コネクトの雑記スペース

創作小説、オリキャラ設定などの雑な記事を取り扱うところです。

Blue Bright Blade―蒼の煌刃―

episode5 デルタの決意



「よぉマザー、戻ったぜ」
 神に祈りをささげるために建造されたと思しき、小さな神殿らしき建造物の最奥部。そこに、一人の男――左半身を覆い隠すボロボロのマントと、盾と戦爪の二つの機能を備える盾爪を右手に装備する、アレファの村を襲った男の姿があった。
 男が神殿の奥に広がる暗闇に声をかけると、カツン、カツンという足音を響かせて、一つの影が明るみへと歩み出てくる。
「おかえりなさい、ラムダ。首尾はどうでしたか?」
 それ自体が光を放っているかのような煌びやかな金の長髪に、地の底で凝縮された宝石のような、どこか作り物めいた赤に輝く瞳。見る者すべての目を覚ますような、浮世離れした美貌を持つ「女性」がそう問いかけると、男――ラムダと呼ばれた黒髪紅目の男は笑いかける。
「仰せのままに、ってな。何人かは逃がしちまったが、村自体はぶっ潰したぜ。「力の核」になってたっぽいのも、しっかり壊しといたよ」
「それは重畳です。よく頑張りましたね、ラムダ」
 肩をすくめて、少し大仰なしぐさでラムダが自分の戦果を報告すると、マザーと呼ばれた女性はゆったりとラムダに歩み寄り、その頬を撫でながら笑いかけた。
「へ……俺は、他の奴らとは違うからな。こんな任務、朝飯前さ」
「あら、大きく出ますね。……えぇ、貴方は本当に優秀。私の望みを、しっかり叶えてくれますから」
「そう思うんなら、もうちょっとイイ物寄越してくれてもいいんじゃないか? …………あぁ、そういえば」
 互いに力を抜いた緩い笑みを浮かべ、しばし恋人が逢瀬を楽しむように笑いあっていた二人だったが、ふとラムダが思い直したように口を開く。
「逃がした連中は関係なさそうな雑魚ばっかりだったが、一人だけ妙なことがあってな。そいつだけはどうなったのかわからないんだよ」
「と、いいますと?」
「なんつうかな……「光ったと思ったら消えた」んだ。そいつが叫んだら、突然周りが滅茶苦茶眩しくなって、気づいたらそいつだけが居なくなってたんだ」
 奥歯に物が詰まったような物言いのラムダに、マザーは驚いた表情を見せながら彼を問い詰めた。
「まぁ……その消えた人間の特徴は覚えていますか?」
「たしか、尻尾みたいな長い青髪は覚えてるぜ。魔動戦機の剣っぽいのを使ってたのは確かなんだが……弱い奴に興味なんてないからなぁ」
 ラムダの簡単な説明を聞いたマザーは、しばし口元に手を当てて思案する。やがてラムダが軽いあくびを口にしたころ、何かを決意したかのような表情で、マザーは口を開いた。
「――そう、ですか。わかりました。……本当ならばあなたを行かせたいところですが、別の任務もあります。人探しにもっともふさわしい人員を充てることとしましょう。ラムダ、貴方は下がっていいですよ」
「あぁ。もっとイイ褒美が貰えるように、頑張るとするさ」
 退室を促されたラムダは、ひらりと手を振ってその場を後にする。出口を包む闇に消えていくラムダを見送ったマザーは、すっと虚空に視線を向けると、小さく呼びかけた。
「ガンマ、此処に」
 再び、凛とした声音が神殿の中に響き渡る。幾ばくかの空白の後、不意にマザーの目の前の空間が淡く輝いたかと思うと、直後にそこから一つの影が降り立った。
「呼びましたか、マザー」
 マザーの前に降り立ち、膝をついて首を垂れるのは、先ほど退室したラムダとはまた違う、さらりとした滑らかな髪質を持つ黒髪と、マザーの持つそれとよく似た、作り物めいた深紅の瞳を持つ男性。伏せられた顔から読める感情は乏しく、身に纏ったシャツやネクタイ、地味な色のジャケットが、彼――ガンマと呼ばれた青年に、生真面目そうな雰囲気を纏わせていた。
「ガンマ、貴方に新しい使命を与えます。……尻尾のように長い青髪を持つ、魔動戦機の剣を持つ者。それを、探し出してください」
 自らに向けて傅くガンマにむけて、マザーは手短にまとめた用件を伝える。目を閉じたまま、その言葉をしかと頭に刻み付けたガンマは、静かに顔を上げた。
「わかりました。……見つけた場合の処断は、いかがいたしましょう?」
「殺してしまってかまいません。私たち「メシア」の悲願成就を妨げる要因は、残らず排除するのです」
 問いかけるガンマに、マザーは毅然とした表情でそう告げる。虚空めがけて腕を一振りするマザーを見つめながら、ガンマはひとつ静かにうなずいた。
「はっ。――「複製の天〈ウラヌス〉」の名にかけて、必ず勅命を果たします」
 それだけを告げると、彼は空中に手をかざし、現れた時のように淡く輝く燐光の中に消えていく。


