コネクトの雑記スペース

創作小説、オリキャラ設定などの雑な記事を取り扱うところです。

小説版ドラゴンクエストX 黒金の夜想曲〈ノクターン〉

アストルティア。そこは太古の昔から6つの種族が共存し、手を取り合って生きてきた、広大な大地。
500年の間、長く平和を謳歌していたこの世界は、しかし今、人知れず魔の手に侵され始めていた。

「……」
暗い雲の下で、赤い炎が燃える。
青年の手には、剣がひとつ。
憎悪に輝く金色の瞳は、目の前に悠々と降り立った巨体の悪魔に向けられていた。
「まだ生き残りが居たのか。……いいぜ、村人は皆殺しだァ!」
けたたましく吼える悪魔に、しかし青年は口を真一文字に結んだまま剣の切っ先を突きつけた。
「……仇は、取るからな。皆」
青年の口からこぼれた言葉は、果たして誰に向けたものだろう。
自らの面倒をよく見てくれていた、村の長老たる老年の女性か。
大切な人のために燃える村へと消えていった、村一番の魔法の使い手か。
それとも、目の前で業火に飲まれ、灰となって消えていった自らの兄か。

「…………ぅぅうあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
憎しみに満ちた咆哮が一つ、燃え落ちていく村に轟いた。



この日。
アストルティアの人々からも忘れ去られた村は、誰にもその存在と消滅を知られぬまま、村人たちと共に消えていった。



小説版ドラゴンクエストX 黒金の夜想曲ノクターン


第1話 生き返った者






「……夢か」
アストルティアを構成する6大陸の一つ、エルトナ大陸の東部に存在するのどかな丘陵地帯、ツスクル平野。
晴れ渡る空の下で輝く青草の上に寝っころがりつつ、アストルティアを構成する6種族の一つ「エルフ」の青年は、ぼんやりと青い空を見つめていた。
「そういえば、なんだかんだ一年経ってるんだな。……村、どうなったのかなぁ」
青い空を見つめる金色の瞳は、憂いの色を帯びている。彼が考えているのは、かつて自分がエルフではなく、人間として生きていた時――自分が住んでいた、山に囲まれた小さな村のことだった。


あの日の出来事は、彼……コネクトの脳裏に、嫌という程焼き付けられている。
燃える家屋、鼻をつく肉の焼けた臭い、黒々とした空を駆ける異形の怪物たち、爆ぜ吹き飛んでいく見知った顔、顔、顔。
コネクト自身も、愛剣の柄を握りしめて必死に戦った。自らが流した血と黒く焼けた土にまみれながら、血反吐のでるような咆哮を上げて、なお剣を振るった。それから先は、よく覚えていない。


気がつけば、コネクトはこの平和な野原で倒れていたのだ。まだ新品らしい斧を傍らに投げ出した、黒髪金眼のエルフの姿となって。
近くの村……否、「ツスクルの村」という村の形をした学校へと行き、自らが住んでいた名もなき村に関する情報を集めてみたが、最終的にはどれも無駄に終わってしまった。諦めずに探してはみたが、時が経つにつれて諦観の念が強まっていき――現在は、卒業試験である「若葉の試み」に向けて、やる気なく勉強中である。
むろん、村や皆の安否が気にならないわけではなかった。だが彼らは、村は、コネクトが見ている目の前で消えていった。仮にまだ残っていたとしても、あの悪魔たちによって人々は皆殺しにされている。そう考えると、諦めの思いが強くなるのだ。
はぁ、とひとつため息をつく。思うのは、何故自分はこうして生き返ったのかということだ。
決して剣の才に秀でたわけでもなければ、特段学があるわけでもない。特徴といえば面倒臭がりなのと、口が悪いことだけ。そんな自分が何故――という思考は、草を踏み鳴らす音と共に近づいてきた人影に中断させられた。
「何を一人でグースカ寝こけてるんだ、このグータラ学生が」
途端、腹に走る小さな痛み。見れば、サンダルのかかとが腹に浅く打ち込まれていた。
そのまま生白い足に沿って目線を上に向けて、見えた顔にコネクトはまたため息をつく。
「……んだよ魔女、俺が何したっていいだろ」
アイネスと呼べ、このグータ脳筋。……若葉の試みが始まるそうだ。とっととこい」
胸元で腕を組み、仏頂面でコネクトを睨むのは、一年間をパートナーとして過ごしたエルフの少女だった。

