コネクトの雑記スペース

創作小説、オリキャラ設定などの雑な記事を取り扱うところです。

ここから先のネタが思いついてない件w

ちぇすとーっ、コネクトーッ、さんじょーっ(黙


さてさて、今回は夏休み編ラスト!
長らく欠員だったあの二人がついに登場します!!
しかも、前回登場したレンに加え、退場したはずの彼女らも……
現行出演キャラクターの総まとめ的な回となります。
ではでは、ひあうぃーごー!


*********


1章 第3幕
 第14話 夜空に咲く花 by8/21


「…夏祭り、かぁー」
ごろんとベッドの上に寝転び、私は手に持つチラシをもう一度一瞥する。
そこには大きなフォントで書かれた「アヤセ盛夏の夏祭り」の文字があった。



このチラシが私ことユウの手に回ってきたのはほんの数分前のことだった。
近くを偶然通りかかったという日野と数分話した後、件のチラシを渡されて今に至るのだ。
実際自分としては皆と合えるということで、行きたい気持ちは十分にある。
が、今の私にはちょっとした問題があったのだ。


「……はぁ、これ以上は家のお金に響くよなぁ…」
少しばかりの衝動買いが響いてしまい、現在の所持金がまずいことになってしまっているのだった。
内心で頭を抱えつつ、行くかどうかを今一度考える。
行くだけならば、金銭的な問題は全くといって問題ない。
が、そういうものに行くとなると必ずといっていいほど夕食はそこでとっているのだ。
だからこそ、このチラシを渡されて今の今まで逡巡している。
やがて数十分は迷っただろうか。ひとつ決心して私は勢いよく立ち上がった。
「…うん、まあ、何も買わなければいいよねっ」
呟くと、少し遅めの昼食をとるべく階下へと降りていった。




その人物からの電話が来たのは、私が着ていく服を選んでいる最中のことだった。
ひょいと携帯を手に取り、誰からの着信かを確認する。
「…リクか」
一言呟き、通話を開始する。
「もしもーし」
《よおユウ。ちょっと話があるんだけど……》
「うん、いいよ。何?」
簡潔に聞き返すと、一呼吸おいてリクの声が返ってきた。
《今日の夏祭りの話なんだけどさぁ。…ユウは来るのか?》
「ん、まあね。ちょっと行くのが遅れちゃうけど」
《遅れる?……って、どういうことだ?》
あはは、と苦笑しつつ、遅れる理由を口にする。
《……ははぁ、なるほどね。まぁ、いいか。じゃあ、午後5時にアヤセ緑地公園の入り口で》
「うん。じゃあねー」
ぷつと電話を切ると、もう一度服を選び始める。
リクが来るからには、おそらく他の面子たちも一同に会することになるだろう。
なるべく見栄えがいいのがいいかなぁ、などとぼんやりと考えつつ、クローゼットをもう一度一瞥した。


―*―*―*―*―*―*―


午後5時、アヤセ緑地公園前。
夏祭りが行われるこの公園は、普段は静かな憩いの場として機能している。
ときおり聞こえる子供達の無邪気な喧騒は、自分も聞きなれていた。
そして今日、8月21日には夏祭りの場として、たくさんの人々が訪れることになる。
なぜこの日にちなのかというと、今日が緑地公園として開設された日なのだそうだ。
そんなことを考えつつ、私はちょっと急ぎ足で待ち合わせの場所に向かう。


