コネクトの雑記スペース

創作小説、オリキャラ設定などの雑な記事を取り扱うところです。

思いついたら吉日ぅ!

しんかぁするぅひびぃー、しんかぁするぅうたぁーぁ、
はせる、はせる、はせる、むせ…ゲフン、はせる、おわぁらなぁーいよぉーにぃ!
ってことで歌詞間違いすんません、コネクトですw


さて、今回はようやく始動となるデュアルフェイスです!
大部分は原作1話2話と変わりませんが、新規の方にも楽しんでいただけるようにしたいと思います。
具体的には、冒頭部分に大きく加筆を施してあります。そこは本編を視聴していただければと。
それではれっつ……の前に、このデュアルフェイスには注意書きをば。


この物語は、進行につれオリジナル要素が
大部分を占めるようになります。
純粋なPSO2小説を楽しみたい方は、お手数ですがブラウザバックをして、
この小説のことは未来永劫忘れたほうが幸せになります。絶対。


ついでに注意。登場人物の名前に関しては劇中で言及がなされますが、その際は「アークスネーム/本名」と
いう構成となります。お待ちがえないようにお気をつけください。


*********




新光暦元年。
人類始祖の星である太陽系第3惑星、通称「人類始祖の星」を飛び出した人類は、巨大な移民船を建造し、
まだ見ぬ未開の星系を夢見て旅立った。後に「オラクル」と呼称されることとなるその箱舟には、
3つの種が乗り込んでいた。
ひとつ、勇と豪を兼ねた旧人類「ヒューマン」。
ひとつ、英知から生まれた機人「キャスト」。
ひとつ、知を極めし新たな人類「ニューマン」。
三つの種族は互いに手を取り合い、酷なほどに広大な宇宙へと繰り出すこととなる。


しかし3つの種族の協調は、ある場所のある日に発見された技術で、はかなく崩れた。
時は新光暦225年。場所はとある恒星系の第4番惑星「アクセシア」。
そこに駐留していたヒューマンの学者が、かねてより人類と敵対していた漆黒の生体「ダーカー」の血液を
偶然から採取、鑑定を行う。その結果、特定の人物にダーカー細胞を移植することにより、
新たなる種族を生み出せるという結論が出たのだ。
しかし、その新たなる種族は、理性とも言うべきものが欠けていた。それが災いし、核に次ぐ強大な力として
人類から恐れられるようになったのだ。
それを発端とし、全人類の死滅を防がんとする種族と、新種族のテクノロジーを我が物にせんと目論む種族と、
新種族のみを破壊し、世界に平穏を取り戻そうとする種族と、漆黒の種族。
まったくの偶然からまったく同じ場所に居合わせてしまった別々の目的を持つ4つの種族は、それぞれの
障害となる敵対種族を排除するべく、大規模な戦いを繰り広げることとなった。
後に「4種族世界大戦危機」と呼称されることとなる悪夢の惨劇は、一人の英雄の手によって
終結に導かれたという。



それから13年が経った、新光暦238年。
悪夢の戦いから遠く離れた地で、伝説は始まろうとしていた。
その地の名は「カルカーロ」。
その戦士たちの名は「アークス」。


その英雄の名は「闇を祓う者」。




#01 襲撃


《繰り返します!ただいまカルカーロ全館に、緊急避難警報が発令されております!
市民の皆様は、速やかに最寄の非常シェルターへと退避願います!繰り返します……》
ひっきりなしに鳴り響く警報を耳に受けながら、俺は避難警報のせいで無人となった大通りを
カスタムを施した愛用のオンロード型バイクで駆け抜ける。おそらく、すでに出発しているであろう
仲間たちの集会には間に合わないだろう。だが今俺が向かっているのは、集会が行われる市街の中央区ではなく、
逆方向のシップケーブルだった。シップケーブルというのは、連結したオラクルの間をつなぐ超大型の
リニアケーブルのことだ。馬鹿の如く長いので、オラクルの住民からは「対岸側の嫌がらせ」などとからかわれている。
だがそれは、あくまでも歩く人間に限る話だ。
シップケーブル入り口前で、俺はマシンを滑らせて急停止する。
愚直に仮想の空を映し出し続けている市街保護シールドは、シップケーブル付近のみ映像が途切れている。
対岸にあるもう一隻を鑑賞するための措置らしいが、今の状況では皮肉のようにしか思えなかった。
シールドから見える対岸の船――カルカーロ大船団所属の一隻「アスラクト」の市街では、
肉眼で視認できるほどの黒々とした爆煙がそこかしこから吹き上がっていた。
「ちっ……やっぱり、政府を待ってる暇はないか」
悪態を吐きつつ、俺は相棒のエンジンを吹かす。



