し、俺とチアキは一歩前に出る。
チアキが軽く振ったパルチザン「バシレイオン」が、紫色の軌跡を描いて宙を照らす。
「……いくわよっ!」
「おおぉっ!!」
チアキが跳ぶと同時に、俺もガンハチェットを構え、ダーカーの群れへと突撃していった。


 * * * * * * 


「……よぉ」
エル・ダガンの群れの向こう側へと、俺は小さくつぶやきかける。同時に腰のホルスターからアキシオンを引き抜き、奇襲に備えて
突撃の態勢に入る―――が、ダガン共の群れは意外にもあっけなく左右に割れた。
「…………久しぶりだな、アハト」
その中央から、壮年の男が歩み出てきた。俺のものとよく似た銀の髪は男にしては不釣り合いな長さを持ち、あごには薄く無精ひげ。
ヨレたコートを羽織っているその体躯は、33歳の剣士としてふさわしい隆々とした筋肉をのぞかせる。
俺の目の前数歩ほどの場所まで歩み寄ると、壮年の男―――俺の兄にして悪夢の戦争の英雄「マークゼクス」は、柔和に微笑んだ。
「……ホントに、生きてたんだな。兄貴」
懐かしい。15年前、最後に共に過ごした時から、兄貴は何らひとつとして変わっていない。胸中にこみ上げる感慨をおしこめて、
俺は言葉を紡いだ。それを受けて、ゼクスもまた薄く笑う。
「あぁ……。13年ぶり、か。ずいぶんと……でかくなったものだ」
やはり、向こうも懐かしんでいるようだった。ここで不意打ちの一つでも食らわせれば、ダメージの一つくらい確実に与えられる。
だが、どうしても本能がそれを拒んだ。血を上らせるな、まずは対話からだ、と。
「……兄貴、今まで何をやってたんだよ?」
すこし冷えた頭で、今度は冷静に、かつ聞きたかったことを聞いてみる。ゼクスは何かを考えるそぶりを見せたのち、口を開いた。
「……話せば長くなる。今はとりあえず、いろいろあったとだけ言っておくよ」
それだけ言うと、ゼクスは話すことなどないとでも言いたげに口を閉じる。やはり、話し合いだけでは無駄か。
悟った俺は、右手にぶら下げたままだったアキシオンの切っ先をゼクスに向ける。それを見て、ゼクスも少なからず驚いたようだった。
「……何の真似だ?」
「黙っとけ。……聞きたいことは山ほどあるんだよ」
普段の俺なら、兄貴に向けていうべき言葉ではないというだろう。だが今回は、ことがことだ。早く片付けねば、最悪の事態に発展しかねない。
少々荒っぽいが、強硬手段に打って出たのはそれが理由だ。目で言ってみろ、とだけ促すゼクスに、俺は質問を浴びせかける。
「……アンタは、なんでこんなことをするんだ」
そう問われたゼクスは、訳が分からないとでも言いたげな顔で首をかしげた。
「なんのことだ?」と、怪訝な顔で聞いてくる。
「とぼけても無駄だ!……ダーカーを操り、俺たちのカルカーロ……それだけじゃねぇ、オラクルを襲ってるのは、あんだろうがっ!」
その余裕気な態度が、非常に癪に障った。怒りのままに俺は激昂し、アキシオンを突きつけたままゼクスの胸ぐらをひっつかむ。
だが、これだけのことをされてゼクスはなお余裕な表情だった。さらに、近寄った俺に対して逆に質問を投げかけてくる。
「アハト……ダーカーとは何か、お前にわかるか?」
その問いに、俺は少しの間答えることができなかった。なぜ兄貴がそんなことを聞くのかが理解できなくて―――いや、理解したくないだけか。
こんなことを聞いてきた以上、ゼクスはダーカーの一味と共謀していると断定してもいいだろう。
悔しかったが、現実だ。受け入れるために、俺は自身なりの答えを示す。
「そんなもんっ……、人類の敵、世界の敵!すべてを食らう、邪悪の根源に決まってやがる!」
そうだ。ダーカーは俺たち人類にとって、不倶戴天(ふぐたいてん)の敵。そんな連中に肩入れする人間など!
意気込んでいると、ゼクスが首を振った。わかっていないな、とでも言いたげな表情とともに。
「いいや違う。……ダーカーとはすなわち、この世の生きとし生けるものを救済する者なのだ。現に、俺は一度死にかけた。
だがそんな俺を救ったのが、ほかならぬダーカーだったのだよ。……そして俺は知った、ダーカーの目的を、使命を。
そうだ、ダーカーこそ生まれながらの、絶対的なる正義の使者であるのさ!」
その話を聞きながら、俺はひそかに失望していた。
かつての兄貴も今と同様、正義を追い求めてがむしゃらに戦う一人の人間だった。だが、この人間は兄貴なんかではない。
ただ狂った思想に洗脳され、うつろに正義という偽善を振り回すただの教信者以外の何物でもない。
「……わかったよ。とにかく……あんたをぶった切る!!」
目が本気すぎて反吐が出そうな口から、代わりに宣言を叩き付ける。こいつはもう、俺の兄貴なんかではない!
俺に投げ飛ばされたゼクスは危なげなく着地しながら、残念そうな眼を見せた。
「そう、か…………。せめて理解だけでもしてくれれば、生かして帰すつもりだったのだがな……」
寂しげに呟いたゼクスは前髪をかきあげ、居合の型をとった。じり、と鞘から刀が離れる。
俺もまたアキシオンを構え、奴の必殺の一撃を崩すべく地を蹴った。


