コネクトの雑記スペース

創作小説、オリキャラ設定などの雑な記事を取り扱うところです。

【不定期更新SS】ソードアート・オンライン 電光の仮想騎士

いきなり本編スタートですw


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「……んっ」
目を開ける。そこには先ほどまで見えていた暗闇でもない、ナーヴギアを被っている高谷の部屋でもない、
中世のような建物が連立する町があった。
ついで、辺りを見回す。たくさんの人々がそこかしこを行きかい、まさしく活気ある町の姿を
見せていた。つい、紫は呆然とする。
と、不意に後ろからつつかれた。いきなりだったので軽く飛び上がりつつ、振り返る。
「よっ」
と親しげに声をかけてきたのは、やはりというか高谷だった。
「え?…あ、高谷!…だよな?」
「ああ、この体が俺のアバターさ!ユカもなかなか似合ってるぜ、そのカッコ」
普段とは違う声にそう言われ、自分の状態を確かめる。
申し訳程度のブレストアーマーの下で輝く紫の布地。背には小さいながらもずしりと来る剣が
据え付けられている。
「おおー…かっこいい」
ひとしきり見終わると、次に高谷の格好を見てみた。
こちらはライトブルーの布地だ。紫と同じように、背中には剣を背負っている。
だが、やはりというかなんというか、顔だけはどうも違った。
普段もかっこいいと言われている顔だが、この高谷はもはやただの二次元のイケメンだろう。
「……えーと、コウヤだよな?」
「当たまえだろうが。…………あー、アバター顔はかっこよくなるようにしたぜ。
…つか、お前も大概だろその顔」
「えっ?」と返し、近くに鏡がないか探す。
なかったが、窓ガラスがあった。駆け寄り、確認してみる。
確かに、自分とは思えない顔だった。もともとは女臭い顔だったが、流石にコレは
やりすぎだろうと思えるくらい格好良い顔になってしまっていた。やりすぎたな、と後悔する。
「まあ、似合ってるからいいんじゃねーの?」
「まあ…………あ、そうだ。フレ録しないと」
右手を振り、メニューを呼び出す。フレンドの欄をクリックし、登録リストで
新規に登録を申請する。と、そこで紫の動きが止まった。
「……そういや、高谷は名前なんて打った?」
「ああ、俺か。俺はそのまま『コウヤ』にしたよ。K,O,U,Y,Aだ。IDは……」
言われたとおりのスペルとIDを打ち込み、申請ボタンをクリックする。そのすぐ後、コウヤの目の前に
ホロディスプレイが表示された。
「………し、で…ん。お前のは『シデン』って名前か。なかなか中二だなあ」
「うるせえ。普段のニックネームもそれなんだから、いいだろ別に」
ちょっと照れただけに思えるが、なぜか異様に頬が熱い。
「…まあ、いいか。それより、町回ってみようぜ!」
「お、おお!」
照れくさい気分を吹っ飛ばすべく、二人は中央広場から走り去った。





そして数十分後、武器屋の前。
「………………うー、決まらねえ〜…」
コウヤは何をメイン武装にするか迷っていた。なにせ剣だけで数十の種類があるのだ。決まらないのも無理はない。
「ゆか……っと、シデンはなにか決まったかー?」
「んー、まだ。この二つで迷ってる」
シデンの指すディスプレイを、コウヤが覗き込む。表示されていたのは「片手剣」と「両手剣」の二つだった。
おお、とコウヤが声をあげる。
「これ、両手剣かっこいいな!俺コレにしよっと」
言うが先か、いそいそと自分のディスプレイを操作しに入る。シデンが内心でため息をついた。
(相談するつもりだったんだがなあ……。まあ、コウヤが両手剣にするんだから、被っちゃ悪いよな)
そう考えて、シデンは片手剣「ビギナーソード」を選択、購入ボタンをクリックした。
初期所持金150コルのうち140コルが消費され、アイテムストレージに購入した剣が追加される。
すぐにディスプレイを閉じ、メニューを展開。ストレージを呼び出し、ビギナーソードを装備欄に移す。
背負っていた初期の剣が消え、ついで電子音と共に帯剣された。
「よし、と……コウヤ、そっちは決まったか?」
シデンが振り向くと、そこには背中に身長ほどはあろうかという大きな剣を背負ったコウヤがいた。
「へへ、俺は準備OKだぜ。似合ってるじゃねえか、シデン」
「さんきゅ。……さて?」
「やっぱ?」
二人が見合った後、ほぼ完璧とも言えるタイミングで言葉が出た。