 * * * * * *


「これより、コンディションレッド級任務の概要を説明いたします」
俺達の前で、普段はクエストカウンターを受け持っている女性、レベッカが口を開いた。
いつになくカリカリしているのは、わかりきったことをいちいち説明してから対応せねばならない
政府の方針に対する憤りがあるからだろうか。
そんなことを考えながら、俺は机の上に脚を乗せた。気づく様子はない。
「敵対勢力は、ガブリエル―アスラクト間のシップケーブルよりアスラクトへと進入した模様です。
連隊行動の説明ですが、まずは第一次部隊が定点範囲を攻撃し、分散している敵対勢力の誘導を行います。
そこへ第二次部隊の高火力一点突破で……」
「あー、いいよいい。それよりも、俺たちがやるべきことだけを教えてくれ」
適当に聞き流していたが、いつも以上に説明が長いせいで中断せざるを得なくなった。不本意だが、
こうでもしないと余計な被害が増えることになる。
「っとと、すみません……って、アハトさん!ここは全席禁煙です!」
俺の名前を呼んだレベッカが、いつにない声の荒げ方をした。相当血が上っているらしく、俺が説明前から
タバコを吸い始めていたことにすら気づいてなかったようである。
だが、ここでピリピリしても始まりはしない。俺――「マークアハト/印野(しるしの)エイト」は、わざとらしい
猫なで声でレベッカをなだめる。
「いーいじゃんレベッカちゃ〜ん。これが最後の出会いかもしれないんだし、そゆときだけは
かっこつけさせてくれよ〜」
ちょっと軽口が過ぎたかな、と苦笑しながら、俺は二本目のタバコに火をつけた。
その直後、俺から見て右側からぬぅっと手が伸びてきて、片方はつまんだタバコを取り上げ、もう片方は
俺の右頬をつねってきた。痛い、痛いって。
「もー、よくこんなときにヘラヘラしてられるよね、アハトは。これからダーカーと戦うのに、緊張感なさすぎ!」
と俺に小さく怒鳴るのは、昔からの付き合いであるニューマンの少女だ。
名前は「あめゆぅ/雨野(あめの)ユウナ」。諸事情により、現在は記憶を失っている。
「あめちゃんの言うとおりよ。リーダーはダーカーを何だと思ってるの?」
さらに、向かって左側――レベッカの隣付近から、辛辣(しんらつ)なお言葉が浴びせかけられた。
言葉を発したのは、背に大きな武装を吊った眉目秀麗な女ニューマンで間違いないらしい。そちらを向くと、
追い討ちといわんばかりに鋭い視線が飛んでくる。
彼女の名は「ルチア/瑠璃(るり)チアキ」。ユウナから聞いた話では、特務隊あがりの武芸者だそうだ。
「あ?あんなもん、そこら辺のクソエネミーとかわんねぇよ。見た目はちょいと悪趣味だが、な」
先ほど問われた「ダーカーを何だと思っているのか」という問いに対し、俺はきっぱりと断言してやった。
だがその直後、さらに別方向から声がかかる。
「……簡単に言ってくれるけど、勝算はあるんですか」
抑揚の薄い声で深く切り込んできたのは、壁に背を預けて眠るような体制を取っていた女性だった。
日本刀のような大振りの片刃剣を背負ってびくともしないその様子には、常々違和感を感じる。
身の丈と変わらない大剣を軽々と背負うさまは、ある種異様な風景でもあった。
彼女の名は「神楽/神楽(かぐら)アリサ」。無口で近寄りがたい雰囲気をかもし出してはいるが、
話せばそれほど気難しいやつでもない、まさに見かけで判断してはいけないタイプだ。その証拠に、
「神楽さんの言うとおりっス!あいつら舐めてると、やばいって聞きましたよ!」
アリサに同調して騒々しいくらいに念を押すのは、女性陣とは違ってヒューマンの少年だ。
つい最近、アークス適正試験を点数トップで合格したいわゆる期待の新人だ。なぜか巡り巡って
俺たちの小隊に配属されることになった新人男子の名は「グランツァー/光圀(みつくに)リクウ」。
若干長いのと言いにくいことで、俺たちの間では「グラン」と略して呼んでいる。
まぁ、こいつらの心配なんて気紛れにしかならない。やっぱり自分を鼓舞するのは自分だ。
「やばかろうがなんだろうが関係ねぇ!勝算なんざ、やりあう前から決めるもんじゃねえだろうが!
やることはとりあえずひとつ!見敵必殺、プラス生還だっ!!」
だん!と机に足を乗せて立ち上がると同時に拳を握り、力強く、かつ雄弁に語ってやった。
が、あろうことか仲間は全員頭を抱えてため息をついている。あれ、なんか変な事言った?
俺の胸中で浮かんだ疑問は、しかしすぐに仲間たちから返された。
「……ホント、リーダーはもうちょっと考えるべきよ」
チアキがばっさりと切り捨ててきた。そんな真っ向からきられると反論できないぜ、俺。
「ねーさまの言うとおりだよ、アハトー。それじゃいつも通りじゃん」
続くユウナの辛辣な言動。アハトの精神に突き刺さった。俺に22のダメージ。
「つまり俺のために死ね!ですね、わかります」
悪いが、お前の言葉は今の俺には理解できない。
「リーダーがそう言うんなら、リーダーを信じますよ、俺!」
おぉ、癒し発見。だかこれはだまされやすそうだなぁ。
全員の反応を見終えた俺が気取られない程度にため息をついたと同時に、おずおずとレベッカが手を上げた。
「あのー……」
「ハイ?」
リーダーとして、ここは俺が答えてやろう。そう思ったが、続く言葉は仲間もろとも空気を凍らせることとなる。
「コネクトさん……は?」
「「「「「あ」」」」」
おんなじ一文字を同じタイミングで口に出した後、しばらくその場には沈黙の帳(とばり)が下りたのだった。


