コネクトの雑記スペース

創作小説、オリキャラ設定などの雑な記事を取り扱うところです。

エピローグ 戦いの終わり、旅の始まり


「……こちらAH。目標PTHを発見した。回収班はポイント0337の当機を回収、ただちに撤退しろ」
薄暗い通路の中に、人影があった。その冷たい瞳は、ぼろぼろの状態で倒れた、銀色の腕の人間を見つめている。
「ええ。残る目標は確認できません。脱出したか、宇宙に破棄されたようです。こちらはクルーニクスに合流し、撤退します」
ほどなくして、数十人の足跡が聞こえてきた。それを確認し、人影は踵を返す。






ハイヴが崩れるさまを、俺たち―――アハトを抜いた、クルーニクスの五人が、静かに見つめていた。
数分前、脱出の直前になり、突然ユウナが駆け込んできたのだ。
いわく、アハトたちはこのまま船を離れ、旅に出ると。
勝手な人だと周りは言ったが、俺にはその理由がなんとなく想像できた。
「……ダーカーのものじゃないみたい」
不意に、ぽつりとチアキがつぶやいた。その眼の先にあるハイヴの爆発は、荘厳でさえある。
「これで、終わったんでしょうかね?」
アリサが不安げな顔で、周囲に聞く。
「どっちでもいいだろ。……終わってないなら、終わるまで戦うだけさ」
あっけらかんとした口調で、リクウが笑う。
「なら、すぐに帰らないとね。……船のみんなが待ってる」
ユウナもまた、決意を示した。


結局、俺たちクルーニクスは誰一人として欠けることなく、ハイヴから帰還することになった。
ゼクスもアイシャもアハトも、すでに見えないがトレイルブレイザー号に乗って脱出しているはずだ。
彼らが、ハウンドが去る。
そしてこの船には、何が残るのだろうか。
答えは、ただ星が知る。


 * * * * * * 


「…………あいつが、殺した」
トレイルブレイザー号の中、自動操縦で動く船の中で、少女は悔しさに嗚咽をにじませる。
「あいつが、兄さんを…………!」
ぎりと歯を食いしばる少女の肩を、男性が軽くたたく。
「……心配はいらない。あいつは、アレ程度で死ぬタマじゃないさ。……腐ってもハウンドだ。そのくらい、帰ってきてもらわなきゃ、困る」
「けど……っ!」
なおも苦渋の顔を崩さない少女に、男性は諭すように語り掛けた。
「そこまで心配なら、君が預かっておくんだ。その命を」
「……いのち、を……?」
呆然と聞く少女に、男性はゆっくりと、一言ずつ言葉を紡ぐ。まるで、自分に言い聞かせるかのように。
「……あいつが帰ってくるまで。あのヘラヘラした顔をもう一度その目で見るまで。お前があいつの魂を、あいつの命を背負うんだ。
お前は一人じゃない。いつでも、あいつがそばにいる」
その言葉を聞いて、少女は抑えられなかった涙を一つ、拭った。
そのまますっくと立ち上がり、決意を確固たるものにするためにつぶやく。
「……そうだ。私は、マークアハト」
その後方には、男が―――マークゼクスが立つ。まるで、少女の、アハトの決意を後押しするように。
「私は背負う、兄の名前を。……そして、兄さんにささげる」


「あいつを……あなたを殺した女を」
決意は、復讐に代わる。





新光歴238年。
ラクル船団「カルカーロ」を含めた連合船団は、のちに最初のハイヴ襲撃を受けた船として―――そして、最初で最後の英雄が生まれた地として、
その名を挙げていくことになる。
その英雄の活躍の裏には、ハウンドと呼ばれる生体兵器がかかわっていたとされるが、審議は定かではない。





















――――起動シークエンス。
各部接続状況、問題なし。
駆動系に異常なし。
総合統制AI、破損見られず。
視界モニタ、映像良好。
―――内部電源の残量低下を確認。
光源、反応なし。
充電は不可と判断。
活動を一時停止。光源確保まで、スリープ状態に移行。
機動、停止。
スリープ。




*********


祝、二度目の完結っっっっ!!!


いやー、ようやく完結と相成りました!
こちらのリメイクは6月あたりから書き始めていたので、おそらくコネクトが持つ小説の中では一番早く完結していますw
それもどうなんだという話ですが、基本的にこういう完結の速度は異例なのでご安心を(何


実はこの後、一章と二章の疑問を解決していくためにラジオ小説を企画しております。はい、繋録の時と同じですw
ですが、こっちは疑問の量が尋常じゃないと思いますので、ちょっとばかり長くなってしまうと思います。
その時は、どうかご了承ください。


最後になってしまいましたが、当小説の読破、誠にありがとうございます!
こうして小説を更新して、それを楽しみにできているのは、ひとえにこうしてお読みいただいている皆様のおかげにございます。
これからも大した作品は執筆できないかと思いますが、見切りがつかない限りどうかこれからもよろしくお願いいたします。


アハト様、作品の改ざんを快諾いただきありがとうございました。
妙な精神から始まってしまったこの計画ですが、声援のおかげもあって無事完結いたしました。ここに、謝辞を申し上げます。
というか、以前にも述べましたが、この作品はアハト氏の協力あって完結したようなものですw


それでは今回はここまで!
次回作にて、またお会いしましょう! ノシ