アイネスと名乗る彼女は、顰めた眉で不満を示しながら、紅い瞳でコネクトを睨んでいる。ふんと鼻を鳴らしながら足を腹上から退け、踵を返す表紙に、くせ毛気味な金髪が風に揺れた。
「わざわざ呼んでやったんだ、何か奢れ」
端正な顔立ちで鋭い毒を吐きながら、アイネスはツカツカと村の方に向けて歩いていった。その背中を見ながら、もう一度ため息を吐いたコネクトは体を起こし、傍らに寝かせてあった愛剣である「せいどうのつるぎ」を拾い上げ、腰のベルトに吊り下げる。
「……おめーに奢る金はねぇっつの」
不満タラタラに愚痴をこぼしつつ、コネクトはアイネスの背中を追っていった。


***


エルフたちの学びの庭として著名なツスクルの村では、一年に一度卒業試験として「若葉の試み」というものが催されることで有名だ。
毎年、この厳しい試練を勝ち抜き、心技体すべてにおいて冒険者としての資質を備えたエルフが、一人前の冒険者として世に送り出されていくこととなる。しかしこの試練は、一部の者だけしか突破は叶わない狭き門として有名だった。


「……で、なんで俺が護衛なんだよ」
ツスクルの村から少し離れた光の河、その近くに建てられた大型書庫「知恵の社」への道すがら。土が踏みならされて形成された獣道の街道を、水色の水滴に似た形のモンスター「スライム」が塞いでいる。
それを右手の剣で面倒臭げにぶつ切りにしていくコネクトは、自らの後ろを悠然と歩く金髪の少女へと文句を吐いていた。
「護衛じゃない、肉壁だ。私の球の肌に傷をつける訳にはいかんだろ?お前だって見惚れていたんだ、大人しく肉壁になっていろ」
「ちィ……反論できんのが忌々しい」
かつてその少女の美貌に見惚れてしまった苦い過去を振り返りながら、コネクトは盛大なため息を吐く。
そしてふと思い出したかのように、アイネスに向けて質問を投げかけた。
「そういや、お前さ。ここを出たら、何かするのか?」
ごく自然に、そう問いかける。思い返せば、コネクトはアイネスのことについてはほとんどを知らない。知っていることといえば、魔法使いで真性のサディストということくらいで、彼女の素性や過去については全くの無知だった。
後ろの少女はいったい何者なのだろうかという疑問から口をついた言葉に、アイネスは赤い宝石に似た瞳をぱちりと瞬かせる。
「あぁ、うむ……特に決めてはいないかな。そもそも、このツスクルに来たのも好奇心からだ、別段何かを成そうとした訳じゃない。…………強いて言えば」
数泊を置いてアイネスの口から出たのは、実に彼女らしい答えだった。
「強いて言えば、この世を統べる最強の魔法使いが夢かな。誰にも夢物語とは言わせん、これは私が志した道だから、な」
そう呟いて、小さな拳をぐっと握りしめる。そんな光景を見てコネクトは、そんな真剣な顔も出来るんだなと意外そうな表情をしていた。