―*―*―*―*―*―*―


「えー、うぉっほん。こちらクルーニクスだ。間もなく作戦領域上空に到着すっから、死にたくないやつは
てきとーに下がっとけ!」
いい加減な口調で強引にまとめて、俺は乗り込んでいる大気圏内用戦闘ヘリから身を出した。
ちなみに先ほどレベッカに口出しされた最後の仲間だが、置いてきた。どうせ後から突っ込んでくるだろうからな。
今回俺たちが取る作戦は、その名も「生き埋め作戦」。
手順は簡単。俺が装備する大型のランチャー「アルバタグバルブ」を、市街地のビルめがけて叩き込むだけ。
そうすれば崩壊にあわせて、下にいるダーカーはぺっちゃんこ、という算段だ。
ちなみにこれを提案したとき、チアキに「メチャクチャすぎてついていけない」と浴びせられたのは内緒である。
「いくぞ、あめ!」
「ん、りょーかい!」
作戦内容を伝えてあるユウナは、俺がランチャーを構えるのに先んじて武装からカード上の法具を打ち出した。
彼女が使用しているのは魔法=テクニックを得物とするクラス「フォース」が使用する武器「タリス」。
「ファイアー!」
俺が砲弾を打ち出すと同時に、ビルの壁面に突き刺さったタリスのカードが「爆発した」。
これこそ、タリスの本懐ともいえる使用法だ。使用者のテクニックは、射出されて空間にとどまっているカードに
超高速で伝達され、そこでテクニックが撃ちだされる。
今回彼女が放ったのは、火炎系テクニック「ラ・フォイエ」。火炎による連鎖爆発を引き起こし、周囲を
爆砕する強力なテクニックだ。
そこに俺が打ち出した砲弾が追いついた。爆発の中でさらに大きな爆発が引き起こされ、ビルは中ほどから
崩落を始めた。
そこに、まんまと誘導に引っかかった漆黒の虫がやってくる。南無南無。
幾許かの後、ズドォォォォン!という豪快な音を立てて、ダーカーどもは紙よりも薄くなった。
「すっごぉい!ほんとに成功しちゃったよ!」
「あたりめーだ。俺を誰だと思ってやがる」
背後からドヤァという効果音が流れてきそうな顔をユウナに向けてやる。しかしその直後、ダーカーの放った流れ弾が
運悪くヘリにあたったらしく、機内は振動に包まれる。
「くっ……制御不能!不時着しますっ!!」
操縦を担当していたアリサが声を荒げながら、必死の顔で期待を操縦する。だが、手遅れなのは火を見るより明らかだろう。
こいつは久々に死線になりそうだな。そう考えると、体の奥からうずきが湧き上がってきた。
「イィーィヤッホォォーィ!!!」
他のメンツが各々悲鳴を上げる中、俺はただ一人笑う。高揚感に身を任せて。


 * * * * * *


ようやくケーブルの出口が見えてきた。同時に上り坂になるが、お構いなしにエンジンを吹かす。
悪路でも走行できるようにグリップ性を高めたホイールの恩恵あって、俺はスリップもなく
アスラクトの市街地へとたどり着くことができた。が、目に飛び込んできた惨状に、俺はしばらく絶句する。
そこかしこから黒煙が上がり、地面には殺戮の痕である赤い液体が、放射状に撒き散らされている。
もう二度とこんなことを繰り返させるわけにはいかない。そう幼心に誓った癖して、結局はこのザマだ。
自嘲気味にアクセルを再度吹かす。燃料に関しては問題ない。ここから仲間の座標までは、そう遠くない。
「……よし」
戦意を高めるように一言つぶやき、俺は腰に巻いた武装形態器「マウントポーチ」から、武装を射出した。
パシッ、と音高く手に収まったのは、身の丈ほどもある大きな剣「ソード」。
両刃の剣の形状を持ち、コバルトブルーのフォトン刃を宿した量産型武装「アルバギガッシュ」を、
ハンドル中央からせり出てきたハンガーにマウントする。アルバギガッシュをマウントしたハンガーは、
複雑にアームを回し、バイクのフロントに空いたハッチへと柄を保持したアームを格納。ランスのように装備した。
初めて実践投入する機構だったが、上手くいってくれたようだ。内心、ほぅとため息をつく。
が、悠長にしている暇はなかった。四方八方から、小型の四脚甲虫型ダーカー「ダガン」が接近してくる。
「……ちっ。待ってくれやしねぇ」
ガラの悪い不良のような呟きをひとつ吐いたあと、俺はアクセルを限界まで回す。
バオォォオオン!と相棒が吼えた直後、俺の体に急速なGが掛かった。
急発進した俺についてくるやつはいなかったが、正面にはわんさとダガンたちがたむろしている。
かまっている暇はない。遅れたら絶対に後でなじられること請け合いだ。いや、もう遅れてるけど。
速度を落とさず、真っ向から突っ切る。眼前に躍り出てきたやつもいたが、そいつはマシンの先端に装着した
アルバギガッシュが貫く。まだまだこんなものではないが、暴れるのは合流してからだ。
俺はマウントポーチから、小太刀のように見える剣を射出する。黄色いフォトン刃を発行させる武器を先刻の
アルバギガッシュと同じように音高く掌中に納め、更に愛機を加速させた。目的地は目と鼻の先。


