コネクトの雑記スペース

創作小説、オリキャラ設定などの雑な記事を取り扱うところです。

マビノギ 小説風にプレイしてみたSeason2 その7 by8/16

「俺っ、参上ーっ!!」
よく晴れたダンバートンの路地裏で、俺は声高に叫んだ。手を突き上げると同時に、身にまとっているコートがばさと揺れる。
同時にずいぶん増えた髪が若干乱れ、胸は―――無いから揺れない。
これで何度目になるだろうか。そう思いながら、ふと目に映ったガラスに自分の姿を映してみた。
漆黒の衣装に身を包み、映り込む自分を見つめるのは翠の瞳。陽光を反射してぱらぱらと揺れる髪の毛は、少し硬い質感だ。
全身の構造から変わっているせいか、少し関節が固い。そんなことを考えながら、俺は改めて「男に戻った」ことを実感した。
当然男であるから胸はなく、久しぶりに戦闘時に邪魔な重みが取れた感覚にすっとする。
「いやー、やっぱ自分の体は男だな、うん」
一人納得しながら、ボリュームアップした髪の毛をわしゃわしゃと撫でてみる。
やはり、女である時とは違って毛自体が固い。以前までのはらはらと流れるような毛質も気に入っていたが、やはり自分の髪は
若干固めでないと落ち着かないしみじみ思う。


ちなみに、男に戻ったのは一つわけがあった。一応また女に戻る気もあるのだが、とにかくは今の姿を楽しむ。
と、普段転生した時とは決定的に違うものに気が付いた。服装だ。
「……おぉー、精巧だなぁ」
現在俺が来ているのは、俺がここに来る前の世界で人気を博していた、とあるライトノベルの主人公が着ていた衣装だ。
全身黒づくめという奇抜な格好だが、落ち着いた色合いが好きな俺はなかなか気に入っていた。
噂によれば、その主人公が持っていた剣も手に入れることができるらしいが、あいにく俺にはそんな運がない。
機会があったらワゴン売りを買おうかな、そう考えつつ、俺はさっさとその服を脱ぎ始めた。
いくら憧れのキャラの服であるといえど、自分が着て似合うかといえば別問題なのである。着慣れた服のほうがいい。




「こんちはー」
「どもー」
少し後、俺はイメンマハのムーンゲートにいた。
あの後適当にほっつき歩いていると、突然友人である「ぴょこぽん」氏から連絡が来たのだ。
いわく―――ルンダダンジョン上級にいかないか、と。
ほとんど死刑宣告に等しいそれに戦慄を覚えつつ「足手まといでいいなら」と返事を送ったところ、まさかの快諾が返ってきたのだ。
そして俺はイメンマハに赴き、ムーンゲートの前でぴょこさんと出会ったのだ。
しばらく話したのち、ルンダダンジョンにともに潜るメンバーが見つかったらしく、そろってダンジョンへと赴いた。
そこにいたのは―――真っ赤な鎧を着て、背中に大太鼓を背負い、面妖な狐のお面をかぶった人物だった。
見えた名前は「力無」。体格から男性だと察せたが、まさかこの人が仲間なのか。



そんな俺の予感は見事に的中したようで、俺とぴょこさん、そして力無さんの三人でルンダ上級へともぐることになった。
目測通り、ぴょこさんはもちろん力無さんも強かった。
俺が倒すのを手こずる「黒クマネズミ」を、大太鼓をたたくためのばちで軽々と吹っ飛ばす。ぴょこさんはぴょこさんで、
アイスボルトと弓を組み合わせた連携攻撃で、クマネズミを寄せ付けようとしない。
そんな中で、俺一人だけが苦戦していたのはかなり悔しかった。相手の攻撃が想像以上に早く、スマッシュを叩き込む前に
蹴っ飛ばされてしまうのだ。なまじ体格が大きい分、一撃一撃が痛い。
そんな俺を見て、あきれているのか笑っているのかわからない二人に、顔見せができない気持ちでいっぱいだった。
だから足手まといだといったんだ。胸中で毒づきながら、手ごろな位置に出現した「レッドスケルトンパイレーツ」めがけて
ダウラの弾丸を叩き込む。


それでも何とか死なずに、最下層までたどり着いた。
敵は大きな体躯を持った巨人「サイクロプス」と、骸骨フライングソードなど取り巻き多数のみ。
サイクロプスは任せます!俺は取り巻きを!」
言うが先か、俺はグラディウスを引き抜いて突撃する。正直、あの敵を相手にするには分が悪かった。
火力的には間違いなく力無さんのほうが上なのに対し、俺のほうはというとネズミにてこずるレベルだ。ゆえに不甲斐なく思いながら、
俺はグラディウスの剣戟をフライングソードめがけて叩き込んだ。


結果として、俺の判断は正解だったようだ。赤骨海賊と骸骨浮遊剣を何匹か倒しているうち、あっさりとサイクロプスは討伐された。
前衛としてそこそこの経験と実力を培ってきたつもりだが、こうも実力差を見せつけられるとちょっとヘコむ。
今後はきちんとスキル関係に関する知識を集めていかないと。ため息交じりの決意をしつつ、俺は立ち上がった。
そういえば、あの人はどうしてるんだろう。そんな感想を、心に浮かべながら。


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終了!
いやぁ、更新が遅れてもーぅしわけありません!


実はこのお話、あんまりにも短いので外伝を組み込もうと思っていたんです。
が、あんまりに話が思いつかなく、さらに更新が遅くなるのでやむなくカットし、現在にいたいます。
というか、本編自体はもう18日当たりに完成してたんですがねw


というわけで今回はここまで!
またあいますぇーぅう ノシ