「……この現世でも、私の邪魔をするのですね、アスール」
 残されたマザーは、一人虚空に視線を投げだして、ぽつりと独り言を口ずさんでいた。


「ならば私は、貴方を殺してあげましょう。そして、生まれ変わった世界で、本当の貴方と――」






 * * * 






「…………っ、う……」
 ゆっくりと目を開けた彼は、開いた瞼越しに視界を照らす小さな明かりを見て、動かない頭に疑問を浮かべた。
 眠ってしまう前の光景は、いったいどんなものだったのだろうか。少なくとも、自分の家で床に就いたような記憶はない。そう考えて、もう一つの疑問の花を咲かせた直後、再起動してきた脳裏に、眠る前の――気を失う前の最後の光景が、瀑布のような勢いを持ってよみがえった。
 空を覆う影。
 村を焼く爆炎。
 立ち込める死の臭い。
 迫りくる影。
 殺意。


 凶刃。
 


「――――ッ!!」
 覚えている限りの光景をすべて思い出した彼――デルタ・アリーシアは、まるで悪夢から醒めた時のように、横たえていた身体をがばりと起こし上げた。
「っは、っは、っは……?」
 浅い呼吸のまま、迫っていたであろう凶刃が何処にもない――どころか、最後の光景とはまるで違う、自身の周囲の風景に、デルタは困惑する。きょろきょろと周囲を見回せば、そこが布張りの小部屋――よく言う野営用のテントの中だということは、ほどなく理解することができた。
 自身の居る場所について理解したデルタだったが、すぐさま新たな疑問が湧き上がる。どうして、あの男に殺される運命にあったのであろう自分は、こうしてテントの中で眠りこけていたのだろうか、と言う疑問だ。
 記憶に間違いがなければ、自分はアレファの村で謎の男に襲われ、今まさに殺されんとしていたところだったはず。だというのに、自分はこうして生きている。それが彼には、たまらなく不思議だった。
「……ん」
 ふと思考の海から浮かび上がり、視界を動かしてみれば、テントの入り口になっている部分が開いており、その先に小さなたき火らしいかがり火が見て取れる。
 もしや、自分はあの後誰かに助けられたのだろうか。それとも、もっと別の何かがあったのか。疑問を抱えたまま、好奇心に突き動かされて、デルタはテントの外へと出てみることにした。