 * * * * * *


「ったく、へらねえなぁオイ!」
不時着した後、各個に戦闘を開始した俺たちだったが、残るあと一人の仲間の到着が遅いことに少々不安を感じていた。
眼前から迫るエル・ダガン(ダガンの強化型といって差し支えないだろう)をランチャーで粉砕しながら、俺は声を荒げる。
現在俺たちが待っている人物は、俺たちのチーム「クルーニクス」の中で言えばアークス最古参の人間だ。
人づてに聞いた話では、齢17にもかかわらず既に五年強もアークス稼業をやっているらしい。
その話を最初に聞いたとき、俺は心の底からアホだと思った。
さらに実際に会ってみると、それはそれは頼りなさ気なガキだったので目を疑った。
――まぁ、結果的にこうして仲間やってるんだけどな。
心の中で苦笑しながら、さらに立て続けにランチャーの砲弾を叩き込む。爆発の余波で、ダーカーたちは物言わぬ
ラクタへと変貌する。肉が焼けるような臭いもするが、この際気にはならない。
と、後方から緑色の光が飛んできた。全身を苛む痛みが消えたところを鑑みると、おそらく仲間の放った治療魔法「レスタ」か。
憶測は当たったらしい。直後に同じ方向から、ユウナの声が届いた。
「いいのいいの!もし来なかったら、最悪あたし達だけで倒しちゃおうよ!」
ダーカーを相手取り、それでも強気な笑みを浮かべるユウナがそんなことを提案してきた。それも一興だと考えたが、
おそらくもう5分もしないうちに「あいつ」はここに来るだろう。活躍ゼロは流石にかわいそうだから、首の動きで提案を蹴る。
「でも……さすがに、このままじゃきついですよ、リーダー!」
その動きを視認していた前線のチアキが言うが、大型のパルチザン「アルバグングニル」をグオングオン振り回して
バッタバッタとダーカーをなぎ倒す様子で言われても、説得力などないというものだ。
だがその声色には、切迫した色が混じっている。涼しげに戦闘を繰り広げているが、前衛一人はやっぱりきついんだろう。
もう一人の前衛であるアリサは、単独でダーカーを引き付けるために走っていったため不在だ。もっとも、あの怪力女なら
ダーカーの2,30くらい何とかなりそうな気がするから困る。
まぁ、いない人間のことを話してもどうにもならない。そんなことを言っている暇があるのなら、
「ファイア!!」
大砲をぶっ放していたほうがいいだろう。そう考えた俺は、手に持つランチャーの弾倉へと別の砲弾を装填し、撃ちだした。
フォトンを使用した戦闘テク、通称「フォトンアーツ」。その一種である「ディバインランチャー」を模した弾が
着弾すると同時に、普段より2周りほども大きな爆発が巻き起こった。相変わらずこの破壊力には痺れ、憧れる。
気味の悪いダーカー方諸氏も木っ端微塵に爆砕完了。今ならお値段据え置き……いやボケてる場合じゃない。
さらにもう一撃「ディバインランチャー」を撃ち込んだ後、後方からタリスのカードが上空へと飛んでいった。
法撃がくるのを察知したチアキがバク転で回避した直後、タリスからは無数の電撃が迸る。
「食らえぇっ!」というユウナの声が響き、タリスの周囲で燻っていた電撃は一斉に直下へと撃ち出された。
雨傘の骨みたいな形に広がった電撃は、下にいたダーカーの群れをズガン!と粉砕してくれる。
定点攻撃に定評ある「ラ・ゾンデ」は高威力な分、範囲に問題があるのだが、今のようにタリスを用いればどうとでもなるのは
戦闘用のテクニックとしてうれしかった。まぁ、まだまだ攻撃は終わらないけどな。
「食らええぇぇぇっ!!」
騒がしいが嫌味ではない咆哮をあげながら、リクウの持つ武装が火を吹いた。
彼が今手に持っているのは、一度の銃撃で3発の銃弾を叩き込める手数に重点を置いた射撃武器「アサルトライフル」。
現在俺が持っている高火力武器「ランチャー」とは対を成す武装だ。だからこっちを持ってきた訳ではないが。
そのアサルトライフルから、通常とは明らかに違う数の銃弾が撃ち出された。弾薬数をフォトンで拡張する「ワンポイント」の
合計12連射が、右斜め前方に展開していたダーカーたちを瞬く間に蜂の巣状態にする。
さすが試験主席、と心の中で賞賛しながらランチャーを振るっていると、不意に別の音が聞こえてきた。
ダーカーたちの騒々しい進軍音とは違う、人の手で作り出された小気味いいエンジンの音。
地響きにも似たその騒音はすなわち、俺たちの最後の仲間がまもなく襲来してくることを意味している。