 * * * * * * 


「はぁぁぁあっ!」
チアキのバシレイオンが、中空へと投げ飛ばされた。周囲にいた数匹のダーカーが巻き込まれ、投げられた槍の直下にふっとばされる。
次いで、チアキ自身の体が跳躍。上空で槍をがっちり掴み、そのままひねり落としの要領で急降下し、錐揉み回転でダーカーを引きちぎる。
フォトンアーツ「トリックレイヴ」を終えたチアキだったが、油断はしていなかったようだ。すぐに振り向いて、バシレイオンの柄で
ダガンの頭部へ一撃。続けて切り上げとともに衝撃波を打ち上げ、ダガンを空中高くへと放り投げる。
そこへ、リクウが放ったのであろう12連射が到来。ダガンをハチの巣にして足りない弾丸の嵐が、空へと突き抜ける。
フォトンアーツ「ワンポイント」を打ち終えたリクウに親指を立て、俺も攻撃に参加すべくダッシュした。
マウントポーチのスロットを切り替え、ガンハチェットを収納。代わりに大剣「キャリバー」を射出。音高く手に収め、
即刻フォトンアーツ「ライドスラッシャー」を発動。柄からフォトンの奔流を吹かし、切っ先を頭にして突撃する。
サーフボードの要領で突進し、ダーカーの直前に来たところで重心を移動。横向けに一回転し、ダーカーを真っ二つにたたき切った。
岩場に引っ掛けて剣から飛び降り、引っかかって浮いてしまった剣の柄をキャッチ。そのまま着地しつつ、回転を省いて
フォトンアーツ「ツイスターフォール」の大上段切り下ろしをお見舞いしてやる。チアキのほうを向いていたカルターゴの弱点である
赤い鋼球に直撃を食らわせ、その四肢を霧に還元する。
これで26。ほかの2人が屠った数を合わせれば、すでに50体以上を倒した計算だ。一向に減る様子を見せないことに不安を感じながら、
俺はリクウが死守する区域を見やる。
アリサの機転で一段高いところで陣取っている中、いまだユウナは目を覚ましていないらしい。攻撃に参加できるのは、実質最初と変わらぬ3人。
そのうち一人は、防衛のために動けない。率先して敵を倒せるのは、俺とチアキただ二人。
舌打ちをひとつはさみ、迫るダーカーへと目線を移す。すでにレンジ内!
「おらぁあああああぁぁっ!!」
弓を引くように体を振り絞り、気合をためて一気に剣を振りぬく。込められたフォトンの力で円形の衝撃波が発生し、高速でダーカーの群れを
駆け抜け、引きちぎるように切り裂く。フォトンアーツ「ソニックアロウ」を立て続けにもう一発打ち込み、ダーカーの群れに
穴をうがつ。そこへ走りこんできたのは、思わぬ人物だった。
「てやああぁぁぁぁっ!」
なんと、リクウたちがいた場所からアリサが一飛びで肉薄してきたのだ。攻撃に参加するということは、ユウナの容体は落ち着いたのだろう。
ということを考える時間はなかったらしい。アリサの持つ「ヴィタブレイカー」から、蒼玉色のフォトン刃が形成されていく。
巨大な一振りとなったヴィタブレイカーを、アリサは思い切り振りぬく。それも二度。
ゴバ、ゴバッ!と恐ろしい破砕音が鳴り響き、フォトン刃にからめとられたダーカーが紙切れのごとく引き裂かれ、周囲の
地形の凹凸ががりがりと削れ、消し飛んでいく。
見たこともないフォトンアーツだ。いつの間にあんなものを習得していたのだろうか?などと考える間に、フォトン刃は
大上段へと掲げられる。
トランザム……ライザアァァァァッ!!!」
ラクルでやっていたロボットアニメの必殺技を叫びながら、アリサの持つ巨剣が振り下ろされ、大地に大穴を穿ったのだった。



