コネクトの雑記スペース

創作小説、オリキャラ設定などの雑な記事を取り扱うところです。

アイラanotherstory―獅子を狩るモノ―

エピローグ 続く物語



「失礼します」
民間企業「オルデン」の最上階に位置する社長室に、一人のロングコートを着た男性が入室した。
すでに社長室には、社長と思しき男性ともう一人の男性がいる。
「よぅ、ずいぶんと遅い帰還だな?」
社長の机にもたれていた男が声をかけると、途端に入ってきた男は不機嫌そうな顔をする。
「事情を知らないお前が言うな、元ヒッキー。……想定以上に長引いていたからな」
男の言葉に、社長がほぅと面白そうな声を上げた。
「その様子だと、彼は善戦(ぜんせん)したみたいだね?」
「ええ。はっきり言えば、想像を軽く凌駕(りょうが)した粘りでした。ライオハンターの再生力だからこそできる技……とでも言いましょうか」
男が顎に手を当てる。何を考えているのかわかったらしいもう一人の男が、軽い口調で男の肩をたたく。
「んな深刻そうな顔すんなよ。心配ねぇさ、あの化け物パイロットならきっとやりやがる」
「ああ、真君の言う通りだ。直樹くんが培った技量と素戔嗚(スサノオ)の力ならば、きっとね」
真と呼ばれた男性―――鈴木真は、でしょうと社長に笑いかける。
「……それだけで倒せるようなら、わざわざライオハンターを仕向けた意味が分からないがな」
「いーや。あいつは十二分にやってくれたさ。なんせ貴重なデータを大量に仕入れられたんだ。犠牲は無駄じゃねぇ。なぁカインさん?」
真の感慨深げな顔に、社長―――カインと呼ばれた男も、満足そうにうなずく。
「そうさ。彼の犠牲は……といいたいけど、あいにくライオハンターのパイロットは不死身だ。犠牲じゃないよ」
「あれ、そうだったっけ?」
「三日前に話したろうが。もう忘れたのか」
「ああー、あんときはミクちゃんの衣装考えてたからなぁ。聞いてなかったわ」
そういって快活な笑みを満面に押し出す真に、男はがくりとうなだれる。
「……お前はもう少し仕事に関心を持て」
「はっはー、関心持つためにゃ趣味でくつろがなきゃいけないのさ」


「―――そう固いこというなよ、繋ちゃん」
真が、男―――繋の肩をたたく。
それと同時に、再度3人の後方の扉が開いた。
「失礼します。戦術諜報科科長『飛鷹士郎』、入ります」
男―――士郎が礼儀正しく敬礼を行いながら、社長室へと入室する。
「やぁ士郎君。どうだい、スリープマシンの状況は?」
「はっ。現在、すでに完成している18000機の他、新たに2000機の建造が進行中です。少なくともあと3日……いえ、2日で完成するかと」
士郎の報告を聞いたカインは、満足そうにひとつうなずいた。
「……箱舟の準備はできたか。乗員の選抜はできているのかい?」
「はっ。日本地区限定となりましたが、全国民からもっとも平均的、かつTFVに適応可能な人間を選抜いたしました。
少なくとも、ファンタズマの静寂式侵攻によって犠牲となる人間はいないと思われます」
「そうなると、残りはジェネシス武力行使か……。真君、繋君、最終戦闘部隊の構築はどうなってるんだい?」
カインの問いかけに、繋は敬礼を挟んで、真は変わらない態度で口を開く。
「装機部隊は、持てるすべての戦力を結集します。予測になりますが、全体の7割を損失すると思われます」
「こっちも騎士部隊総動員だ。……もっとも、こっちは9割が死にそうだけどな」
二人の推察を聞き、しかしカインはそうかとうなずくだけだった。
「……では、最後の戦いを始めよう。私たちは、3日後の決戦を持って、永久の眠りにつく。
真君、君は直樹くんに最後の指導を頼むよ」
「あいあいさー」
「繋君、君は選抜メンバーに向けて演説を頼みたい。なるべくパニックにならないようにね」
「わかりました」
「士郎君。君はスリープシステムの最終調整を行ってくれ。完成は繰り上がらないかい?」
「事情を話せば、明日にはすべて完成します。量産体制は整っていますので」
「よろしい」


「この戦いが人類にとってどうなるか、皆で見届けよう。すべては、運命が知るのみだけど」
「「「応」」」
社長室に、静かな、荘厳な唱和が響いた。


*********


祝、アイラ完結っ!!!
ってことで最終回&エピローグからこんにちは、コネクトにございまーっす!
いやぁ、ついにアイラanotherが完結と相成りましたー。
ここまで追ってきてくださった方には、謹んで謝辞を述べさせていただきたいと思います。
まず読者の方、ここまで読了いただき、まことにありがとうございました!
もともとは突発的企画として思いついた短編だったのですが、いつの間にやらこんなことに…(ノ∀`)
長く稚拙な文章にて繰り広げてきたアイラanotherが、皆様の心に残れば幸いにございます。
アハト様、アイラのスピンオフの作成許可に感謝を申し上げます!
口癖のように述べていた通り、この小説はアハトさんのお心がなければ存在しませんでした。
そんな小説に快諾を頂いたばかりか、続編である「アイラ02」のスピンオフまで提供してくださったこと、感謝の極みです!
重ね重ね、ここに例を申し上げさせていただきます。


さて、堅苦しいお話はここまでにして、最終話とエピローグの解説を。
最終話の彰くんでしたが、ジェネシスと戦うことが決まった時からすでに憑き物が落ちていたようなんですw
あとは自分がどうなろうと戦って、自身の結末を知ることだけが目的でした。長いこと戦っているうちに、もう復讐とかは
形骸化しちゃったようです。
それでも無念を晴らしたいという気持ちは強く残っていたことから、最後は粘りに粘って相討ちという結果をつかみました。
……ですがぶっちゃけた話、実はジェネシス死んでません(何
確かに倒されはしましたが、描写をよく思い出してください。「光の中に消えた」だけですよ?
そもそも、このお話は本編であるアイラにて、直樹くんがジェネシスと戦う「三日前」のお話なんですw
エピローグもそれを意識して練ったんですが、分かった方いたかが気がかりです。
まぁ、さすがにイザナギに痛手を負わされたおかげかアイラのジェネシスは触手しか使ってませんでしたがw


エピローグに関しては、完全にこの後の「アイラ02」を意識して作っております。
まぁこれ以上は向こう側のネタバレになるのでお話しませんが、なぜあのキャラがあそこにいるのか、理解がつく…かも?w


ではでは、キリもいいので今日はここでおしまいです。
この後にはアイラ02もカルカーロも控えてますし、まだまだコネクトの暴走は止まりません!
こんな稚拙な文章しか書けない小説家気取りですが、応援していただけると幸いです。
それではまた次回の小説で! ノシ