 * * * * * *


見えた。
前方で展開している総勢4名から成る部隊は、間違えようもない俺の仲間。
ここから聞こえるだろうか。そんな不安を少しばかり混ぜ込みながら、俺は雄たけびを上げる。
「どけどけどけどけどけえぇぇぇぇっ!!!」
何とか届いたようだった。前方の4人が左右に飛びのいた直後、俺と俺のバイクはその中央を突っ切る。
新たな敵の襲来に気づいたダーカーたちだったが、時すでに遅しと言うものだ。
バイクの先端にマウントしていたアルバギガッシュの光刃に貫かれ、数匹が物言わぬ骸へと変貌すると同時に、俺は重心を左に移動。
目いっぱいバイクが傾き、火花を散らして路面を滑走。ハンドルを切って車体を90度回転させ、摩擦で強引に停止させる。
また腹のフレーム塗りなおさないとな。そう思いつつ、俺は大剣つきのバイクを乗り捨てた。
がちゃん、とバイクが倒れると同時に、目の前にいた青年が若干不機嫌そうに声をかけて来る。
「……ったく、おっせぇぞコネクト!」
俺のことをコネクトと呼んだ青年に向かい、こちらも声をかけて返事を返す。
「すいませんアハトさん、寝てたところを叩き起こされたもんでして」
「いつまで寝てたんだよ、ったく……。まぁいいや、あとこんだけ、行けるか?」
青年――マークアハトの問いはつまり、現在眼前に展開しているダーカーの群れを相手取って、戦えるかということになる。
戦える自身もあるし、それ相応の経験と知識も詰め込んでいることを知っての問いだろう。その証拠に、顔が
にやけている。からかい目的の問いだと頭ではわかっているが、熱くなってしまうのは悪い癖だと自分で思う。
「……もちろんです。やってやりますよ、リーダー」
皮肉交じりに普段とは違う呼び名を使いながら、俺は右手に持った大振りのハンドセイバーを一振りした。
ヴォン!という機械音を立てて、黄色く発光する刀身を持った武装が空中に軌跡を描く。
敵の数はおおよそ14……いや、今グランが倒したから13か。
第2陣がくることを予想すると、ここまでの大規模戦闘は早々ない。やつらに向けて渦巻く憎悪とは別に
湧き上がる感情に身を任せ、俺は走り出す。
「おおおおおおおっ!!」
戦闘においては、どんな状況であっても先手を取ることが重要だ。出鼻をくじけば相手の士気も下がるし、万一外したとしても
相手へのけん制になる。
――外す気なんて、さらさらないけどな。
心の中でそうつぶやきながら、俺は武装を構えた。肩の高さまで引っ張り上げ、目線の先に剣先を向けるように据える。
Raging dance Standby!
微(かす)かに合成音が響いたかと思うと、俺の右手は稲光もかくやといわんばかりの速度で打ち出される。
ババババン!という衝撃は、俺が繰り出した攻撃によって、ダーカーが負傷を追ったことを意味していた。
威力に重きを置く遠距離系のフォトンアーツとは違い、中〜近距離系の武装は「攻撃速度」に主眼を置く。
その威力は時として最大威力の遠距離攻撃をもしのぐ分、外したりガードされたときの反撃はかなり痛いという
ハイリスクハイリターンの元に生み出されし、人体の限界を超える超瞬間攻撃。それが「近接型フォトンアーツ」なのだ。
先ほどの攻撃音は、フォトンアーツを発動した俺の手が超高速で動き、四連続の突きを放ったのが原因。
さらに直後、突きを終えると同時に「ハンドセイバーの刀身を上下に分割し、展開する」。
二つになった刀身の中央から覗くのは、エネルギー弾の生成装置。それを知覚させる暇など、与えはしない。
ドォン!という銃声が鳴り響き、そこから撃ちだされたエネルギーの塊に、ダーカー達はなすすべもなかった。
幾許の暇もなくエネルギー弾は炸裂し、ダーカー達は物言わぬ瓦礫に姿を変じさせた。
近接戦闘型フォトンアーツ「レイジダンス」の発動を終了し、銃形態に変形したままの相棒の姿を元に戻してやる。
俺がもっとも得意とする武装の最たる特徴は、「剣」と「銃」の二つの顔を持つことだ。
剣の形態ではリーチを生かせない代わりに、一撃必殺ともいえる斬撃をお見舞いでき、銃の形態では威力を犠牲にし、
刃の届かぬ場所にいる標的を撃ち貫ける。
それぞれの得意な間合いを生かして戦う万能兵器。それが「ガンスラッシュ」だ。
現在俺が手に持っているのは、銃形態を隠蔽するかのようなフレームが特徴的な「ガンハチェット」。
二等辺三角形の形をした武装を持ち直し、俺は再度突撃をかける。もう一撃、フォトンアーツをお見舞いしてやろうか。
グォン!というフォトン刃が空気と擦れ合って発生する特殊なサウンド・エフェクトの残響を残しながら、今度は
武装のキースイッチを押し込む。
thriller plode Standby!
電子音が告げた直後、稲妻のような速度でハチェットの先端が上下に展開した。それと同時にエネルギー弾が収束し、
小さな光の塊を前方に撃ちだす。
回避のタイミングを見誤ることなどない。何せ、回避動作もフォトンアーツの一環なのだから。
ダゥン、と地を勢いよく踏み抜いてバック宙を披露しながら、着地移行の動作にあわせてハチェットの引き金を引く。
撃ちだされたエネルギー弾が、光の塊のど真ん中を貫いた。ナイスショットと心の中で格好つけながら、
ザシッときれいに着地すると同時に、前方で爆発が生じる。
先ほど撃ち出した光の塊は、特定のエネルギーと衝突すると、小規模な爆発を引き起こす物質で生成されたものだ。
その特定のエネルギーというのがハチェットから撃ち出されたエネルギー弾で、それによって敵の懐で爆発が起こるよう
意図的に仕組んだ奇抜なフォトンアーツ「スリラープロード」は目測違わず決まったようだ。
爆発音に混じって虫共の悲鳴が聞こえてくる。相変わらずむごい技だが、一種の楽しみでもあるのは内緒だ。
そんなことを頭の片隅で思っていると、不意に真横を砲弾が通り過ぎる。しかも一発ではなく、三発動時に。
軽い風の衝撃を発生させながらダーカーの群れに突き刺さった3発の砲弾が、立て続けに爆発。瞬時にダーカーたちを
細切れにしてくれた。弾数と威力から見て、ランチャーのフォトンアーツ「コンセントレイトワン」で間違いないだろう。
「はっ、お前だけにいい面させてたまるかよぉ!」
という咆哮とともにすぐ横を通り過ぎたのは、ランチャーを構えたアハトだった。大砲を担いだままとは思えない軽快な動作で、
瞬きの間にダーカーの一体に取り付いたかと思うと、チュドォォン!と盛大な爆発が巻き起こる。
距離のつめ方から言えば、おそらくフォトンアーツ「ゼロディスタンス」だろう。そのまま巻き起こされた爆煙を注視していたが、
直後に「ぃやっほーう!」といいながらランチャーにまたがって飛び出してくる人物を見て注視をやめた。
どうやらゼロディスタンスを終了させた直後に、ランチャー本体にまたがって噴射の反動を使って突撃するフォトンアーツ