「……それにしても、恐ろしい威力ね、さっきのフォトンアーツは」
戦闘を終了し、仮拠点としてユウナを寝かせてある高台で休息をとっている途中、不意にチアキがそんな言葉を口にした。
言われ、俺もつられて思い出す。先ほどアリサが放った強大なフォトンアーツは、何度記憶の中を探しても見つからなかったものだ。
いったいどこからそんなフォトンアーツを―――と考えていたところだったので、チアキの言葉がありがたく思える。
そして期待違わず、アリサは先刻のフォトンアーツについての説明を開始してくれた。
「……さきほど私が発動したのは、大剣カテゴリのフォトンアーツ『オーバーエンド』です。空気中のフォトンを凝固させ、
剣自身の刀身を拡張。純粋なフォトンの塊を相手に叩き付け、破砕するために開発された、いわば試作フォトンアーツですね」
まだまだ威力はあがるはずです、と最後に付け足された直後、チアキとリクウから感嘆の声が上がる。
「……研究部は、またずいぶんと恐ろしいものを作ってくれたものねぇ」
「そうっすねぇ。うぁー、アサルトライフルにももっと強いのこないかなぁ!」
苦笑気味に受け流しつつ、強いという単語から想起されるある事象を思い起こしていた。
「…………アハトさん、何してるんでしょうね」
現在ここにはおらず、カルカーロにて俺たちの帰りを待っているのであろうアハトは何をしているのだろうか。
ぽつりとつぶやき、それに答えたのは、仲間ではなかった。
シュウウウン、という独特なサウンド・エフェクトが発生し、周囲から漆黒の霧が立ち上る。まさか、まだいたのか!?
考える暇もなく、ダーカーたちが再び出現、動けないユウナを取り囲むように立ち位置を調整しつつ、本日二度目の抜刀。
「えぇいくそ、あめちゃんは動けないし囲まれるし……最悪だっ!」
リクウが思わず愚痴る。その胸中は俺も同じだ。だが、そんなことを悪態づいたところで何か状況が変わるわけでもない。
身をもってそれを経験している俺は、ダーカーたちをにらむ。動けぬ仲間を守るべく。