指定の場所に着くと、リクが携帯をいじっているところだった。
「リクーっ」と少々声を張り上げ、ぱたぱたと早足で駆け寄る。向こうも気づいたらしく、手を振り帰してくる。
「おまたせ、リク。ちょっと準備に手間取っちゃった」
「いや、俺も今ついたところだ。……手間取ったって、もしかしてそれか?」
リクがさすのは、間違いなく私の服装だろう。それもそのはず、昨日新調したばかりの服なのだ。
黄色に黒い曲線がはいった薄手のシャツと、黒地に黄色いラインが入ったスカート。
夏真っ盛りということで涼しげな服装にしてみたのだが、やはり目立ちすぎただろうかと私は思う。
が、そんな私の心中を察することないリクが、私に向かって一言。
「似合ってるな。…っつか、ユウがそういう格好でここらへんくるのっていつぶりだ?」
いわれ、ふと思った。たしかに、女の子らしい格好で出歩くことは最近なかった。
「んー、半年振りくらいかなぁ」とでまかせを言っておき、ついで疑問を口にする。
「そいうえばさ、誰か待ってるみたいだけど、やっぱり皆来るの?」
「ああ、まあな。…というより、セツが皆を誘ったそうだ」
この返事には深く納得した。皆で行動するのが何よりもすきそうなセツだ。多分喜色満面で
全員を誘ったことだろう。
そんな光景が容易に想像できてしまったので、私は噴出してしまった。
何がおかしかったのかわからないらしいリクに「なんでもない」と返し、公園の入り口に目を向ける。
さすがの人数だ。出店もたくさん立ち並び、喧騒が絶えることはない。
今何時くらいだろうかと思って、大まかに確認するため空を見上げようとして、私はぎょっとした。
なんと、私達の身長の数倍はあろうかという木の上に、誰かが座っているのだ。
「り、リク……あれ、木の上っ」
私に言われて木の上を見たリクも、人影を認めて「んなっ…」と声を出す。
唖然として二人でその人影を凝視していると、不意にその人影がこちらを向いた――気がした。
そしてその人影が木の上で立ち上がり―――飛び降りてきた。
「「あっ!?」」と二人で叫ぶ暇もなく、その人影がだむ!という音と共に別の枝に移ったのをみて
とりあえず胸をなでおろした。
が、それに続いてまた別の枝に飛び移り、どんどんと降りてくる。
周囲は喧騒に包まれているため人影に気づくものはいないのが幸いだったが、次で地面に着地するところまで来た
その人物が、私達の知る人物だと知ったときには卒倒しそうになった。
「ぃよお…っと!うーすお二人さん、お早いご到着で、っと」
そう、降りてきたのがセツだったのだ。さらに呑気なことに、両手にイカ焼きを纏めて数本持っている。
「ど、どうもセツさん……」
「…えーと、参考までに聞いていいか?」
「俺がなんで木の上にいたか、だろ?……率直にいやぁ、暇だったからだな」
単純明快、かつセツならおそらく(実際やっていたが)やるだろうその言葉を本人の口から聴き、ほっとしたような
あきれたような妙な感覚を覚えたのはリクも同じだろう。
二人で向かい合って苦笑していると、不意にセツが左手のイカ焼き(多数のうち一本)を
私とリクに寄越してきた。
「ほい、おまいらまだなんも買ってないだろ?とっとけし」
受け取ろうかしばし迷ったが、香ばしいにおいに負けて素直に受け取る。
「っていうか、なんでそんな早くから来てたんだよ?」
さっそくイカ焼きをかじるリクが、咀嚼しつつセツに聞く。
同じくイカを食いちぎっていたセツが、少々照れくさそうに答えた。
「え、あー…ははっ、まあ、あれだ。楽しみだったから、かな」
彼にしてはめずらしくどもりまくっている。普段から達観したような性格だが、この反応や
理由を聞くといかにも年相応なのだ。
そんな彼のギャップは、私も嫌いではないのかもしれない…などと考えていると、不意に後ろのほうから
名前を呼ばれる。
「ユウーっ」
振り向くと、そこにはリュウジこと黒塚隆司をひきずってこちらに歩いてくる、メグミこと日野恵がいた。
「あっ、メグちゃんだ。おーい、こっちこっちー!」
私も手を振り、それに応答する。場所に気づいたメグミが手を振りかえしてきた。