「ロデオドライブ」を使用して脱出したらしい。横方向に一回転して着地した後、俺のすぐ横で戦闘の構えを取る。
「さすが、毎度切れがいいですね、アハトさん」
本心からそう言ってみたが、当のアハトは照れくさそうに苦笑する。
「世辞はやめろ。褒めても弾丸しか飛んでこねーぞ?」
冗談交じりにそう返してきたが、すでに彼も余裕はないのだろう。顔いっぱいに、疲労と焦燥の色が浮かんでいる。
いや、焦燥に限っては俺も同じか。
何せ、なぎ倒したはずのダーカーたちが増えていたのだから。
「……予想より第二派が早いわね。まったく、見物の暇もないわ」
眼前に無数の虫を相手取っていると、不意にアハトのさらに奥から声が響いた。直後に、軽めのSEが発生したかと思うと、
声の主である女性は群れに向かってダッシュしていた。ここは援護に回るのが得策だ。
横のアハトにアイコンタクトでそれを示し、アハトはランチャーを、俺はハチェットを銃形態に変え、射撃を始める。
今回は前線に出る女性の妨げにならないよう、比較的静かに敵を打ち抜いていく。
アハトの方もまた精密な射撃を繰り出し、一撃一撃で確実にダーカーを葬っていくが、肝心の俺はからきしだ。
射撃の訓練はつんでないことが響いたな。そう考えつつ、攻撃方法を切り替えることにする。
Aiming shot Standby!
まだ体内フォトンの残数は危険域に及んではいない。効果時間が許す限りならば!
ハチェットを展開し、ジャコン!という駆動音を引き連れながら前方のダーカー郡に狙いを定める。
「くらえっ!」
雄叫び一発、ガァン!という銃声が響き渡った。俺が撃ちだした弾丸は目測たがわず一匹に命中し、その体躯を四散させる。
ここで終わりはしない。立て続けに銃声を鳴らしながら、先ほどまでとは比べ物にならない正確無比な射撃を叩き込む。
が、数秒するとすぐにその実力は元通りだ。ちっ、と舌打ちをしながら、もう一度フォトンアーツ「エイミングショット」を
発動させた。
このフォトンアーツはほかのものとは違い、驚異的な射撃センスに必要な感覚をフォトンによって一時的に研ぎ澄まし、
それによって命中率を飛躍的に上昇させるというものだ。
主立って強力なフォトンアーツ、というわけではないのだが、こういった援護の局面では非常に有効である。
「せりゃあああああっ!!」
教本で読んだ説明文を頭の中で復唱していると、前方から前衛の女性チアキの咆哮が轟いてきた。いつものことだが恐ろしい殺気だ。
彼女が手に持つアルバグングニルが、一瞬霞んだかと思うと相手にたたきつけられていた。彼女もまた
近接フォトンアーツの使い手だということを実感させられる速度だ、と思案した直後、振りぬかれたアルバグングニルから
白色の衝撃波が飛び出た。息継ぐ暇もなくパルチザンが振られ、そのたびに衝撃波が舞い、ダーカーたちが四散する。
パルチザンフォトンアーツの中でも屈指の破壊力を誇る「スピードレイン」に違いない軌跡を描チアキは、さながら
戦場で舞い踊る天使のようだった。もっとも、今回の意味では告死天使のほうだけど。
そんな演舞を披露するチアキが、さらにフォトンアーツを繰り出したようだ。ビュウ、ビュウと二度得物が振りぬかれた後、
三度目の攻撃とともに大きくバック転を繰り出したことから、今回のフォトンアーツは「バンタースナッチ」だろう。
そのままくるくると空中で2回転までかましながら、すちゃりと軽業のようにアハトの真横へと着地した。
「いまよ、グラン!」
「おぉっしゃああっ!!」
同時にグランへと声をかけ、攻撃を仰ぐ。リーダーとしての手腕はもしかしたらアハトより上なんじゃないだろうかと心中で
つぶやきながら、俺もグランの射線に入らないようにして突撃をかけた。
「だりゃああああっ!」
と、その横からさらにアハトも突撃をかけてくる。意外だったが、彼が手に持っていた武装でなぜそんな行動に出たのかは
おおよそ理解できた。
現在彼が手に持っているのは、俺と同じガンスラッシュカテゴリの「アキシオン」。
中口径の大型ハンドガンに大型の実体刃を強引に取り付けた、正しく規格外の武装だ。かなりの重量があるはずなのに、
まさかがっちりと片手で保持できるとは。内心舌を巻きながら、俺はフォトンアーツ発動の構えに入った。
Try impact Standby!
目標は現在一番手前にいるエル・ダガン。この攻撃で後方へと叩き込み、後ろの連中を纏めて潰す!
眉間に薄くしわを刻みながら、超高速でガンハチェットが振りぬかれる。もちろん、フォトンアーツである以上
一発だけで済むはずがない。そのまま流れるような動作でさらに二発を叩き込み、まともに直撃を食らったエル・ダガンが
目測どおり吹っ飛んだ。が、後方の連中を潰すまでには至らなかった――と思った瞬間。
突如として小規模な爆発が起こり、吹っ飛んだ一体を含めた後方郡はまとめて粉みじんにされてしまったのだ。
何が起きたのかと焦ってしまったが、続く攻撃によってそれが誰の所為であるかが判明する。
「うらうらうらぁぁぁっ!」
後方から攻めてきたグランが、手に持ったアサルトライフルからグレネード光を撃ちだした。どうやら先刻の爆発は、
グランが撃ちだしたフォトンアーツ「グレネードシェル」だったようだ。しかし、それだけでは終わらない。
「てえぇぇいっ!」
先ほどから回復に従事していたフォースの仲間であるユウナが、後方から法撃を撃ってきた―――のだが、はて、攻撃が
見当たらない。……などと思っていた矢先、上空から巨大な氷塊が落下し、ダーカーたちを押しつぶしてしまった。
「どわあああああっ!?」
ほかの仲間たちがすでに回避行動に入っていた中、俺一人回避が遅れてしまった。ガシャンガシャンと降り注ぐ氷塊と
吹き荒れる吹雪で吹っ飛ばされてしまった。ふがいないと思いながら、危なげなく着地して状況を確認する。
先ほどの増援で増えた分を合わせて計算すると、残存数はおおよそ10体。この人数ならば押し切ることもわけなかったが、
総攻撃を浴びせかける直前、突如として現れた横殴りの暴風が群れるダーカーたちを纏めて吹き飛ばしてしまった。
そろって唖然とする俺たちの前に、ストン、と小さな音を立てて着地する人物がいた。
「…………よ、よぅ。終わったみたいだな、神楽ちゃん」
アハトが引きつった笑みを向ける人物――アリサはしかし、大して大きな反応も見せずに小さくうなずくだけだった。
手に持っていた大剣「アルバクレイモア」を振り上げ、がしゃりと肩に担ぐ光景はとてもではないが女性とは思えない。
「まだ油断しないでください。第三波がすぐそこまできています」
アハトの労いをほとんど無視するかのような機械的な声で、次にすべき対応を示してくれる。ありがたいことなのだが、
無視されたリーダーがヘコむからそろそろ改善してくれないだろうか。
などと考えていたら、目前から黒い軍勢が迫ってきた。まだまだいけると気負ってはいたが、かなりの数だ。総力戦になるかな。