 * * * * * * 


「せりゃあああああっ!」
「どぉりゃぁぁぁあっ!!」
ギン、ガィン、ガキィン!と鋼鉄の衝突音がこだまする。ゼクスは居合刀を、俺は新たに取りだした実体剣「ザンバ」を駆り、
ただ二人で死闘を繰り広げる。ゼクスが放った今日何度目とも知れない不可視の衝撃波が、俺の肩口をかすめて後方の溶岩流を
真っ向から叩ききる。直撃を受ければ命がないことは、最初の一撃で理解している。
肩口をかすめただけでもこの激痛。半端なものではないと踏みつつも、次の衝撃波は回避を許さぬ速度で迫る。
「くおっ!」
ザンバを引き寄せ、衝撃波がヒットすると同時にわずかに角度を変える。海賊時代に培った受け流しの技術が、まさか兄との戦いで
生かされることになろうとは。皮肉な事実にも関わらず、俺は口角が吊り上がるのを感じていた。
体験したことがない、命のやり取り。本気を出して本気で殺しにかかってくる相手に、俺もまた本気を出し、殺す気で立ち向かう。
まるでファンタジーの魔王と勇者のやり取りだ。そう考えるうち、俺は体の芯が熱くなっていくのをひしひしと感じていた。
この高揚感は、何物にも代えがたいものだ。もっと戦いたい、もっと全力を出して、相手を叩きのめしたい!
海賊自体から俺の根底に根付く危険な思考が、表に出始めてきているのも同時に実感していた。このままでは歯止めが利かなくなり、
やがては兄貴を―――。
いや。
いや、違う。眼前の男は兄貴などではない。英雄マークゼクスなどではない。彼の皮をかぶった、ダーカーなのだ。
自分にそう言い聞かせ、俺は再度ザンバを振った。が、その刃は宙を切る。
俺が振りかぶったことを素早く察知し、ゼクスは一瞬で飛びのいたらしい。だが、その速度は尋常ではなかった。
まるで、テレポートでもしたかのごとき速度だったのだ。知覚できないほどの速度で移動するなど、人の体では不可能なはず。
もしや、あんたは――――。
「……ふっ、どうしたアハトよ。それでは俺には勝てんぞ。もっとすべてをかけてかかってこい!」
だが、そんなことは今はどうでもよかった。ゼクスと、兄貴と死力を賭して戦うことが、何よりも楽しい!
「言われなくったってえぇぇぇぇぇぇっ!!」
咆哮一発、俺は思いっきりザンバを振りぬく。同時に風切音が鼓膜をたたき、前方を見やった時にはゼクスが驚愕の表情を浮かべていた。
ゼクスの動きをまねて繰り出した不可視の衝撃波が、ゼクスの胸をたたく。
「ぐぉっ……!」
「まぁだまだあぁぁぁあぁぁぁっ!!!」
横一文字にザンバを振りぬいた体制のまま突撃しつつ、マウントポーチを操作。スロットルを2番に設定し、武装を換装する。
ザンバがデータとなって収納される代わりに右手に握られたのは、遠距離の敵へ対応するための「アサルトライフル」。
体勢を立て直して両手でホールドし、ゼクスに向けてアサルトライフル「ヤスミノコフ3000R」のトリガーを引き絞る。
本来はアークス専用の兵装としてフォトン弾が発射される構造となっているのだが、俺が所有する物は特別なカスタムを施してある。
ドララララララ!と甲高い駆動音を響かせながら、兵士が持つ銃のごとき速度で弾丸がばらまかれる。
実体の弾丸を炸薬で撃ち出すという、旧時代から用いられてきた技法を使った高威力をたたき出す攻撃だ。
弾丸の速度も通常より増しているゆえ、ゼクスであろうと見きれないはず―――!
「おあぁぁっ!!」
そんな俺の淡い期待は、見事に裏切られる。迫りくる弾丸の一つ一つを刀ではじき返し、地面へと叩き落とすという荒業をやってのけたのだ。
さらに、その状態から叩き落された弾丸を弾き飛ばし、先ほど撃ち込んだ時と変わらない――もしくはそれ以上の速度で、こちらへと
撃ち返してきたのだ。裏をかかれた攻撃に対処しきれず、数十発のうち一発が頬をかすめる。
さすがに英雄といわれるだけの技量を持っている。そうしみじみと感じた俺は、改めて突撃をかけた。右手にガンモードへ移行したアキシオン
左手に実弾式のヤスミノコフを構え、持てる限りの弾丸の嵐を浴びせかける。
ゼクスもまた、俺の意図を察したらしい。脇差程度の長さの刀二本を逆手持ちで保持し、迫る弾丸を叩き落としながらこちらへと肉薄してくる。