「一狩りいくかぁ!!」







「ぶわっ?!」
どがしゃん、と派手な効果音を撒き散らしつつ、コウヤがシデンの足元まで転げてきた。
「あーだだだ…………あんだよあいつ、ちょこまかとぉ!」
ガミガミとモンスター「フレンジーボア」に向けて文句を言うコウヤを見て、シデンは思わず笑う。
「そう怒るなよ。吹っ飛ばされただけで痛みとかはないんだしさあ」
「そーいう問題じゃねえよ。スライム級のクセに生意気にダメージ入れてきやがってって、そういう話だ」
「はいはい。……じゃ、あいつは俺が貰っていいか?」
「どーぞ。…あームカつく」
胡坐をかいて座り込んだコウヤに代わり、シデンが一歩前に出る。
シデンの気配を察知したらしいフレンジーボアが、鼻息荒く突っ込んでくる。
「うし…………試してみっか!」
そう呟くと、シデンは剣を持ち上げ、がしゃりと構える。と、構えた剣の柄辺りから
色鮮やかなライトエフェクトが滲み出した。
「…うおらあああああああっ!!」
一歩踏み込んだ安定姿勢から、斜めに軌跡が走った。
直撃を受けたフレンジーボアが真っ二つに裂け、そのまま空中で停止、ついで光の塊となって
爆散した。ホロディスプレイが浮かび上がり、獲得経験値と獲得コル数が表示される。
「………や、った…!」
初のモンスター討伐、初のソードスキル。すべてに、鼓動が高鳴る。
起き上がって顛末を見ていたコウヤが、目を見開きながらシデンに問いかけた。
「おい……なんだよ今の!どうやったんだよソードスキル!」
シデンが放ったのは片手剣ソードスキル「スラント」。対象を斜めに切る技だ。
コウヤのほうは出し方をまだ知らなかったらしいので、シデンが手振りで説明する。
「えーとな……ソードスキルを発動させるには、規定の型ポーズをとるんだと。
今の俺が使った『スラント』は片手直剣のだから、コウヤには使えないな」
使えないという一言を聞き、コウヤは落胆する。その動作にあわせてメニューを出し、
ソードスキルの確認に入った。
「……えー、横切りに『バイド』、縦切りに『スラスト』か。モーションは……
おお、わりかし簡単そうだ。どれ、っと」
確認を手早く終わらせ、コウヤが勢いよく立ち上がる。背に吊った大剣を抜き、
左から右へ切り裂く姿勢をとる。その瞬間、コウヤの大剣に青みのあるエフェクトがかかった。
「おお……きてる、きてる感覚があるっ!!」
しかもその瞬間、少し離れた二人の間に「フレンジーボア」の二匹目がポップ。
これ見よがしにとシデンがボアの尻を蹴っ飛ばし、コウヤのほうへと向かわせる。
「どおりゃああああーーーっ!!」
コウヤは抜群のタイミングでスキルを発動。蒼い光を無数に撒き散らしながら、
コウヤの持つ剣がスキル「バイド」を始動させる。
神速のごとき速度で横なぎに振られた剣先が、フレンジーボアを真っ向から両断した。



「…くっはぁーっ、マジやっべえ!楽しい!!」
数分後。シデンの目の前では、コウヤがバイドとスラストのスキルを交互に出しては歓声を上げていた。
「よく飽きないな、ソードスキルばっかり練習して」
「あぁ、これで強敵にとどめさしたりとかしたら楽しいんだろうなぁ〜…」
ひとりうっとりとするコウヤはほうっておき、現在時刻を確認する。
「……ありゃ、もう5時かぁ。コウヤの家、メシいつから?」
「んー、俺の家は大体8時からだぜ。……なんでだ?」
「あぁ、いや。俺の家もそのくらいだから、時間いっぱいまでいれるなーって思ってさ」
あはは、と自虐的に笑いつつ、シデンはなんともなしにアイテムストレージに目をやる。
すると、不意に見慣れない文字が目に映った。
「…ん?」
アイテムリストに列記されたそれは「ボアローブ」という名前だった。
表示されているアイコンを見ると、どうやら鎧の上に羽織るマントの類らしい。
アイテムをドラッグし、横に表示されている人型のアイコンの場所まで持っていき、はなす。
と、ヴン、というデータ的な音に次いで光の粒子が周囲をとりまく。
しかし光っていたのは一瞬で、次の瞬間にはローブ状に凝固、色彩を変えて
シデンの全身を暖かな毛皮で包み込んだ。
「おわ、シデンなんだよそれ?」
横で休憩を挟んでいたコウヤが問いかけてくる。
「さぁ……なんかしらないけど、いつの間にかストレージに入ってたんだ」
というシデンの一言を聞き、コウヤも急いでストレージを開く。
数秒間スクロールさせた後、がっくりと肩を落とした。なかったらしい。
「…くっそー、シデン、レアドロップとかうらやましすぎるぞぉ」
「そ、そうひがむなよ!別にたいした能力はなかったぜ?」
愚痴を垂れ流すコウヤに対し、必死に弁解を試みるシデンであった。




「せらぁっ!!」
現在時刻5時半。二人は森の少し奥に来ていた。
目の前にいる「リトルネペント」が予想以上に強敵であり、二人がかりで苦戦を強いられていたのだ。
「んのやろぉ!」
咆哮一発、コウヤの大剣が青い炎を吹かせつつネペントへと迫る。
がすっ!!という斬撃音と共に、放たれた「バイド」がリトルネペントの残っていたHPを
纏めて削り取った。「っしゃあ!」と雄叫びをあげるコウヤのHPは、もうそろそろレッドゾーンになるか
というところだった。
「…おつかれさん。ナイスソードスキルだったぜ」
労いの言葉をかけるシデンのHPはコウヤほど激しく減ってはいなかったが、それでもイエローゾーン
半ばまできていた。正直、これ以上の継戦はデスペナルティにつながっていただろう。
帰ろうぜ、とコウヤに話しかける直前。




―――不意に、頭上から大きな鐘の音が鳴り響く。
それとほぼ同時に、二人の体を転移の光が包み込んだ。



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やっぱりいつも通りの無理やり終了w
こいつも新しくカテゴリー作ってあげようかなぁ…


今回は戦闘に力を入れてみましたが、どうでしたでしょうか?
大剣のソードスキルは本編劇中ではあまり出なかったため、それっぽい名前を考えるのが大変でしたw
それでもまあ、ほとんどは原作リスペクトなんですがね^q^


次回のお話は色々たくさん飛んで、最前線が38層に到達している時点からスタートします(飛びすぎだ
ですが、何か要望がありましたら別の話も書いてみようかなぁと思ってます。
38層時点のところからはかなり作りこまなければいけないので、それまでの息抜きにでも
作ってみようかなとか思ってたりw
というわけで「ここらへんの話書いて!」というご要望ありましたら、是非お寄せください!
気力が持つかどうかはわかりませんが、頑張りたいと思いますw
ではではまた次の更新で ノシ