 * * * * * * 


アリサの言うとおり、すぐに第3波はやってきた。
どうにも数が多いと思ったらなるほど、ダーカー生産装置として悪名高い「ブリアーダ」がいやがる。
イヤな予感はしていたが、これはちょっとばかり分が悪いか。
まぁ、そんなことを考える暇があるなら動くのみだ。俺は手に持ったアキシオンを担ぎ上げ、突撃の体制をとった。
横にコクトとチアキ、加えてアリサが構える。これで前衛は四人。後衛は二人――うち一人は回復兼任。
ゴリ押すしかないか、と考えながら、俺は地を蹴った。
「くらいなあぁぁぁぁっ!!」
猛然とダッシュしながら、アキシオンを規定の位置まで引っ張りあげる―――が、モーションが検知されることはない。
俺の体は、生まれつきフォトンが扱えないようにできている。従って、原則的にフォトンアーツやテクニックの使用はできない。
だからこそそれを補うのが、フォトンアーツの動きをさまざまな工夫で再現する「擬似フォトンアーツ」。
先ほど放ったゼロディスタンスやロデオドライブだって、自分で駆け寄ってぶちかましたり
ランチャーの横に引っ付けたバーニアを吹かして脱出したりしただけのものだ。あくまでもフォトンアーツではない。
使えないなら、別の方法で使えるようにする。これが俺のモットー。
そして今回も、俺の体は手動(といっていいのかは不明だが自分で動かしてるから手動にしておく)で動き出した。
まず右上へと一発、続けて一回転した後、右下へと一撃。とどめにさらに回転してからの一突きで、標的の
エル・ダガンが吹っ飛んで、そのまま連中に激突―――するかと思いきや、別方向から飛んできた二本の二等辺三角形型の刃が
突き刺さり、そこで静止した。
「だりゃあああっ!!!」
突き刺さったのは、ワイヤーで繋がれた刀身を振り回して攻撃する中距離戦用のアークス兵装「ワイヤードランス」だ。
相手に突き刺して捕縛するのも立派な戦術。そのまま振りかぶるのは、自在槍「ワイヤードトライ」を両の手に持ったコクト。
振りかぶった拍子に複雑に曲がりくねったワイヤーが、振りぬかれると同時にビシッと伸びきり、捕まったエル・ダガンを
思いっきり放り投げた。
……いや、ただ投げただけではないようだ。よくよく見れば、投げられたほうに回転がかかっている。
幾許の暇もなく別の一体に激突したかと思うと、その激突されたほうも一緒にすっとんでしまった。どうやらフォトンアーツ
「アザースピン」を使用していたようだ。実用されているのははじめてみたが、なかなかの威力じゃないか。使ってみたい。
こいつは負けていられないな。俺も再度走りこんで距離をつめると同時に、別の擬似フォトンアーツを発動する。