「……あ、起きたんだね! よかったー、心配したよ。大丈夫? 具合はどう?」
 テントの外に出て、青い空を頭上に臨むデルタの視界へ最初に映り込んだのは、たき火を前にして小さな椅子に腰かけ、ゆったりと本を読んでいた、一人の少女。短く切りそろえられたふわふわの茶髪に、空よりも濃い深青色の瞳が、何よりも印象的だった。
 そんな少女は自分に気付いて本を閉じて立ち上がり、安堵の表情で二、三歩近づいて問いかけてくる。軽快な動作に合わせて、着込んでいる白無地のパーカーとデニムスカートの裾が、ふわりとなびいた。
「あ、うん。……えっと、君は?」
 よもや、すぐさま人と話すとは思わなかったデルタが、驚きながらも首をかしげて口を開く。名を訪ねられた少女は、はっとした表情のまま快活な笑みを浮かべた。
「あ、ごめんね! 驚かせちゃった。私は「アリア・ルファーナ」。縮めてアルファ、って呼んでほしいな」
 そう言いながら、アルファと名乗った少女は両手を後ろでに組み、にっこりと微笑む。幼さを色濃く残す整った顔立ちは、綺麗と言うよりも可愛らしいという印象が先立つものだった。
「ねぇ、キミは何て名前なの? どうしてあんなところで倒れてたの?」
 矢継ぎ早に質問されて、ようやく自分が名乗っていないことを思い出し、デルタは改めて少し距離を取り、口を開く。
「あ、僕はデルタ。デルタ・アリーシアだよ。……えぇと、倒れてたってのはどういうこと?」
 自己紹介がてら、デルタは彼女との会話に出た、気になる単語について問いかけると、アルファは疑問のにじむ表情のまま、おとがいに手を当てながら答えた。
「あれ、覚えてないの? 私が見つけた時、広ーい野原の真ん中に倒れてたから、多分訳ありだと思ったんだけど……」
 彼女の証言と、自身の記憶にある最後の光景から続くであろう現状。そして、本来ならば周囲に存在するであろう光景と今の光景。どう考えても、食い違うことは明白だった。
 いったい何が起きたのだろう。デルタの頭がますます混乱の一途をたどる中、不意に再びアルファが歩み寄り、にこりと微笑んだ。
「ねね、良ければ聞かせてくれない? 意見を出し合えば、答えも見つかるんじゃないかな」
「あ……うん、そうかもね」
 わからないことだらけの現状だったが、ともかくは答えに繋がる何かを探すために、デルタは己の身の上を、できる限り事細かに話し始めた。


