コネクトの雑記スペース

創作小説、オリキャラ設定などの雑な記事を取り扱うところです。

まったまたーw

うー、どっせぃ!
特に書くことないですw


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1章 第3幕
  第12話 セイバー来訪 by8/14 午後5時



「んあーぁっ、本部ひっさびさーっ!」
幸田山脈中腹の盆地に位置する「world saver」本部施設の正面入り口前。
大きく背伸びをして、セツは円形の発光物体から進み出た。遅れて、ユウたちも続く。
「ギンさんたち、確かここにいるんでしたよね?」
いまだ見慣れない光景にきょろきょろしつつ、ユウが問いかける。
「おぉ、そうさ。……たしか、ルシアにウィンは初見だったっけ?」
「まあな。……たしか、風使いだっけ?」
「私と同じ異能ですねー。仲良くなれるといいなあ」
とのんびりと語る二人に対し、セツが手を振って「無理無理」というジェスチャーをする。
「あいつは中々にかたくななヤツさ。そこまで過干渉しないこったな」
言い終わると同時に歩み始めた瞬間、ユウに声をかけられセツは静止した。
「あの、そういえば今日はなんで私達も呼ばれたんですか?」
「あぁ、そういえばそうだ。…なんでだ、セツ?」
あーそれねと呟くと、横を歩くソウから説明が加えられる。
「二人とも、セイバーは異能者を管轄する組織ってのは知ってるよな?
二人も異能を発現させて、さらに自由に扱えるようになってる。だから、今日は
セイバーに自由使用の許諾をもらいに行くんだ」
簡潔丁寧なソウの説明が終わると、前を歩くセツも口を開く。
「セイバー規約第2章第5項目『セイバーに所属する人間が異能を自由に調整、
使役できる状態まで成長した場合、セイバー重役へ許諾を新生すれば新たに
本人用の自由使用権、すなわちライセンスを発行可能となる』。
…規約2章6項目、『セイバー加入以前の時点で異能を調整または使役可能な状態
であった場合、その本人には特例として直接ライセンスを発行する権利があるものとする』。
……つまり、星川とリクはセイバーに加入してない時点で異能を自由に行使可能になってるから、
今からお偉いさんのところに行って、セイバー登録とライセンス発行をしにいくんだ」
長ったらしい条約をすらすらと発音し、セツが詳細な理由を説明したところで、
セイバーキャンプへと到着した。
「…ん、以前にまして人が多くないか?」
そこでソウが呟く。確かに見回すと、前回訪れたときにはそこまでの混雑具合でもなかった
この場所は、ずいぶんとにぎわっている。
異能者が増えたのか、とユウは推測したが、
「そりゃ今午後5時だし、帰宅ラッシュだろうよ」というセツの一言であっさり解決してしまい、
一人心中でずっこけるのだった。



「そいじゃ、ルシアとウィンは星川たちの案内頼むわ」
「わかった。……お前らは?」
「ちっとばかし役人に用があってな。悪いが、帰りしなに合流と行こうぜ」
「わかりました。お気をつけて」
セイバーキャンプ東ブロック前。ユウたちと別れたセツとソウは、二人並んで
ある建物を目指す。
「…しっかし、よくお前の無茶な要求が通ったもんだ」
歩く途中、ソウがぼそっとそんなことを呟いた。
セツが心外だといわんばかりの表情でソウのほうを向く。
「アホ抜かせ。俺の発想は研究員の発想の斜め上を通り過ぎて背中から突き抜けるんじゃ」
「ワケわからんわ」と一蹴して、ソウは建物壁面に取り付けられたコンソールを操作する。
圧縮空気の抜ける音と共に、コンソール横にあった扉が機械的な音を立てて開いた。
つかつかと中に入るセツを、ソウが若干冷えた目で追いかける。


