コネクトの雑記スペース

創作小説、オリキャラ設定などの雑な記事を取り扱うところです。

短編小説 アーマード・コア レッドアイ・ファントム

「全軍に告ぐ!相手はAC一機だ、囲んで集中砲火を食らわせればわれら『ソルファング』の敵ではない!
作戦に変更はなし、各自、持ち場につけ!」
薄暗い霧が支配する、深夜の空港。MT(マッスル・トレーサー)と呼ばれる作業機械を武装化した機体に乗る、部隊長らしき男が
無線に向かってどなりつける。
他の機体からは「イェッサー!」と雄々しき掛け声がバラバラに響き、無線を、ひいては男の聴覚を震わせる。



かつて、人間が住む地下世界世界「レイヤード」には「管理者」と呼ばれる機械仕掛けの統治者がいた。
あらゆる出来事や行動は管理者によって決定づけられ、またそれを人々は当然のことと受け止めていた。
しかし、ある人物が干渉した事件から、管理者は一人の人間によって破壊された。
それをきっかけに、かつての「大破壊」によって荒廃したはずの「地上」への道が開けることとなる。地上は、蘇っていたのだ。



それから二年後、地上へと進出を始めた人類の間で、まことしやかにささやかれる噂があった。



≪こちらキャット4!敵ACを確認!≫
男のそばに取り付けられた無線から、仲間の報告が響いた。それを皮切りに周囲のMTが散開し、敵のAC(アーマードコア)を
迎え撃つ態勢に入る。
数泊してすぐに、AC特有の独特なブースター音がスピーカーから流れてくる。が、直後に状況は一変した。
≪……ま、まさか!?キャット1、敵は……敵はあの、うわぁぁぁぁっ!!≫
ブツン、と乱暴に無線が切れる。撃墜されたのだ。
その報告を聞き、男は内心で歯噛みする。男が率いる「キャット小隊」は、人数こそ少ないもののそれぞれがMT単騎で
多様な任務を遂行できる手慣れの集まりだった。それが、敵機の接近からこれほどに早く。
「各機!陣形そのまま、陽動部隊による誘導を待て!」
無線に怒鳴りつけながら、ただ静かに時を待つ―――が、彼の予想はたやすく裏切られた。
≪なっ……こいつは―――っがぁぁっ!!≫
≪や、やめろ……くるな、くるな、くる―――≫
キャット2、キャット3、レイジ小隊と、誘導に向かった全機が、神速のごとき速さで撃墜されたのだ。
まさか、と、今度こそ男は愕然とする。
かつてこれほどの速さで、自分の部隊が撃破されていくことなどなかった。いずれにせよ、数分かは持っていたのだ。
しかし、今回ばかりは違った。
(――――早すぎる!)
男が操縦桿を拳で叩いた直後、その敵は姿を見せた。


「―――――なんだと?」
黒と灰色のモノトーンで染色され、ヒロイックな衣装を施された全身パーツの数々。ライフル、エネルギーブレード、ロケット砲、レーダーと
シンプルな武装を施された機体からは、怖気の走るような「赤い視線」が降り注いでいた。
≪………………レッドアイだ!レッドアイだぁぁぁっ!!≫
他の仲間たちも、あるいは狂乱したかのような声を上げる。そのうちの一騎が、突撃をかけた。
が、その体躯が黒いACに届くことはかなわなかった。それよりも早くコクピットブロックを打ち抜かれ、爆散したのである。
「―――集中砲火ァァッ!!」
勝てないわけがない。自分たちは、企業に代わって世界を統治する組織なのだ。たとえ「赤目の亡霊(レッドアイ・ファントム)」が相手でも、
負けるはずがない。そう信じた男は、自ら駆るMTから大量のロケット弾を撃ち込んだ。
そして最後に見たものは、レーザーブレードが描いた軌跡のみだった。


 * * * * * * 


≪作戦目標クリア。システム:通称モードに移行します―――≫
漆黒のACの中で、ふぅと詰めていた息を吐く。
最近になって、一層「ソルファング」の行動が激化してきた気がするなと、コクピットの中で一人考える。
危険な思想だと糾弾する者がいる一方で、新たな世界の統治者として信奉する狂った信者たちもまた存在するソルファングだが、
彼にとっては日々の食事のタネ程度だ。
ヒーローを気取るわけでもなく、闇からの使者を自称するでもなく、ただ黙々と割り当てられた依頼を遂行し、報酬をいただいては
新たな依頼に打ち込んでいく。
退屈なようで充実した毎日は、彼にとって至福のひと時でもあった。
やがて、呼び寄せておいたVTOL式輸送艇が降下してくる。
次はどこに行こうか。何をしようか。どんな戦場に飛び込んでやろうか。
彼の思考は、だれにも分からない。


*********


終わりっ!
……申し訳ない、自分が使っているACの設定が脳内爆発を起こした結果、こんなクソ短い上にペラい内容の小説が出来上がってしまいました。


ACといえばフロム脳と相場は決まっていますので、いろいろ説明不足な描写にしてみましたw
この小説がもし続いたとき、どう完結したかを考えられたらあなたは立派なフロム脳です(断言
それでは次回の小説まで!
しーゆーあげぃん ノシ




おまけ:劇中に登場したACとそのパイロットの設定




劇中では「彼」とのみ呼称。本来のパイロットネームは「アルテミス」。
性別不明のフリーランスで、都合上グローバルコーテックスに所属しているもののほとんど独立傭兵として動いている。
賞金稼ぎのために時たまアリーナに参加することもあり、ランクは低いものの同ランクの相手を圧倒することも。
普段から自身所有のVTOL型輸送艇で生活しており、その姿を見たものはほとんどいないという。
ミッションバイヤーとも音声通信でのみ依頼されるため、ほぼ容姿不明。


クロノス
劇中で「彼」が登場していた中量級二脚AC。クロノスとはギリシア神話の神の名前。
全体的にヒロイックな意匠のパーツで構成されており、大概はクレスト製のパーツ。
対AC戦用ライフル、収束型レーザーブレード、バックユニットに小型ロケット砲と多機能センサーというシンプルな構成だが、
パイロットの技量も相まってすさまじいポテンシャルを発揮する。
また、各部の発光部分が赤く、頭部の単眼式カメラアイも濃い赤に発光することから「レッドアイ」、加えて
黒と灰色という死神か亡霊のような配色であることから、巷では「赤目の亡霊」の通り名で恐れられている。
ブースターの恩恵あってかなりの時間滞空することもできるので「空飛ぶ亡霊」とも呼ばれるとか。
デザイン元はコネクトが愛用する中量二脚AC「01δ クロノス」。