グワキィィィン!と甲高い音を立て、直後に俺たちは停止した。ゼクスの持つ二本の脇差が、俺のアキシオンを受け止める形で交錯する。
全力でたたきつけられた双方の刃からは盛大に火花が散り、戦場を神々しく照らす。
このまま押し切るか――と思索を巡らせていたその時、ゼクスの真横にダガンが接近してきた。攻撃するつもりはないようだが、
直後にゼクスが神妙気な表情になる。
「……アハト。今見回りをやっていたダーカーから報告があった。……お前の恋人と仲間が、ここにきているみたいだな」
そして開かれたゼクスの口が、俺に衝撃の事実を突きつける。まさか、あめたちがここに来ていたとは思いもよらなかった。
さらに紡がれた言葉は、俺を戦慄させるには十分な威力を持っていた。
「どうやら、ダーカーはあいつらを襲撃しているみたいだな。……こんなところで熱くなっている暇はあるのかな?」
襲撃されているということは、すなわち仲間が危険な状態にあるかもしれないということだった。いくら手慣れのそろったクルーニクスだろうと、
襲いかかるダーカーたちの群れを突破しきれるかは運次第だ。
今この場で背中を見せ、仲間たちを助けに行くことはできる。だがそれは、兄貴を叩きのめすチャンスを一つ失うことと同義だ。しかし……。
俺はアキシオンを引き、ホルスターに吊ると同時に踵を返して走り始めた。仲間が危機にさらされているならば、それを助けるのが仲間の務め!
間に合え、間に合えと心の中で念じながら動いていた足が、突如として停止した。同時に、胸の中央から銀の刃がのぞく。


「がっ…………」
そこで俺は、初めて後ろから刺されたことを知覚した。首をひねって後ろを見ると、ゼクスが驚愕の表情を浮かべていた。
刺したのは兄貴じゃない、ならだれが―――という問いの答えは、視界の端に写った銀の右腕以外にもたらされず、俺の意識は闇に沈んだ。


*********


終了!
いやぁ、やっとこさ完成いたしました!またコクトパートが短くなってますが仕様ですw


リメイクを行ったのはいいんですが、古版4話があんまりにも短すぎて改訂に難航いたしました。結果的になんとか戦闘を盛り込めたので
ほっとしているのですが、この先がちょっと心配ですw


それと友人から「アークスはフォトンをつかえないとなれないんじゃ?」と質問されましたが、まさしくその通りです。
ですがアハトは特別ということで、ハワード船団長が資料を改ざんして特別にアークスへ引き入れたということになっています。
劇中では自分でフォトンアーツを再現して戦っているので、仲間にはフォトンが使えないことはばれておりません。
……ほとんどアハト氏原作なのにこんな改ざんしちゃっていいのかなぁw


次回は古版6話のリメイクとなり、5話分(つまりコトミ分)は丸々カットされますw
そこにアハト氏のスピンオフを織り交ぜて、頑張って製作してみようと思います。
それでは今回はここまで!
またあいませーう ノシ


(今回歌った曲:機動戦士ガンダムSEED「あんなに一緒だったのに」)