少し長い廊下の先には、小さめな研究施設があった。鉄の焼ける臭いや
薬品の臭いがそこかしこから鼻に届き、かなり気分の悪いところだ。
セツは研究員の顔を見回し、目当ての人物を見つけるとその元へと歩いていく。
研究員もすぐに気づいたのか、セツに向かい手を振ってきた。
「…お久しぶりです、ヤクト所長。例のものが完成したと聞いたので」
セツがたずねると、ヤクトと呼ばれた男はにこやかな顔で頷く。
「久しぶりだね、コネクト君。……そう、2カ月がかりで実用化にこぎつけた、
私達研究員諸氏の最高傑作といってもいい物品だ」
自信満々に話すヤクトに、ソウが問いかける。
「お疲れ様です。……このバカの考えるものは時間を食うでしょう?」
「ああ、確かにくうな。だがそのくわれた時間は、かつてない成果をだしてくれるのさ」
高らかに笑う研究員と一緒に笑うセツを見て、ソウは内心頭を抱えた。



「さあ、これが依頼の品だ。きっと役に立つと思う」
「ありがとうございます!」
数分後、セツとソウはそれぞれ開発された品を受け取っていた。
セツが受け取ったものは、一見すると葉っぱ形の物体に湾曲したグリップのついた
奇怪なもの。
対しソウへの委託品は、銃のレール部分に展開式の大型ナイフを搭載した複合拳銃だった。
物珍しげに受け取った品を眺めつつ、ソウがもう一度呟く。
「……よく作れましたね、こんな付属品」
「まあ、それなりに開発は難航したよ。でもやっぱり、そこは研究者の意地ってやつさ」
無言で頷くと、ソウは銃のグリップ上部に付いていたスイッチを入れる。
すると、拳銃の上部分がスライド。薬莢を排出したあと、レール部分に付いた部品が
展開、その先がさらに展開する。
変形が完了したものは、銃としての機能を廃止したような格闘用ナイフだった。
格闘用なのだろう、トリガーはロックされている。
「ほぉー、かっこいい…」
さすがのソウも、これには素直に感心した横で、セツが勝利の笑みを浮かべていた。




発注品を受け取った後、セツとソウは連れたって別の場所に来ていた。
建物の名前は「市長邸」。
《…識別完了。コネクト様、コルト・ソーコム様を確認。総帥権限により、通行を許可します》
アナウンスが終わると同時に、二人の眼前にあるドアが開く。
一礼し、セツ、ソウの順番で中へと進みいった。
「…やあ、久しぶりだな二人とも。6月以来か」
そこには、依然と同じようにその人物――セイバー総帥の「アストレア」が座っていた。
目の前で手を組み、にこやかな笑顔を向けてくる。
「はい、お久しぶりです総帥。…今日は、前日報告のとおりに告知へあがりました」
「うむ。……では、現在の状況を説明してくれ」
「はっ。…ソウ、頼んだ」
セツの頼みにソウが無言で頷き、説明が開始された。
「……現在、セツことコネクトおよびソウこと私、コルト・ソーコム。加えて、
ルシファー、ウィン以上4名が、桜流学園第一学年に在籍、
異能開花前の人間をマーク及び監視しています。
監視中に確認されたのは『星川優』『陸道真二』『雪原愛』『光明錬斗』以下7名です」
「ふむ……。やはり、あの学園には何かありそうな気もするな」
「同感です。では、続けます…………7名のうち4名はセイバーへ入所。うち二名は
セツ、ソウの監視下において生活中、うち一名は開花以降の発動が確認されないため、暫定処置として
警告なしの状態です。…えぇと。次に、活動結果を報告します。セツ」
「ういよ。…えー。前回定期報告のとおり、セツ、ソウ以下6名が、インフェルノ部下と名乗る
敵対勢力の人間と交戦。これを勝利としました。…当人達は、ここの施設に送ってあります」
「うむ。報告で聞いているぞ。…たしか、ウィードにゼキアだったな」
「はい。……そして当人達の口から、王者インフェルノが復活したと見られていますが、
詳細は不明です。こちらは現在調査中にあります。…報告は以上です」
少々の論議を交えつつ報告が終了すると、アストレアが一度唸った。
「うぅむ……出来事がどうにも多すぎるな」
「はい。…異能開花の多さはまだいいとして、インフェルノがここに手下を送る……
まして潜入させるなど、考えられません」
その言葉を皮切りにしばらく沈黙が続いたが、やがてアストレアが
「さて、堅苦しい論議はここで終わりにしよう。夕食がまだだろう?食事に行かないか、二人とも」
と、総帥にあるまじき態度で二人に接してきた。しかし二人は予想していたらしく、
「いいですね。俺、さっきよさげな店見つけましたよ」
「お金は誰が負担します?一応持ち金はありますが……」
などと接し方を変え、和気藹々と総帥室から出て行くのであった。