***


「……以上3名が、知識の儀の合格者だ。今名を呼ばれた者たちは、この後ヒメア様からの言葉と禊を受け、久遠の森の奥地にある世界樹の元に向かえ。他のものは戻って一から勉強し直し!」
知恵の社で行われた試練を突破したのは、コネクトとアイネス、そしてもう一人の女性エルフだけだった。
失意に沈む生徒たちを尻目に、コネクトは独り言を呟きながら巫女ヒメアの待つ館へと向かう。
「……信じらんねぇ、あんな簡単な問題なんでクリアできねぇんだよ。あいつらみんな俺より年上だろ?信じらんねぇ……」
口ではそう言いつつ、内心では若干の嬉しさを感じているコネクト。そんな彼の前に、突然人影が現れた。ぎょっとして停止するコネクトに向けて、その人影――女性エルフは指を突きつける。
「コネクトさんでしたね。あなた、何か不正でもしてませんよね?」
目の前に現れていきなりそう問いかける女性は、先ほど知識の儀を突破した者として名を呼ばれた者だ。名は確か、ヒマワリ。
明るいオレンジ色の髪をヘアピンで留めた特徴的な髪型は、コネクトの目にも印象に残っていた。だが今はそんなことはどうでもよく、コネクトの矛先はヒマワリの発言に向いていた。
「……不正を?俺がしたって?」
「確証はありませんし、そもそも噂程度の情報ですがね。けれど、もしそんなことをしていたら、このツスクルの信頼は地に落ちてしまいます。それを防ぐため、私はあなたに問うているんです」
ヒマワリの言葉を聞いて、コネクトは自分の周囲からの評価を思い出してみる。
そう言えば、現在コネクトが自分の体として使っている体の元々の持ち主は、俗に言う落ちこぼれだったらしい。根暗でパートナーとなったエルフからも避けられ、自尊心としょうもないプライドの塊だったことからツスクル全体でも嫌われており、教師曰く「もう少し改心が遅ければ退学にさせられていた」という。
確かに不正も疑われるなと、コネクトは考える。だが、頭で理解していても納得できないことがあると言わんばかりに、コネクトはつっかかった。
「はっ、ちょっと勉強に熱心になって、いい点を取ったから不正を疑うのか。そんな根も葉もない噂に流されちゃ、それこそここの程度が知れるってもんだな」
鼻で笑い、コネクトはヒマワリを挑発する。それに対して、ヒマワリはむぅと頬を若干膨らませはしたが、特段何か文句を言う事はなかった。
「……確かにそうですね、失礼しました。では、私は力の儀がありますので」
それだけ告げると、ヒマワリはコネクトの横を通り抜けて、早足で歩いて行ってしまった。残されたコネクトは、気に食わなそうな顔をしながらも肩をすくめ、踵を返してヒメアの待つ館へと向かっていった。


***


「だからなんで俺が護衛なんだよ!しかもこれじゃ剣振れねぇっつの!降りろ魔女コラ!!」
「肉壁と言えデコ助野郎め。女、しかもこのアイネス様をおぶれるのは名誉なんだ、ありがた〜く思えよ童貞め。ほら走れ馬」
目的地である世界樹への道中で、コネクトは後ろ――正確には自身の背中におぶさっている少女に向けて文句を叩きつけていた。彼の手は少女を支えるのに手一杯で、腰に吊った剣を抜けないでいる。少女を振り落としでもすれば、何をされるかわかったものではないからだ。
モンスター達に見つからないよう、なるべく静かに素早く森を抜ける。尻か太ももでも揉んで悲鳴でも上げさせてやろうかと内心で毒づいたが、後で何をされるかわからないことから渋々断念したりしながら、コネクトは世界樹に向かって足を動かした。


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お久しぶりのこんにちはーっす。インフルエンザでダウンしてたコネクトでーす。


今回、また脈絡もなく新しい小説を初めてしまいましたw
題材はズバリ、コネクトが1年半ほど前からプレイしているドラクエX
今回の主人公モチーフはコネクトのアバターで、ヒロイン?となる少女もまたアバターNPC以外の登場人物も全て他の方のアバターとなる予定です。はたして、コネクトに一人一人の個性付けなんてものができるのか甚だ疑問にございますw


第1話となる今回は、プロローグとしてコネクトがアストルティアにいる理由を回想という形で、1話2話の舞台となるツスクルの村近くを中心にお送りしました。
門前払いやマシマリとは違い、完全に見切り発車を行ってしまった形になりましたが、やり始めたからには完結させたいと思っておりますので、何卒応援のほどよろしくお願いいたします!


ではではまた次回ー ノシ