***


「……っていうわけなんだ」
 自身の住んでいた場所。それまでの村の様相。そこに居たはずの人々。
 突然の異変。突然の襲撃。突然の敵意。突然の殺戮。
 一通りの身辺情報と、自身が気を失う前に体験した一連の出来事をすべて話し終えてから、ようやくデルタは一息ついた。
「……正直なところ、僕にも何が起こったのかはさっぱりわからないんだ。――確実に言えるのは、なぜか僕だけが助かった、ってことだけ」
 その言葉と共に、デルタの脳裏には再びあの時の情景が鮮明によみがえる。
 あの時、もっと自分が強ければ。
 あの時、不意打ちで男の攻撃を貰っていなければ。
 あの時、二人にしっかりと危険を伝えていれば。
 考えれば考えるほど、彼の胸の内には溢れんばかりの後悔が襲い掛かってきた。
「そっか……いろいろ大変だったんだね」
 声につられ、いつの間にかうつむいていた顔を上げると、目の前に座るアルファの表情は、少しばかり憐れみの色を込めた、悲しそうなもの。
 暗く陰る彼女の表情に、しまったとデルタが何事かを口にしようとする前に、アルファは一度小さく頷いたかと思うと、くるりと表情を元に戻した。
「えっと、情報を整理すると……デルタはアーシア大陸北部のオルフェスト地方、アレファの村出身。変な奴らに襲われて、殺されそうになったところで気を失って――気が付いたらここに居た、ってことであってる?」
「うん、そんな感じ。……ねぇ、気になってたんだけど、此処ってどこなの? 見た感じ、近くに村とか街は見えないけど」
 言いつつ、周囲を見回すデルタの視界に映り込むのは、何処までも続いていそうに錯覚する草原と、デルタらの使っている野営地から少し離れた場所に存在する、獣道を舗装して作られたらしい街道。
 遠景に見える山にはまばらに雲がかかり、山と反対の方向に視線を映せば、そこには遥かな彼方に水平線を描く海が、小さく風景の端へと映り込んでいた。
「ここはアーシア大陸の南部にある、フランディア地方だよ。オルフェスト地方は、大陸首都の「エルシウス」を挟んで、もっともーっと北の方だね」
「ふら……?!」
 現在地を聞いて、デルタは衝撃に揺らぐ。
 それも当然の話。デルタの住まうアレファの村を擁する、他の地方と比べても比較的小さな地方であるオルフェスト地方は、この「アリルフェイト」という世界を構成する三大陸の一つにして、最も広大な大陸である「アーシア大陸」の中でも、かなり北の方に存在していた。
 しかし、アルファの口から出てきた「フランディア地方」は、アーシア大陸の中心部付近に位置する、大陸の中でも最も大きな街である大陸首都「エルシウス」からは遠く離れた、大陸の南部に存在している。そして同時に、オルフェスト地方とはどう考えても接点のない、遠く離れた場所。
 要するに、如何なる不可思議な奇跡が起きたところで、デルタが住んでいたアレファの村から、アルファと言う少女に拾われたっこのフランディア地方の片隅に移動することは、物理的に考えて不可能なのだ。
「…………どう、なってるの? 長距離移動用の魔法なんて、それこそ街に在る設置型の転送魔術駆動装置<テレポーター>じゃないと無理なのに……」
「そうなんだよねー。デルタ君の話を聞いてたけど、大陸の北の端っこから南の端っこまで飛ばされるなんて、何をどうしたってありえないよ」
 わなわなと震えながら、どうにか現状を分析しようとするデルタだったが、アルファが口をとがらせて唸りながら先んじて結論を口にする。考えるよりも前に出ていた結論を目の前の少女に突きつけられたデルタは、理解を超えた現象を前にして、どさりと椅子(アルファが用意してくれた予備の折り畳み椅子である)に腰を落としてしまった。
「こんなところで倒れてるなんて、よっぽど訳ありなんだろうなって思ったけど……デルタ君は何かもっと、普通とは違うことに巻き込まれちゃったみたいだね」
 摩訶不思議な現象に首をかしげるアルファだったが、その声は呆然自失と言った表情のデルタには届かないらしかった。微妙に焦点の合っていない目のまま、北であろう方面を見つめた状態で固まっていた。
「……らなきゃ」
「んー?」
 アルファが目の前で手を振っても反応のなかったデルタだったが、まずは落ち着いてもらおうと考えてお茶を入れ始めたアルファの耳に、彼のぼやきらしき言葉が届いた。
「そうだ、村に帰らないと! 村に行って、みんなを殺したアイツを追わないと――」
「うーん、今から行ってもその仇……爪の男は、もう遠くに逃げちゃってると思うな。ここからオルフェスト地方に行くにしても、一か月以上はかかっちゃうし」
「う……」
 座っていた椅子を蹴倒さんばかりの勢いで立ち上がったデルタだったが、冷静に分析したアルファの言葉で、再び勢いを失ってがっくりと肩を落としてしまった。
「……ヒドい言い方になっちゃうけど、ね? たぶん、滅ぼされちゃった村に行っても、何かがあるわけでもないと思うんだ。生き残った村の人たちも避難してるだろうから、何か特別な道具があるとかでもない限り、村に行くのは危険だから、やめておいた方が良いと思うな」
 気遣うような口ぶりのアルファに諭されて、一瞬だが目の前の少女が少しばかり憎らしい存在に思えてしまう。
 君に僕の何がわかるんだ、という言葉が喉元まで出かかって、デルタはすんでのところでその言葉を飲み込んだ。
 アルファはあくまでも、客観的に物を言ってくれているだけ。冷やした頭でそれを理解して、うなだれたままのデルタは小さく頷く。悪いことを言ってしまった、と言いたげな彼女の困り顔が、デルタの胸にちくりと刺さった。
「…………これからどうしよう」
 やり場のない感情を言葉に乗せて、気落ちしたままの表情でデルタはぽつりとつぶやく。手も足も出ないまま無様に転がされ、守るはずだった村人たちを目の前に虐殺され、あげく自分は仇敵である爪の男に殺されかけ、無様に逃げおおせてしまう始末。奇跡が起きたがゆえの偶然の産物であり、結果的に助かったのは事実だったが、今のデルタはそんな運命を仕組んだ神様を、恨んでやりたい気持ちでいっぱいだった。
「……ねぇデルタ君、ちょっといいかな?」
 やりきれない気持ちをため息にしていたデルタだったが、不意にアルファが様子を伺うようにして口を挟んできた。
「デルタ君さえ良ければなんだけど、さ……よければ、私と一緒に旅をしない?」
 続けて少女の口から出てきたのは、意外な誘いの言葉。一瞬、その言葉の意味を図りかねるデルタだったが、文字通りの意味を理解して、こてんと首をかしげた。
「え……どうして?」
「ん、別に理由なんてないよ? ただ、デルタ君がこれからどうしようって悩んでたみたいだからさ」
 理由を問うと、帰ってきたのは至極のんびりとした回答。デルタの胸中を知ってか知らずか、アルファの浮かべる笑みもまた、非常にゆるいものだった。
「――それに、デルタ君は村を襲った奴の行方を追いたいんでしょ? 何の手がかりもない今、長旅になるのはもちろんだし、そんな長い旅を一人でするのって、結構厳しいと思うんだ。だから、お互い一人旅のリスクを軽減するためにも、一時的でいいから一緒に旅をしないか? っていう理由なんだけど……どうかな?」
 しかしその次に続いたのは、旅人として過ごしている故か、不思議としっかり現実を見据えた言葉。遠慮がちな誘いではあったが、彼女の言い分は至極まっとうなものである。
 そしてそれ以上に、彼女の言葉はデルタを奮起させるものとなった。