「よし。これが君のライセンスだ。3ヶ月に一回は、ここへ更新に来るように」
「わかりました。ありがとうございます」
ところ変わってこちらはユウたち。今最後のユウが登録を完了し、連れたって
重役執務室を出てきたところだった。
「はー、いつもどおり重役は形式の人形だったな」
「だね。総帥みたいにもっとフレンドリーになって欲しいよ」
愚痴を垂れる黒塚と日野の後ろを、今しがたライセンスを発行してもらった
二人が続く。
「これがライセンスかー……。思ったより普通な形だな」
「そうだね。…これだけハイテクな場所なんだから、もうちょっと機械的かと思ったな」
二人に手渡されたライセンスとは、そのまんまカードの形状をしていた。
顔写真、本名、異能分類などが事細かに書かれており、本人確認もかねているようだ。
蛍光灯に反射させ、ポケットにしまおうとしたそのとき、ユウの携帯が着信音を鳴らす。
「ん?」
画面を見ると、着信はセツからのものだった。電話に出ると、セツの声が聞こえだす。
《もしもーし、星川か?》
「はい、私です。……どうしました?」
《あぁ、俺ら晩飯食ってから帰るんだけどな。良かったら星川たちも来ないか?》
つまるところ、夕食に招きたいといったところだろう。
「ええ、私はいいですけど…」
《ならよかった。そこに全員いるんだろ?》
「はい。リクに黒塚さん、恵ちゃんもいますよ」
《OK。じゃあそこを出たところで待っててくれ。その近くに店があるからそこに行く》
「わかりました。では…」
《ういー》
簡単な会話を終え、用件をそこにいる全員に伝える。





「おーい貴様らー」
役人執務棟をでると、すぐにセツの声が聞こえてきた。そろってそちらを向き、揃って凍りついた。
「ん、どうした?」
「……おい、コネクト。なんで総帥がいるんだよ?」
かすかにぎこちない動きをしつつ、セツとソウの後ろに立つアストレアを指さす。
その動作に反応したらしく、アストレア本人が「私はお邪魔だったかね?」と半分真剣な声で返してきた。
「いぇ、めっそうもない!」と黒塚が思い切り硬直する。
「俺らも総帥から誘われたんだよ。ね、総帥?」
ソウがしてやったり顔のままアストレアに聞く。本人もしっかりと頷いた。
「私も執務室に篭ってばかりでは息が詰まってしまう性分だからな。
それに、新しく隊員となった者たちとも親睦を深めたいのさ」
柔和な眼差しで、ユウとリクのほうを見やる。
二人はそういうものなのだろうと解釈し、黒塚ほどおびえる事はなく一礼した。
「あらためて、この度入隊させていただきました陸道真二です。以後、お見知りおきを」
「右に同じく、星川優です。総帥、よろしくお願いいたします」
「うむ、従順でよろしい」
「……総帥、従順の使用所間違ってますよ」
まだぎこちなくはあるが親しげな会話を織り交ぜつつ、一向は歩き始める。