「おー、やっぱ日野っちもきたかぁ」
からからと笑うセツが、ほいと持っていたイカ焼き(口をつけたものとは別のもの)を
メグミになげてよこした。礼をいいつつ受けとるメグミの後ろから、のそっとリュウジが出てきた。
「……おい、メグ。オレ、こう言うの嫌いっつったよなぁ?」
「ん、いったっけなぁーそんなこと」
もひもひとイカを食べつつ、あっけらかんとメグミが応対する。
実質周りから見たとおり、リュウジはメグミの尻に敷かれているのだろう。
不満たらたらの表情であくびをしたリュウジの口に、セツが放ったイカ焼き(また別のもの)を
投げ込んだ。「もごっ?!」とナイスピッチでリュウジの口に突き刺さり、そのまま数歩後ずさる。
「……コネクトぉぉ〜…………今日という今日こそは、ゆ゛る゛さ゛ん゛っっっ!!!」
勢いあまって異能を発動しそうなくらいに憤怒の表情を浮かべたリュウジに対し、それでもセツは
あっはっはと笑って一蹴する。頭にきたらしいリュウジがセツを追っかけまわす。
「わりーわりー、まっさかあんなナイッシューでブッ刺さるとは思ってなかったんだっつーの!」
「るっせぇぞこんにゃろう!くそ、待ちやがれーっ!!」
ぎゃーっはっはっはぁ、と腹の底から笑うセツをリュウジがさらに追い掛け回し、そのまま二人は
雑踏の中に消えていってしまった。
「…えーと、アレほっといて大丈夫なのかな?」
リクが不安げにコメントするが、
リュウは切れ性だけどすぐ冷める人だから、大丈夫だよ」というメグミからの言葉で納得したようだった。
セツはどうなんだろう、と考えると、先ほどのあの馬鹿笑いしたセツの顔が浮かぶ。
「セツさん……なんか楽しそうだったよね」
それに答えたのは、新たに登場した人物だった。
「あいつはだれかとはしゃぐのが大好きだからなぁ…」
「おわっ、ソウいつの間に」
「今キタトコ」とのんびり答えた彼は、一人焼きそばを食べていた。おそらくセツと同じように、
合流前に買ってきたのだろう。
さらに食べ進めるソウが、独り言程度にぽつりと呟く。
「でもやっぱあいつ、笑ってないんだろうなぁ…」
私の耳に、その一言が引っかかった。
「……え?ソウさん、セツさんが笑ってないって、どういう…」
きこえてたのか、とでもいうかのような表情を見せた後、今度はそこにいる全員に聞こえるくらいの声量で
語り始める。
「…いつからだろうなぁ。あいつが本気で笑わなくなったの」
「は、どういうことだ?」
「コネクト君、さっきすごく楽しそうにしてたよ?」
二人の言葉に、しかしソウは首を横に振る。
「俺はあいつといっちばん付き合い長いからな。心から笑ってないってことぐらい、わかっちまうんだよ」
その声色は、やはりといかどこか寂しげだった。
「あいつな、ああやって普通に笑ってるように『振舞ってる』けど、実はまったく笑ってねえんだ」
「…どういうことだ?」
「…理由は俺も知らない。ただ、あいつの笑い方にはなーんか違和感があるんだよ」
そう言われても、私はセツのあの笑い方に慣れきっている。
どこか違和感があるといったら、あの達観しすぎた性格以外には考えられないのだ。
「……それと関連してるのかはわかりませんが、セツさんってなんだか普通の人じゃないみたいですよね……」
とコメントしてみたら、案の定沈黙が返ってきてしまった。まずった、と思う暇もなく、次いで爆笑が起こる。
「ぶははは、そりゃそうだ!」
「まあ、たしかにコネクト君は常人じゃないよね!」
「異能者だしなぁ…ぶっふふっ」
各々から返された言葉で、私はついハッとしてしまった。
そう、よくよく考えれば彼はすでに「ただの人間」ではない。それは私達にも言えることだが、
彼は既に常識を超える力を持つ「異能者」なのだ。
なんと的外れなことを言ってしまったか。ちょっと悔しくなってしまい、
「さ、さあ!暗い話は置いといて、ボク達もいきましょ!」と強引に話をくくってしまったのだった。