「――追う。そうか、追えばいいんだ」
 どうやら、あまりにも思い詰めていたせいか、すでに爪男の行方を知るための手がかりは存在しないと、そう決めつけてしまっていたらしい。冷静に考えればすぐに思い至りそうなもので、その選択肢を見出すことのできなかった自分を知って、図らずもデルタは、己の未熟さを痛感することになってしまった。
「……アルファ、だっけ? ――僕、これからの目的、決まったよ」
 そうとわかれば、すっかりしぼみ切っていた胸中の灯火が、再び燃え上がる。しかと感じられる熱を瞳に宿したまま、デルタは続きを口にした。


「僕は、あいつの行方を追いたい。だけど僕は村から出たことが無かったし、この広いアリルフェイトの中を、一人で旅するのは無茶だ。……だから、少しの間だけで良い。アルファさえよければ、僕の旅に付き合って欲しい」
 それは、明確な決意の言葉。一度は恐怖と絶望に塗りこめられようとした少年が、再び立ち上がらんとする、再起の宣言で。
「うん、もちろんいいよ。――私も元々、武者修行以外に目的のない旅だったからね。デルタ君の目的が達成されるまで、一緒に付き合ってあげる!」
 それに答えるアルファは、にこりと朗らかに微笑んで見せる。快諾の言葉を受けたデルタが静かに手を差し出せば、彼女のたおやかで小さな手が、デルタの手をしっかりと握り返した。


「しばらくよろしくね、アルファ」
「こちらこそよろしく、デルタ君!」
 これが、世界を巻き込む大きな戦いに繋がるなどとは、知らないままに。


(――レイ姉、ナギ兄、みんな、見ててね。僕は絶対に、あいつを倒すから……!)
 強く固めた決意を、黒い瞳に秘めるデルタは、一人、遥か北の空を見つめていた。


*********


 というわけでこんにちはー、実に一月半ぶりの更新となりましたコネクトです。
 最近は他の小説の執筆を進めていたおかげで、こちらの方は遅々として進んでおりませんでした。お話自体は完成していたのですが、悩みに悩んだ結果大幅な改稿を加えて公開と相成りました。


 さて、今回からBBBの物語は、ようやく新章に突入します。ずっと前から出演させたいと思っていたメンバーの一人も、今回でようやく登場となりました。
 新キャラである棒術使いの女の子アルファは、かつてコネクトが棒バトを描いていたころに生み出されたキャラであり、デルタに次いで付き合いの長いキャラクターたちの一人でもあります。それゆえ非常に愛着も強く、いつかしっかり小説にも出演させてあげたいな、と思っておりました。ようやくその願いが叶ったので、作者としては感無量、といったところでしょうか。
 ……ちなみに、全く関係のない裏話になりますが、アルファはもともと男キャラという設定でした。ところが、人化させたときのイラストが(当時基準から見て)あまりにも可愛らしい系の顔立ちだったことがコネクトの中のどこかにクリティカルヒット。紆余曲折を経て、現在の女キャラになった……という経緯があります。詳しくは個別のキャラ設定記事で語っているので、興味のある方は探してみてください。


 次回は箸休め的な回を一つ挟んで、新たなレギュラーメンバー二人との出会いを描く予定です。
 彼らもまた、デルタやアルファ共々長い付き合いのキャラクター。ようやく本筋に関わらせることができるので、今から執筆が楽しみなのは内緒ですw


 というわけで今回はここまで。
 また会いませうー ノシ