「おまちどうさま。これで全員分だね?」
「はい。ありがとうございます」
その後。一行が来ていたのはなんとも普通なラーメン屋だった。
昭和風な造りの内装と筆書きの品看板がいかにもな感じを出している。
「さて、私は二人に用事があるのだが…食べながらでいいかね?」
「あ、はい。私達はかまいません」
ユウが肯定の意を示すと、アストレアはぱきっと割り箸を割りながら話し始めた。
「君達もここに入隊した以上、仕事用の『コードネーム』が必要なのだよ。ここにいる4人が
全員そうしているように、ね」
そこまで聞かされたとき、リクがふと思い当たる。
「…そういやセツ。お前いっつもセツって名乗ってるけど、アレって本当の本名なのか?」
いきなり話を振られたせいか食事が熱かったせいか、げふぉ!とセツが盛大にむせた。
黒塚が背中をどすと叩き、回復しながら話し始める。
「んげっふ……いや、俺とコルソーはあくまでも偽名さ。3年前の戦いで向こうに身元を
割られちまったらしくってな、軽々しく本名が使えないわけよ」
「一応別の偽名を使おうとは思ってるんだけどな…。中々思い浮かばなくて、現行そのままなんだ」
説明が終わり、なるほどと一言返す。
「続きをいいかね?…コードネームは本来上の決定で決められるのだが、私が公認した場合のみ
自由に自身のコードネームを決定できるのだよ」ズルズル。
「って言うことは、ボクらにはその自由決定権を?」
「そうだ。最近は役人達のボキャブラリが尽きて来ているからなぁ……。
できれば、君達に決定してもらえるとありがたいのだが、どうかね?」
ユウとリクはそろって顔を見合わせ、小さく頷いた。
「お引き受けします。ちょうど、ボクらにも案がありましたから」
「そうか、それはありがたい。…で、早速聞かせて欲しいのだが、かまわないかね?」
「了解です。…じゃあ、俺から」
すぅ、と一呼吸おき、自身の中で決定した名を名乗る。
「…『グラン・エース』。それが俺の名前です」
顎をさすり関心の意を示すアストレアに対し、セツが「グランエース?」と小さく呟いた。
「……それもしかして、VHO(ブレイブハートオンライン)で使ってるニックネームか?」
「ああ。思いつくのなんてこの位しかないよ」
あ、そう。といった表情でセツはまたラーメンをすすり始める。入れ替わりに、アストレアが口を開いた。
「では陸道くん、以降のここでの呼び方は『グラン・エース』となる。いいかね?」
「はい。よろしくお願いします、総帥」
両者こくりと頷きあい、アストレアが次にユウのほうを向く。
「では、星川くん。君のほうは決まっているのかね?」
「はい、ボクもすでに決定済みです」
こちらも一呼吸おき、一息にその名を名乗った。
「…『イカロス・スターライト』。それでよろしいでしょうか?」
ほほう、とアストレアが再び感心する。
「…さすが、現役の学生達は想像力豊かだねぇ。…うちの役人達にも、それだけ考えられる頭がほしいよ。
……ともかく、それでは今から君の名は『イカロス・スターライト』だ。両者、異論はないな?」
最後の確認に、二人は力強く頷いた。




「どうも、ごちそうさまでした」
その後、夕食を食べ終えた一行はそれぞれ帰宅の路につく。
結局お金はアストレア本人がすべて払い、「子供達にたかる大人にはなりたくないからな」
という建前でわらっていた。
「いやいや、例には及ばないさ。…またよければ、遊びに来て欲しい」
「感謝いたします」
最後に軽く敬礼をすると、アストレアは顎鬚をさすりながら去っていった。
「…しかし、総帥ってふだんからあんな人なのか?セツ」
アストレアの影が見えなくなった後、リクがセツに問いかけた。
「ん、まーな。そんじょそこらの上司よりよっぽどとっつき易いっつって重役が愚痴ってた。
……まま、いーじゃねえか。さー、帰ろーぜー」
からからと笑うセツに続き、5人も帰路に着くべくセツの後を追う。
が、数歩歩いたところでセツが突然足を止めた。ソウがぶつかりそうになり、あわてて急停止する。
「っととぉ……どした?コネク」
ソウが問いかけると一瞬の間をおき、セツの緊迫した返事が返ってきた。
「…………悪い、そこにテレポーターあるから、お前ら先帰っといてくれ」
「あ、ああ。わかった……」
そのあまりの気迫に若干気おされつつも、ユウたちは帰路を急いだ。




「……そこ、仕掛けるなら仕掛けて来い」
セツと呼び声と、その方向から無数の弾丸が放たれたのは、ほぼ同時だった。



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ぬーっはっはぁ、戦闘以外ならお任せあれぇ!w
今回はセイバー回でした。こういう手続きがあるんだよっていうのと、総帥アストレアが
いかに尊大な人物かっていうのを強調してみますた(´ヮ`)
そして物語末、一人残ったセツに襲い掛かる謎の人物……一体何者?!
とか色々壮大にしてみた時点で、どうあがいてもいつもどおりなんですがねw


次回は最後の主要人物となる新キャラクターが登場となります!乞うご期待〜。
では今回はこの辺で ノシ