 * * * * * * 


一方、そんな応酬が行われていたことなどつゆほどにも知らない俺―コネクトことセツ(逆かもしれない)は、
黒塚と追いかけっこを展開している途中で衝撃の人物と出くわした。
「…あら、久しいわね、蒼炎のコネクト」
「………お前ら、なんでここにいる」
横にいる黒塚が、ドスのきいた声で問うのも無理はないだろう。
なにせ、俺らの前に現れた人物というのが―――夏休み直前に一戦交え、今はセイバーの牢に
ブチ込まれてるはずの敵「ウィード」と「ゼキア」だったのだ。
黒塚の気配に警戒心がにじみ出るのは仕方ないことだろう。
しかしそんな黒塚(と俺)の心中を知ってか知らずか、ウィードが落ち着いた声色で口を開いた。
「端的に言えば、アタシ達は釈放されたのよ」
釈放。その言葉が意味することはつまり、こいつらはインフェルノとは無関係…?
と考えるより先に、ゼキアが口を挟んできた。
「…俺達ももとは学生です。インフェルノ様に従う身ではありますが、学業に支障が出るのはセイバー側としても不満だったんでしょう。
桜流であなた方の監視を受けることを条件に、俺達は釈放されたんです」
これには俺も黒塚も心底驚いた。日本きっての堅物で(あくまで異能者間でだが)有名なセイバーのお偉方達が、
そんなことをいうとは考えも及ばない。となると、やはり彼が手引きしたのだろうか。
「ともかく、また2学期からあなた達のお世話になるわよ、コネクト」
「……はあ」
思考が追いつききってないせいで、そんな間の抜けた返事しか出来ない俺だった。



 * * * * * * 



ところ変わって私―ユウは、メグミ、ソウ、リク、リュウジの4人と共に出店を回っていた。
お金がないという事をリクが他のメンバーに言っていたせい(おかげ)で、ちょこちょこいろんなものを買ってくれるのは
ありがたく気恥ずかしかったが。
「さーてと、次はどこ行くかね?」
イカ焼きの刺さっていた串を歯で振り回しつつ、リクが周囲の出店の様子を伺う。
流石に祭りというだけはあり、人の多さも半端なものではない。
しかし幸いというべきか、道の幅が広いおかげで移動にはそれほど悩まされることはなかった。
と、不意に近くの出店から喧騒を切り裂く歓声が上がった。
5人揃ってその方向を向くと、そこにあったのは「射的」の看板。
「…スナイプ名人の登場かね?」
銃に関して高い関心を持つソウが、歓声を起こした人物を見るべくぱっぱと人ごみの中に入っていく。
無論私達も気になったので、ソウに続いて人ごみの隙間から内側へと滑り込む。
そしてそこにいたのは、残り一発となった射的用のコルク弾を詰める真っ最中であった一人の少年だった。
不思議な模様のヘッドフォンが首から下げられ、蓄えられているのは男にしては少々長めの黒髪。
基本的な立ち撃ち体制から獲物を狙う鋭い目は、どことなくセツやリュウジを髣髴とさせる。
瞬間、バス!という射撃音。次いで命中した音と共に、最後の1発が着弾したらしい景品がぼてと落下した。
周囲からもう一度、ワアアアア!と歓声が上がる。
「すげえ、15発連続で景品ゲットだぜ?!」
「なんだよあいつ、化け物だ…!」
「やべえ、俺出店閉まってこようかなぁ…」
などなど、たくさんの感想が私の耳に聞こえる中、店主らしい男が少年に1000円を贈呈している。
多分賭け事か何かをやっていたんだろうと思う暇もなく、その少年が唐突にこちらを向いた。
「っ!?」
あまりにも唐突過ぎたので、私は思わず息をつめる。獲物を狩る目をそのまま向けられ、一瞬竦んでしまった。
が、その少年はすぐに別の方向を向くと、ヘッドフォンを耳の位置に直し、すたすたと歩き去っていった。