右斜め上にアキシオンを振りぬき、標的を上空へと叩き上げる。そこから一回転で重心を調整し、回転終わりと同時に
標的へ向けて銃口を突きつけ、必殺の銃弾を放つ。
「ギュキイィィ!」という虫の悲鳴を背に受けながら、がしゃんと格好つけてポーズを決めてやった。どうやら
擬似「エインラケーテン」が決まったようだ。
っとと、格好つけている間に親玉のブリアーダが取られちまっていた。まぁ、雑魚軍団を頂きますか。
「グラン、とどめいくぞ!」
「サーイェッサー!」
リクウに指示を飛ばすと、それを小耳に挟んだらしいアリサが動いた。援護は頼もしいことこの上ない。
俺がランチャーに換装する間、アリサはその手に構えた日本刀のようなラインを持つ大剣を横殴りにぶん回した。
そのまま数回転して周囲をなぎ払ったことから、これは間違いなく「ノヴァストライク」だな。
しかし予想に反し、アリサはさらに攻勢に打って出た。とん、と小さくジャンプしながら、今度は大剣を大上段に構える。
そのまま振り下ろすだけかと思いきや、またもアリサの体は猛烈な勢いで回転する。
ドガドガドガッ!と子気味いい音が鳴り響きながら、ついでに地面が抉られる。ドリルもかくやと言わんばかりの威力は、
フォトンアーツ「ツイスターフォール」だ。俺のランチャーの構えが終了すると同時に、チュドオオン!と派手な音が鳴り響いた。
そういえば、最後に発生する衝撃波にも攻撃力あるんだったっけ。忘れていた記憶を引っ張り起こしながら、俺はランチャーから
大型の砲弾を撃ち出した。その方角は、虫たちの直上。
「おらああっ!」
と、横からリクウの咆哮も聞こえてきた。気合一発、放たれたフォトングレネード弾が虫たちの中央で爆砕。
連中が四方八方に散り散りになった、いまだ。
ボゥン!という小さな爆発音が、連中の真上で響いた。そこから降り注ぐのは、爆弾の雨あられ
クラスター爆弾の技術を応用した砲弾を使い、フォトンアーツ「クラスターバレット」を再現した無数のマイクロ爆弾が、
残っていたダーカー軍団をまとめてなぎ払った。


―*―*―*―*―*―*―


《……繰り返します。アークス諸氏の活躍により、ダーカー軍は壊滅、撤退となりました。アークスの皆様、お疲れ様でした》
オペレーターの事務的なねぎらいが聞こえる中、俺は仲間の一人の下に駆け寄っていた。
「ルッチー、悪いが、ひとつ頼みがあるんだけど」
「何?アタシにできるならやってみるけど……」
怪訝な顔をしながら、チアキはこちらを向いてくれた。普段は冷たくあしらわれるが、こういった用件に対しては
案外寛容な人物というところがなかなかの曲者だ。
「君にしかできないから頼みたい。……今日の襲撃の件だ」
どうやら、彼女にも心当たりがあったらしい。一瞬はっとした表情になり、すぐに神妙な面持ちで頷いた。続けろということか。
「監視衛星のデータを、できる限り片っ端からかき集めてほしい。……どうも、何かが引っかかるんだ」
あごに手を当てて思案すると、チアキのほうからくすっと笑い声が聞こえた。
「奇遇ね。アタシもちょうど、変だなぁと感じてたのよ」
「女のカン、ってやつか?」
「あるいは、アンチ・アークのカンかもね。……わかったわ。ちょっと時間はかかりそうだけど、やってみる」
共感してくれるのは願ったりかなったりだ。気分がいいから、少し調子に乗ってみますか。
「へへ、さすがは俺の優秀な部下だ。お前には諜報部の素質あると思うぜ〜?」
したり顔でからかってみたら、案の定いつものつめたーい応答が帰ってきてしまった。まぁ、依頼は成立しているからいまさら
却下のしようがないことは明白だ。
「……ほめても何もでないわよ。それに、元とはいえ特殊部隊の人間に頼むのよ。その辺、何か考えてるのかしら?」
おっとそうだ、忘れていた。チアキは自分の興味で赴くこと以外に関しては、こういう風に何らかの対価を求めてくるんだった。
何かないか、と考えたが、すぐに思い浮かんだ。
「そこらへんは心配ご無用。今度のディナー、一緒にどうかな?」
こういったときの対価はひとつ。何かに誘うことに尽きる。この特殊部隊上がりは、なぜかたいていの誘いごとには乗ってくるのだ。
「そうねぇ……ユウナといっしょなら、ね」
そんなわけで、ホイホイと乗ってくれた。そうと決まれば、ほかのメンバーも全員呼んでやろうかな。


(…………杞憂なら、それでいいんだけどなぁ)
小さく思いながら、俺は一番星の輝く通りで帰路に着く。


*********


終わりっ!
やっとこさ第1話が完成いたしました〜。スロットルを上げすぎたせいで極長なのはご愛嬌(舌チラ
実は、遅れたのはちょっとした理由があるんです。以下その顛末。


デュアルフェイス製作開始後、アハトパート執筆のためアハト氏のブログ訪問。

ダークハウンド読破。「よし、がんばればいける!」という考えのもと始動。

しばらくして(中盤まで完成)再度ブログ訪問。リバース読破。

微調整の後、再再度訪問。ダブルフェイス、およびアポカリプス読破。

Σ(;´繋`)<しまった、こここうしないと矛盾してしまうっ!?
うわ、しかも鋼鉄の瞳の時点でだめじゃないかこれ!?!?

以下後述


ということです。
矛盾をどう解消しようか一週間ほど悩んだ結果「アハト氏のダークハウンドシリーズとは別のストーリーを展開する」という
結論に落ち着いちゃいましたw
もともとアハト氏が、ダークハウンドを「本編(コネクト版)のもうひとつの可能性」として書いていたらしく、それならば
ということで、コネクトのほうで新たなる物語を構築していくことになりました。なので、アハト氏版のDHとは
いろんな場所が変わっていきますので、ちょっとご注意していただきますようお願いいたします。
具体的には
・ストーリー終盤の改変
・死亡者の死亡描写改変
・一部の人物の行動改変
の3つが主に変更されます。死に方を変えることによって、ストーリーがかなり改竄できますのでw
ほかにも戦闘描写、とある場所からの脱出描写、情景や視点からの描写など、かなりいろいろな部分に手を加えることになるので、
もうリメイク前とはほとんどが違う状態になりますw
しつこいようですが、ご注意をお願いいたします。


それでは今回はここまで!
またあいませ〜ぅ ノシ


(今回歌った曲:機動戦士ガンダムAGE「明日へ」)