コネクトの雑記スペース

創作小説、オリキャラ設定などの雑な記事を取り扱うところです。

短編小説 妖花〈ドリアード〉は歌う


深い森の中。
昼間とは打って変わった様を見せる、月明かりのみが光源の薄暗い森の中を、冒険者は一人歩いていた。
数時間前に魔物に襲撃され、逃走しているうちに正規のルートを外れ、あまつさえ方角もわからなくなっていたのだ。手に持つ
コンパスも今は役目を失い、ただ意味もなくくるくる回る針になっている。
はぁ、とため息をつきながら、冒険者は当てもなく歩く。



やがて数時間歩き、そろそろ野宿の準備にでも入るか、と思っていた頃。不意に、前方の視界が開けた。
まさか、森を脱出できたのか。そう期待を込めて早足でそちらに向かうが、残念ながらただ開けた場所に出ただけ。
―――違う。
ただ開けているだけではない。その中央にある大きな切り株の上に、誰かがいる。
冒険者は不審がりながらも、そちらに近づいてみる。近づくにつれ、その影の輪郭がはっきりしてきた。
女、しかもまだ幼い少女のようだった。若い芽のように明るい緑色をした髪が、夜風に吹かれてさらさらとなびく。
服装はワンピースに似た質素なものだったが、その質感が幼い容姿をさらに輝かせる。
ふと、少女が冒険者のほうに目を向けた。冒険者は少し硬直するが、すぐに警戒を解いて言葉を紡ぐ。
「君は、誰?」
問われた少女は首を傾げる。
「あなたは、だぁれ?」と、問いを問いで返してくる始末だ。
「……こっちが聞いてるんだよ。君はだれ?」
わたし?と小さくつぶやいた口からは、名前らしき言葉が紡がれる。
「ドリアード。ここに住んでるの」
聞きなれない名前だったが、それ以上に冒険者には気になることがあった。
ここに住んでいる?まさかと鼻で笑おうとするが、それは少女――ドリアードの問いに遮られた。
「ねぇ、あなたはだぁれ?」
その問いが、不意に冒険者の背筋に悪寒をもたらす。少女は、ドリアードは、まるで冬の海のように冷たい目をしていた。
「あなたはだぁれ?わからない。あなたはなぁに?なんだろう」
そのまま、冷たい瞳で冒険者を見つめ、口から小さな音を紡ぐ。だが、冒険者はその意味を理解できない。
―――思考という行動が、できない。
ふいに、操られたように冒険者が下を見る。草が、土が、笑っている、うごめいている。ドリアードの言葉につられたように、
さわさわとざわめく。
ただ何を考えるでもなく、その光景を見下ろしていると、ドリアードの声が――――うたが、きこえる。
「あなたはだぁれ、わからない。あなたはなぁに?なんだろう。さわさわかさかさ、乾いた音色。がさがさゆらゆら、揺らいでく」
ドリアードの歌に合わせ、冒険者の足元からするすると何かが伸びる。
ツタだった。そこかしこに草を、花をつけながら、冒険者の周りを取り囲む。
渦を巻き、囲いこみ、やがて距離を縮め、手に足に腹に頭に首に、巻き付く、巻き付く巻き付く巻き付く。
「ぐるぐるぐるぐる、草木の虜。ふわふわくらくら、あなたが揺らぐ」
巻き付いたツタが溶けたかと思うと、溶けたツタが絡みついた冒険者の指が―――花開いた。
そこからツタは広がり、冒険者の指を、手を、腕を、同じ形に変えて、ほどいていく。筋肉は幾重もの細いツタになり、
冒険者の手をほどいたツタとからみ、新たなツタになり、また冒険者をほどく。
「ゆらいでゆらいでここはどこ?はらはら舞い散るあなたの躰(からだ)。まじわるまぐわる草木の心」
冒険者の腕はすでに何十本ものただのツタとなり、すぐにその足も、はらりと舞い落ちる木の葉にとって代わる。
「ふわふわはらはら木の葉が落ちる。ほろほろ枯れてくあなたは自然」
冒険者の姿は、既に草の塊だった。


のちに、ある著名な魔導士はいう。
いわく、森の中は正規の道以外を歩いてはいけない。もし道を外れてしまえば、圧倒的な魔力により、その存在を
自然の中へと還されるだろう。
森の守護者、ドリアードによって。


「   
 あなたはだぁれ?わからない。あなたはなぁに?なんだろう。
 さわさわかさかさ、乾いた音色。がさがさゆらゆら、揺らいでく。
 ぐるぐるぐるぐる、草木の虜。ふわふわくらくら、あなたが揺らぐ。
 ゆらゆらゆらいでここはどこ?はらはら舞い散るあなたの躰。
 まじわるまぐわる草木の心。ふわふわはらはら木の葉が落ちる。ほろほろ枯れてくあなたは自然。
    」

白い月が照らす月光の森で、少女の口から歌が紡がれる。
傍らには、大きな草の塊。


*********


終了!
いんやー、何伝えたかったんだろwww
個人的にはホラーちっくな小説を書いてみたかったんですが、やっぱ無理ですね!!!


感覚としては、ドリアードの歌、的な何かを伝えたかったんです。
もう、自分で言ってわけわからなーい♪(錯乱


それでは今回はここまで!
最近短編ばっかだけど気にしない! ノシ