「あいつ、すごかったなぁ…」
「うん、なんていうか、百発百中のスナイパーって感じだったよね」
先刻の少年を肴にして話をしていると、今度は目の前の出店から聞きなれた声。
「っつか、なんでオメーがやらねえんだよ!」
「あーら、男同士の勝負に女が介入するのはアタシの義理じゃないわ?」
その声に混じり、女性の声も聞こえてきた。
「……?」
多少いぶかしみつつ、私はそこに近寄ってみる。
あったのは「金魚すくい」の看板だった。その下で、あろうことかセツとリュウジが勝負していたのだ。
後から追ってきた4人もそれに気づき、各々二人に話しかけようとする。
が、彼らの横で傍観していた人物を見て、揃って硬直してしまった。
そう、ここにいる私達6人がかつて対峙した人物――ウィードとゼキアが、無邪気にセツたちに向けて話かけているのだ。
ちなみに厳密に言えば、ゼキアも並んで金魚すくいに参加していたりする。
呆気にとられたまま硬直する私の横にいたソウに、勢いよく水しぶきがとんできた。
「ぶわふっ?!」
その声で、ようやく私達は硬直から解放された。次いでこちらに気づいたらしいウィードが、微笑んで手を振ってくる。
あんまりにも無邪気な笑い方だったので、私とメグミは思わず手を振りかえしていた。
遅れてゼキアとリュウジも気づき、「よっ」と揃って声を出してこちらに会釈する。同じく呆気にとられていた
リクとソウが、それぞれ「おう」と間の抜けた返答を返す。
最後に、おそらく水しぶきを跳ね飛ばした張本人であろうセツが、振り向かずにこちらに声を送る。
「よー、おいでなすったか貴様らさんよ。おまえらもやれしー」
えー、という声がそこにいる7人全員から聞こえてきたのは、私の錯覚だろうか。



その後、何故二人が一緒にいたかの理由をセツから知らされ、改めて私達は和解してみた。
話してみると、存外ウィード―沙里那 琴葉(さりな ことは)は親しみやすい人物でもあった。
無論警戒は解いていないのだが、そんなことを気にもせずに私やメグミに色々と話しかけてくる。
あまりにも親身に話しかけてくるので、思わず私は聞いてしまった。
「あの……なんで、そんなに親密にしてくるんですか?」
問われたウィードは少しの間黙り込んだが、やがて一言、答えを口にした。
「…方針転換の影響かしらね」
私達が聞き返す間もなく、ウィードがぽつぽつと話し始める。
「アタシね、あんたたちに言われたあの言葉、結構きたのよ。…でね、牢屋の中で、色々と考えたの。
あの方に対する忠誠もいいんだけど、ちゃんと年相応に振舞わないと、ってね。
……あはは、なんだか話したらすっきりしたわ。ありがとね、ユウちゃん」
いきなり礼を述べられたので、若干挙動不審になりつつ私も会釈したのだった。


「おーいユウ、セツのヤツ知らないか?」
すこし話し込んでいると、こんどはソウがセツの行方を聞いてきた。
先ほど金魚すくいの前で声をかけられたきり、私はセツのことを見てないといったら、
ソウが若干深刻げな顔をする。
「なにか、あったんですか?」
不安になって聞いてみると、帰ってきたのは「別にたいしたことじゃない」の一言と微笑だった。
詮索するのは野暮だと思い、私はまたメグミやウィードとの会話に戻っていった。



 * * * * * * 



「……あのですねー、総帥?」
「む、どうした?」
さて、ところ変わって俺―セツは、またも驚愕の人物に遭遇して(しまって)いた。
「…いえ、何もあの三人まで連れてくることはなかったでしょうに?」
その人物というのが、おそらくあの二人を釈放した本人であろう人物「アストレア」だったのだ。
しかも総帥の話によると、ここにはさらに俺の弟分であるプリズムとウォーズも来ているという。
さらに数日前に俺を襲撃し、現在はセイバーに保護されている少年レンこと「光明 錬斗」他2名までもつれてきたというから
驚くほかない。
「そうか?君の定時報告にあった夏祭りがずいぶんと面白そうだったから連れて来たのだが、ダメだったか?」
「いやいやいやいや、ダメとかそういう問題じゃないんですよ。プリズムたちはともかく、なんでレンまでいるんですかっていうね?」
というのも、アストレアがここに来た理由は至極単純。
俺が一昨日提出した定時報告に「夏祭り」の三文字が書いてあったからだけらしい。
この人のアクティブさに改めて恐怖を覚えつつ、俺はがくっと肩を落とした。
と、そんな俺の横腹付近に、スローモーションで肘鉄が入った。
「ぐは」と俺が気の抜けた悲鳴を上げる。こういうイタズラをしてくるのは、知り合いの中でも1人しかいないのだ。
「やーコネクト君、ひさしぶりー」
「おー久しぶり。生きてたかウォーズ」
横を向くと、そこには弟分の一人である「ウォーズ・ニトロビット」、本名を「緋色 悠斗(ひいろ ゆうと)」がいた。
からからと笑うそいつを見るのはかなり久しぶりな気がするので、数度頭をぺしぺしと叩く。
が、叩かれたウォーズ本人から「ひゃんっ」と妙な声が聞こえたので、俺は若干首をかしげた。
横にいるアストレアが微妙にニヤついているのを皮切りに、俺は直感する。
「…さては貴様、プリズムか?」
問い詰めようとした瞬間、ウォーズの全身が陽炎のごとく揺らめく。
揺らぎはすぐに収まり、その中心にはもう一人の弟分(妹分とも言う)、プリズムがいた。
「うーん、なんですぐにばれちゃうんだろうなぁ…」
あははと空笑いをする「プリズム・リフレイト」、本名を「空音 輝(そらね ひかり)」の後ろから、ひょことウォーズ(本物)も出てくる。
「反応するからだぞー。…んま、改めて。ひさしゅーコネクト」
「おうさ、久しぶり、っと。プリズムも」
「うん、久しぶりおにいちゃ…コネクト君!」
笑う二人(三人?)を前に、そろそろ疲れてきたと頭の片隅で思う俺だった。




 * * * * * * 



セツが肩を落としているころ、私もまた懐かしい人物たちと遭遇していた。
「めんっ!」
といきなり背後から声がかかったので、ぎょっとしてちょっと飛び上がってしまった。
振り向くと、そこには竹刀を持った少女が一人。
すぐにだれと思い出すことは出来なかったが、数秒遅れてようやく気がついた。
「…マナちゃん!」
そう、その人物は数ヶ月前に出会ったきり、一度も連絡が取れていなかった人物「マナ」こと「雪原 愛(ゆきはら まな)」
だったのだ。彼女もまた久しぶりの出会いを喜んでいるようで、少し嬉しくなる。
「ユウちゃん、久しぶり。皆は?」
「今は自由行動中だよ。リクとソウさんはその辺で何か買ってるかもだけど、ね」
「あのスカしたボサボサはいないのか」
「うわっ!?」
会話の合間にするりと入り込んできた背後からの声に、私はまたもびっくりしてしまう。
予想はついたが、背後にいたのはマナと同様、数ヶ月前から連絡が取れなくなっていた人物だった。
「…ああ、すまん。驚かしたか」
「あ、いえいえ……お久しぶりです、ギンさん」
この人物こそ、剣道部のエースギンこと「焔 銀二(ほむら ぎんじ)」だ。
長らく出会っていなかったが、元気そうで私はほっとした。
「最近、学校にも来てませんでしたね?…セイバーのほうで、大丈夫でしたか?」
私が尋ねると、ギンは以前と変わらないそっけない応対で返してくる。
「異能の修練とマナのサポートだけだったからな。何ら窮屈はなかった」
「へぇー、寮で相部屋になったとき、かなり窮屈そうだったけど?」
ふふと笑うマナに、ギンは返す言葉がなかったようだ。
そんな二人の様子を見て、私もまた笑みをこぼしてしまった。


「え?マナちゃん、桜流にくるんだ!」
その後少しして、私はマナが桜流に転校してくることを聞かされた。
もともとマナは桜流のすぐ近くにある女子校「幾質(いくたち)女子高等学校」に通っている。
詳細は知らないがかなりエリート校らしく、マナ本人は苦労しなかったというが
偏差値は他校の1,5割増しという恐ろしい高校でもある。
そこからわざわざ桜流に転校してくるということは、おそらく異能がらみのことなのだろう。
少々複雑な気分だったが、今はそれよりも新しい学友が増えることに期待が寄っていた私だった。




 * * * * * * 




《ご来場の皆様に告知いたします。まもなく綾川付近の広場にて、本日のメインイベントである花火大会を開催いたします。
見物はご自由なほか、手持ち花火の配布も行っておりますので、奮ってご参加ください。繰り返します…》
頭上から振りそそいだアナウンスに、ユウもセツも他の面々も顔を上げた。
ユウはリクたちその場にいた全員と共に、セツはアストレア以下4名と共に、それぞれ同じ場所に向かう。


「よ、すまんな途中離脱して」
「いえいえ、こっちは大丈夫ですよ。……でも、なんだかそっちも人が増えましたねぇ」
「あ、ははは……ままま、気にすんなし!そら、行くぞ貴様らーっ!」
総勢14人が和気藹々と集まり、まもなく打ちあがるであろう大輪の花を見るべく準備を始める。
ユウが全員分の手持ち花火と線香花火をもらってきて、リクが用意してきたライターで着火。
マナがそれを受け取り、嫌がるギンに無理やり手渡そうとする。
セツとソウが噴出し花火をクロスさせ、それを見るウィードとゼキアがくすくすと笑う。
並んで静かに線香花火を見るリュウジとメグミの後ろではしゃぐプリズムとウォーズを、アストレアと
遅れて到着したレンが苦笑しながら鎮める。
《まもなく、打ち上げ花火を開始します。皆様、どうぞごゆるりとお楽しみ下さい》
会場のアナウンスが途切れると同時に、流星が天へと駆け上っていく。
「な、みんなで一緒に言おうぜ、アレ!」
リクの提案に一同が乗り、打ちあがる無数の花火に向かって叫ぶ。




「たーまやーーーーっ!!」


「暑中見舞い、申し上げます…だね」
呟くユウの目には、鮮やかな花が映っていた。



  第3幕 完
       第4幕へ続く


*********


超最終回っぽくなっちゃった最後wwwwww
いやいや、終わりませんよ?終わらせませんよ?終わりたくありませんよ?終わ(ry
総まとめと銘打ちましたが、唯一レンだけ名前と姿が別の場所で登場しちゃいました。
ユウたちは知らないのであそこで合流させても良かったのですが、そこまでのスキルが俺にはありませんでしたorz


さてさて、物語はまだ序盤なんですよねコレが(何
かなり長期的な展開を予測してプロットを構成してますんで、必然的に話数も多くなっちゃうんです。
ですので、本編時間軸のスピンオフを書いてくださる方も今ならまだ間に合いますよ!(投げやり乙
他、キャラクターの提案なども大歓迎です!
名前や異能、どちらの陣営に所属させるかを書いてくだされば、後は大体大雑把に俺が決定して登場させますのでw
細かい設定で登場させたい場合は、設定を書いたダイアリーのページをトラックバックしてくださればおkです。
じゃんじゃんどーぞぉー(殴


そして次回から始まる第3幕からはもう一人、新たなキャラクターが登場となります。
これで最主要メンバーは集結かな?
まあ、話が思いついてないんでなんともいえませんがw
予定としては、インフェルノ部下との戦闘が数回入る予定です。
いや、なくなる可能性も増える可能性もありますがねwww


ではでは今日はここまで。下にプラモ紹介も書いてるのでみてねー。
それじゃ ノシ